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あらすじ
サノスによって全宇宙の生命の半数が失われ、残されたアベンジャーズにも大きな喪失が残された。
それぞれが失ったものを抱えながら生きる中、かつての仲間たちは、サノスがもたらした結果を覆すためのわずかな可能性を見つける。
再び集結したアベンジャーズは、それぞれの過去と向き合いながら、失われた仲間と世界を取り戻すため、これまでで最も困難な作戦へ挑んでいく。
2008年の『アイアンマン』から続いてきたMCUの物語を一つの大きな区切りへ導く、アベンジャーズの決戦を描く。
作品レビュー
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の直後から始まり、サノスによって宇宙の生命の半分が失われた世界を描く。
これまでのMCUでは、どれだけ追い詰められても最後にはヒーロー側が何とか状況をひっくり返してきたが、今作は明確に敗北したところから始まる。
しかも重要なのは、その敗北をすぐに取り返すのではなく、「負けた後をどう生きるか」をかなり長く描いている。世界全体が5年間の喪失を抱え、人々は消えてしまった家族や友人の存在を引きずりながら生活している。アベンジャーズも例外ではなく、それぞれが全く違う形で敗北と向き合っている。
そんな中、再び中心になるのは、やはり初代アベンジャーズのメンバーたち。
トニー・スタークとスティーブ・ロジャースは、これまで何度もぶつかりながらも、最終的には互いを必要とする関係へと戻っていく。ソーはサノスを止められなかった後悔を抱え、それまでのマッチョなヒーロー像から大きく崩れてしまう。
ブラック・ウィドウは散り散りになった仲間たちをつなぎ続け、ホークアイは家族を失ったことで全く別の方向へ進んでいる。一方でハルクは、バナーとハルクという二つの存在の関係をこれまでとは違う形でまとめ上げており、それぞれが前作までとは別の地点に立っている。
そんな状況を動かすのがアントマン。『アントマン&ワスプ』で描かれていた量子世界が、MCU全体の物語を動かす重要な要素になり、量子世界を利用したタイムトラベルによって、彼らは過去の出来事へ戻っていくことになる。
ただし、ここが単なる懐古に終わらないのがさすが。過去の作品をそのまま見せ直すのではなく、当時の場面を別の人物の視点から見たり、かつての選択を今の自分たちがもう一度見直したりする。シリーズを見てきた側にとっては懐かしさがあるだけでなく、「あの時こうだった」という記憶そのものが物語へ組み込まれている上手い作りになっている。
インフィニティ・ストーンを巡る長い物語もここで総決算。『インフィニティ・ウォー』ではサノスがほとんど主人公のような存在だったが、今作では物語の中心が完全にアベンジャーズ側へ戻ってくる。サノス自身も前作とは少し違った立場から登場し、同じ人物でありながら印象も変わる。
そして今作で重要なのは、「失敗した後にもう一度立ち上がれるか」という再挑戦のテーマ。過去へ戻ることはできても、過去そのものを無かったことにするわけではない。失敗や喪失を抱えたまま、それでも前へ進み、もう一度選び直す。
仲間や家族を取り戻したいという気持ちと、自分自身の人生をどう生きるかという個人的な願いがぶつかり合う。ヒーローとして何をするべきかだけでなく、自分の幸せとは何か、自分の人生をどう終えるのかまで描くことで、初代アベンジャーズそれぞれに一区切りが与えられていく。
終盤はMCU史上最大規模のヒーロー集結となり、人数もスケールも圧倒的。これまで単独作品や別シリーズで活躍してきたキャラクターたちが同じ戦場へ集まる様は壮観で、最高に盛り上がる展開となっている。
上映時間は3時間を超えるが、前半の喪失と停滞、中盤の再挑戦、過去との対峙、そして後半の大決戦まで段階がはっきりしており、長さの割には流れが分かりやすい。むしろこれだけのキャラクターと11年分の物語をまとめるなら、これくらいの時間が必要だったのだと思う。
エンドクレジットでは初代アベンジャーズ6人が特別扱いされ、それぞれ俳優本人のサインとともに紹介される。さらに本作は、スタン・リーにとって最後のMCU実写カメオ出演作でもある。
2008年の『アイアンマン』から積み上げてきた22作品を一区切りにする「インフィニティ・サーガ」の集大成。これほど多くの作品、主人公、脇役、設定を10年以上にわたってつなぎ、一つの物語としてここまで大きく回収したシリーズは映画史でも極めて稀だろう。
派手さや規模の大きさ、感情的な積み重ね、その全てを含めて、映画史上でも最大級のシリーズを締めるにふさわしい作品だった。
メタデータ
映像レビュー
夕暮れの最終決戦を彩る光と金属の質感
非常にハイレベルな4K/Dolby Vision映像。
『インフィニティ・ウォー』に続き全編IMAXカメラで撮影されており、IMAX Enhancedではすべてのシーンが拡大画角となる。通常版よりも上下方向の情報量が増え、人物中心の場面から大規模な戦闘まで、作品全体を通してスケール感のある映像を楽しめる。
撮影にはARRI ALEXA IMAXが使われ、6.5K ARRIRAWで収録。DI解像度については資料によって2Kと4Kの表記差があるものの、実際の映像は十分に高精細で、4Kらしい解像感をしっかり感じられる。
序盤ではごくわずかにアップスケールらしい柔らかさを感じる場面もあるが、全体としては自然。VFX量が増えていく後半ほど印象が良くなり、最終決戦では特に素晴らしい。
過去へ戻ることで、これまでのMCUで見てきた場所や出来事が別の視点から描かれ、過去作よりも綺麗な印象に。街並みや施設、人物のアップまで大きく潰れることはなく、どの時代でも安定した描写が続く。
基本的にはMCUらしく明るめの画作りで、暗い場面でもどこかに光源があり、完全な暗闇になることは少ない。
中でも特徴的なのが最終決戦。夜でも昼でもなく、夕暮れ時のような独特の光に包まれた戦場となり、この色調が非常に美しい。遠くの太陽や燃え上がる炎の光が、キャラクターの武器やスーツ、鎧へ自然に反射し、金属や布地の質感までリアルに感じられる。これまでのMCUではあまり見なかった色合いで、シリーズ最大級の決戦にふさわしい特別感がある。
登場キャラクターが多いため、色彩も非常に豊富。ソーの雷、ドクター・ストレンジのオレンジ色の魔術、スカーレット・ウィッチの赤、キャプテン・マーベルの強烈な発光、インフィニティ・ストーン、量子世界やタイムトラベルのエフェクトなど、Dolby Visionと相性の良い光と色が次々に登場する。
大量のキャラクターと軍勢が同時に映る場面でも大きな破綻はなく、ビットレートだけを見れば特別高いわけではないのに、細部までしっかり維持されているのは見事。
4Kらしい解像感、全編IMAXの広い画角、美麗なVFX、Dolby Visionによる豊かな光と色。映像の情報量とスケール感を含め、近年のデジタル大作映画でも最高峰の一つと言っていい仕上がりだった。
技術仕様・マスター情報:IMDb Technical Specifications、Blu-ray.com、メーカー公開情報等を参照
音声レビュー
MCUで一番と言っていいほど重低音がたっぷり。
素晴らしい威力の音で映像と完全にマッチしている。
個別の移動や方向感より、全体感が強い。
会話を重視して静かに添える程度。
上から降ってくる系だと一番多いかも。
ここまでのMCU作品の中でも、一番と言っていいほど強力なDTS:X音声。
『インフィニティ・ウォー』も非常に優秀だったが、本作ではさらに音の重みが増し、ダイナミックレンジも広い。静かな場面と大規模なアクションの差が大きく、見せ場では非常に力強いサウンドへ一気に変化する。
最大の聞きどころはやはり終盤の最終決戦だが、そこに至るまでの音作りもしっかりしている。量子世界への出入りやタイムトラベルでは独特の効果音が使われ、過去での活動でも十分な音の存在感がある。
戦闘が始まると一気に賑やかになり、大軍同士がぶつかり合う中で、前後左右へ広がる音、長く響く音、瞬間的に飛び交う効果音が入り乱れる。それだけ多くの音が同時に鳴っていても、セリフや各キャラクターの特徴的な効果音が埋もれにくく、非常に整理された音場になっている。
LFEもかなり強力で、巨大な宇宙船や施設の崩壊、爆発、超能力、量子世界やタイムトラベルなど、様々な場面で低音が使われる。格闘戦でも打撃に十分な重さが加わるが、巨大な物体が動く時にはさらに一段深い低音が乗り、映像上の大きさと音の重量感がしっかり一致している。
トップスピーカーの活用もかなり多い。宇宙船や飛行物体、崩壊する施設に加え、最終決戦では飛行能力を持つキャラクターが次々に頭上を通過する。
上から戦場へ降りてくるキャラも多く、トップから鳴る音そのものも大きいため、高さ方向の存在感はかなり明確。特に敵船からの一斉砲撃は強烈。頭上から大量の砲撃が降り注ぎ、それにLFEまで重なるので、環境によっては音量に注意したくなるほどの迫力がある。
一方で、物語自体はかなりシリアスなので、会話中心の場面では環境音を必要以上に目立たせず、周囲で静かに支える程度に抑えられている。その静けさがあるからこそ、アクションへ切り替わった瞬間のレンジ差がより強く感じられる。
ここまでの感想はDTS:X版によるものだが、自宅環境ではAtmos版より一段力強く感じる。これが劇場向けなら、Disney+側が家庭向けに比較的穏やかなバランスの印象が多いのも理解できるほどで、再生環境があるならDTS:X版がオススメだ。
これまで登場したキャラクターが総出演するため、とにかく音の種類が多い。指を鳴らす音やタイムトラベルなど、特徴的で強力な音もたくさんある。
物語が11年間の集大成なら、音声面もまたMCUサラウンドの集大成。様々な要素が高いレベルでまとまった、非常に完成度の高いDTS:X音声だった。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
指パチンから最終決戦へ
大軍にデカいのと全方位すごいが、トップから降ってくるのがめちゃ目立つ。重低音も素晴らしい。
総評
当時リアルタイムで追っていたこともあり、ものすごく楽しんだMCUの集大成。
これほど多くのキャラクターと俳優を抱えながら、どうやって一本の映画としてまとめ切ったのだろうと思うほどの構成で、それぞれにきちんと見せ場まで用意されている。
上映時間は3時間を超えるが、むしろ11年間積み上げてきたものを考えると、「よく3時間で収めたな」とすら思う。内容的にも、MCUはここで終わっても十分だったと思えるほど綺麗にまとまっている。
『スター・ウォーズ』や『スター・トレック』のようにさらに長い歴史を持つシリーズもあるが、それぞれ単独作品の主人公になれるほどのキャラクターを別々に育て、それがここまで一気に集結する映画シリーズはやはり特殊だ。
今回は当然ヒーロー側が物語の中心だが、それでも個人的に一番好きなのはやっぱりサノス。一人でも圧倒的に強く、どれだけの相手を前にしても絶対に引かない。前作とは立場や描かれ方が違っても、その存在感は最後まで抜群だった。
映像と音も集大成にふさわしく、全編IMAX Enhancedによる拡大画角で、過去作品の懐かしい場面から、ヒーローが総集結する大軍決戦まで超ハイレベルなVFXが続く。
DTS:X音声もMCU作品の中で間違いなく最高レベル。強烈なLFE、飛び交うキャラクターや宇宙船、頭上から降り注ぐ砲撃まで、最後はとにかく派手。ホームシアター向け作品として見ても最高クラスだった。
MCUは作品数が多く、今から見るには長すぎて避けられがちに思うが、実際に追ってみると本当によくできている。ヒーローものではあっても、家族、喪失、友情、失敗からの再起といった、誰にでも思い当たるテーマが何度も描かれてきた。だからこそ、2010年代にここまで大きな人気を得たのだろうと思う。
そして最後には、初代アベンジャーズがしっかりフィーチャーされ、それぞれが自分なりの結末を迎える。一つの時代を終えながら次の世代へバトンを渡し、MCUそのものはさらに続いていく。
Marvelの大功労者であるスタン・リーにとって、偶然にも本作が最後のMCU実写カメオになったというのも、この作品の特別さをさらに増している。
知名度だけではなく歴代トップクラスの世界興行収入まで記録し、キャラクター数、制作規模、シリーズとしての積み重ね、そのすべてが巨大。
物語だけでなく、映像も音も圧倒的で、映画史上でも最大級のシリーズを締めくくる、文字通りの超大作だった。
公式予告編
※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。
