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あらすじ
宇宙各地に散らばる6つのインフィニティ・ストーン。そのすべてを集め、圧倒的な力によって宇宙の命運を自らの手で決めようとするサノスが、ついに本格的な行動を開始する。
地球ではアベンジャーズが分裂したままの中、アイアンマン、ドクター・ストレンジ、スパイダーマンらが迫る脅威に立ち向かい、宇宙ではソーやガーディアンズ・オブ・ギャラクシーも同じ敵へと近づいていく。それぞれ別の場所で戦ってきたヒーローたちは、宇宙規模へ広がった危機の中で次第に交差していく。
すべてのストーンが揃う前にサノスを止めるため、かつてない規模の戦いが始まる。
作品レビュー
MCU10周年、それまで積み上げてきた作品を一気に集約する大規模クロスオーバー。
『シビル・ウォー』後でアベンジャーズは分裂したまま。その隙を突くように、これまで存在だけを見せてきたサノスがついに本格的に動き出す。
目的は明確で、6つのインフィニティ・ストーンをすべて集め、宇宙の生命を半分にすること。資源不足を防ぎ、残された者を繁栄させるという理屈は完全に歪んでいるが、本人は自分を悪ではなく救世主だと信じ切っている。
このサノスがとにかく強烈だった。単なるラスボスではなく、物語そのものが彼の行動によって進んでいく。圧倒的な強さと存在感がありながら、ガモーラとの複雑な父娘関係を通してサノスの感情まで描かれるため、ヒーロー映画のヴィランとしては異例なほど中心人物になっている。
直属の精鋭部隊ブラック・オーダーも加わり、ヒーロー側は各地で分断されたまま戦うことになる。
トニー、ドクター・ストレンジ、ピーターという意外な組み合わせでは、似た者同士のトニーとストレンジがぶつかり合い、その横でピーターが一気に宇宙規模の戦いへ巻き込まれていく。
一方ではソーとガーディアンズが出会い、スター・ロードが妙にソーを意識するやり取りなど、重い展開の中にもMCUらしいコメディがある。さらにソーはロケット、グルートと別行動を取り、新たな武器を求める旅へ向かう。
地球側ではワカンダへヒーローたちが集結。ティ・チャラ、キャップ、バッキーらが共闘し、ヴィジョンとワンダの関係も戦いの重要な部分を担っていく。
地球、宇宙、タイタン、ワカンダと複数の場所を同時進行させながら、これだけ大量のキャラクターをいくつものチームへ分け、それぞれに役割を持たせている構成は相変わらず見事。
そして全体を通して繰り返されるのが、「一人を犠牲にして多数を救えるのか」という問い。ヒーロー側が誰かを救おうとする一方で、サノスもまた自分の信念のために犠牲を選ぶ。その対比が、単なる大人数のバトル映画以上の重さを与えている。
何よりサノスの存在感、強さ、信念が圧倒的で、ここまで“ボスらしいボス”もなかなかいない。個人的には最高に魅力的なヴィランだった。
『エンドゲーム』へ直接つながるMCU最大級の転換点でありながら、振り返ってみると、ヒーローたち以上にサノスのための作品だったと思えるほど強烈な一本だった。
メタデータ
映像レビュー
全編IMAX Enhancedによる圧倒的なスケール感
かなり自然さが増してきた、素晴らしい4K映像。
本作はカスタム仕様のIMAX/ARRI 2Dカメラを用い、ARRI ALEXA 65による6.5K ARRIRAWを中心に撮影。最終仕上げは2K DIながら、ラージフォーマット由来の情報量は十分で、ほとんどアップスケール感を感じさせず、輪郭は綺麗で自然。人物の表情や衣装の細かなディテールもしっかり描かれており、平均ビットレート自体はそこまで高くない部類でも、見た目の完成度はかなり高い。
今作は大量のキャラクター、大群同士の戦闘、上空から全体を見渡すようなスケールの大きなショットなどが多いが、それでも画面が破綻せず、ノイズ感もほとんど見られない。
特に印象的なのが光の表現。インフィニティ・ストーンの輝きと、その力が解放される瞬間の色。宇宙空間や複数の惑星、宇宙船内へ差し込む光、炎など、強い光源を使った場面が非常に多く、どれも見栄えが良い。
アイアンマンやスパイダーマンのスーツの光沢、ドクター・ストレンジの魔術、そしてサノス一派の黒を基調としたデザインまで、それぞれのキャラクター性が映像でもしっかり差別化されている。黒も深く、鮮やかな色とのコントラストが非常に強い。これだけ登場人物が多くても、それぞれが画面の中で埋もれず、色や光だけでも誰のシーンか分かるほど個性が出ている。
そして何より大きいのがIMAX Enhanced。本作はハリウッド映画として初めて全編IMAXデジタルカメラで撮影された作品で、Disney+では全編にわたって1.90:1の拡張画角を楽しめる。巨大な宇宙船、タイタン、ワカンダ、大規模な戦闘など、元々スケールの大きな映像がさらに広く見え、大作としての規模感をそのまま体感できる。
VFXの物量も圧倒的だが、合成感をほとんど感じさせない自然さまで加わっており、ここまで来ると「これ以上何が必要なんだ」と思うほど。
画質面でも映像表現でも、MCUの中で最高峰の一本と言っていい仕上がりだった。
技術仕様・マスター情報:IMDb Technical Specifications、Blu-ray.com、メーカー公開情報等を参照
音声レビュー
あらゆる衝撃音に重さが乗って素晴らしい。
ここまでのMCUでは一番の迫力。
素晴らしいが、映像とのマッチングはもう一歩。
会話がメインで、あまり目立たず静か。
活用するが、見た目の派手さほどではない。
ここまでのMCU作品でも、トップクラスと言っていい迫力。
視聴はDTS:X版を中心にAtmos版とも比較。とにかくバトルの多い作品だが、あらゆる衝撃音にキレがあり、そこへしっかり重さも乗っている。サノス一派が本格的に登場したことで戦闘のテンポも速くなり、そのスピード感に合わせるように音も鋭い。
系統としては『シビル・ウォー』に近いが、そこからさらに一段パンチを増した印象。Dolby Atmos版との簡易測定では、DTS:Xの方が2〜3dBほど大きくなり、元々悪くないAtmos版からさらにキレと迫力が増している。
LFEもかなりパワフルで、巨大な物体の衝突や着地、宇宙船などではしっかりとした重さが出る。迫力はかなり強いが、必要以上に暴れすぎることはなく、家庭用アクション作品としてはこのあたりがかなり理想的なバランスに感じる。
一方で、セリフの音量差は他のMCU作品より少し大きめ。会話自体はクリアだが、小さいセリフに合わせて音量を上げると、その後の戦闘がかなり強烈になる。特にDTS:X版はある程度音量を出して楽しむことを前提にしたようなダイナミックさがある。
サラウンドも非常に派手。リアスピーカーは常に活躍し、物体の移動や銃撃だけでなく、インフィニティ・ストーンを使った広がりのある衝撃音など、空間全体を使う場面も多い。単純な移動感だけではなく、空間そのものが変化するような表現もあり、音のバリエーションはかなり豊富。
トップスピーカーもNY襲撃やワカンダでの戦闘などでしっかり使用される。ただ、映像の派手さを考えると、ここはもう少し激しく使っても良かったとも感じた。細かな高さ表現は多く、一般的なAtmos作品と比べれば十分に優秀。それでも映像側のスケールが圧倒的すぎるため、音もさらに上から降ってきてほしくなる。
後半はまさに怒涛の展開。戦闘だけでなく、アクション以外でもマルチチャンネルを活用した場面があり、最初から最後まで音場の密度が高い。
キャラクター数が多いぶん、武器、魔術、宇宙船、ストーン、クリーチャーと音の種類も非常に豊富。トップ活用にはあと一歩欲しいところもあったが、それも些細に思えるほど全体の完成度は高い。
迫力、重さ、方向感、サラウンドの広がり、そのすべてが高水準でまとまった、サラウンド作品として最高クラスの一本だった。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
サノスの脅威
サノス vs ハルクで掴みはバッチリのキレキレな音。
ニューヨークに襲来
ドーナツ型宇宙船Qシップの低音の響き。スピーディなバトルでかなり動きも多い。
ワンダとヴィジョンを襲撃
夜の街中で超人バトル。ほぼフロントのみだがキレが良い。
ガーディアンズとサノスの邂逅
リアリティストーンの力を見せつける。
ドクター・ストレンジ救出
今作はマントもしっかりキャラの一人。サラウンドは少し。
アベンジャーズ vs ガーディアンズ
勘違いバトル。不時着は迫力。
ワカンダ襲撃とソーの武器作り
飛来物のデカさがそのまま低音に。武器作りも迫力あるし、全面戦争が派手に始まる。
サノス vs アベンジャーズ
一人で戦うサノスが主人公みたいなバトルに。音も当然素晴らしい。
総評
とにかくサノスの存在感が圧倒的だった『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』。
揺らがない信念を持ち、どれだけ多勢で挑まれても力で圧倒し、それでいて無闇に相手へトドメを刺すことなく、自分の目的だけを見据えて突き進んでいく。こうして書くとまるで主人公のようだが、実際にそれくらい物語の中心にいる。
人口増加による資源不足を止めるという発想も、方法こそ極端だが、妙に現実味がある。敵も味方も自分なりの正義や守りたいもののために戦っており、サノス自身も単純な悪というより、どこか武人のような潔さすら感じさせる。個人的には、この圧倒的な強さと存在感がとにかくカッコよかった。
一方のアベンジャーズ側は、まだ初対面の組み合わせも多く、いつも通り一枚岩とは言い難い。トニーとストレンジ、ソーとガーディアンズなど、それぞれ違う場所で関係を築きながら少しずつまとまっていく。その過程自体が、『エンドゲーム』へ向かう大きな助走にも見える。
映像もシリーズ屈指。圧倒的なVFXの物量と、全編IMAX Enhancedによるスケール感の相性が非常に良く、宇宙からワカンダまで舞台が変わるたびに大作らしい見応えがある。DTS:Xによるサラウンド音声も、ここまでのMCUでは一番と言っていいほどキレと迫力を兼ね備えた仕上がりだった。
複数の場所で物語が同時進行し、大量のキャラクターが登場するにもかかわらず、大規模戦闘まで含めて非常に上手く整理されている。上映時間は長めだが、それをほとんど感じさせないテンポの良さも見事。
自分にとっては、10年間積み上げてきたヒーローの集大成でありながら、それ以上に圧倒的なサノスの強さと魅力を堪能するための作品だった。
公式予告編
※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。
