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あらすじ
1999年、日本の原子力発電所で原因不明の異常事態が発生する。
事故によって家族を失ったジョー・ブロディは、その原因に疑問を抱き続け、立入禁止となった地域を独自に調査していた。
それから15年後。ジョーの息子フォードは、父の行動をきっかけに再び日本を訪れるが、そこで長年隠されてきた巨大生物の存在を知ることになる。
やがて人類の前に姿を現したのは、放射線をエネルギー源とする未知の巨大生物「MUTO」。その活動が世界規模の脅威へ発展するなか、さらに海の底から太古より存在していた巨大生物ゴジラが現れる。
人類の兵器をものともせず進み続ける巨大生物たち。
フォードは混乱の中で家族のもとへ戻ろうとする一方、秘密裏に巨大生物を研究してきた組織モナークは、ゴジラとMUTOの間にある関係を見出していく。
作品レビュー
「モンスターバース」と呼ばれる一連のシリーズ、その始まりとなった作品。
後の作品と比べると、内容も映像もかなり暗く、重厚な怪獣映画として作られているのが特徴。
物語の発端は1999年、日本の架空都市・ジャンジラ。原子力発電所で働くジョー・ブロディは原因不明の事故によって妻を失い、その後も事故の真相を追い続けていた。
主人公となるのは、その息子フォード・ブロディ。成長した彼は米海軍の爆発物処理班として働き、妻エルと幼い息子を持つ父親でもある。事故へ執着するジョーを長年「過去から抜け出せない父」と見ていたが、その疑いが間違っていたことを知るところから巨大生物との戦いへ巻き込まれていく。
目覚めたMUTOとゴジラによる怪獣バトルが、本作最大の見どころだ。
まず何より凄いのが、怪獣の圧倒的なビジュアル。
巨大さと重量感、皮膚や身体の質感まで説得力があり、「もしこんな生物が本当に目の前へ現れたら」という感覚を見事に映像化している。
そして、その魅せ方もまた素晴らしい。
怪獣だけを画面いっぱいに見せるのではなく、建物や人間と同じ画面へ収めることで、その桁外れな大きさを実感させる。足元から見上げるような人間視点の映像も多く、巨大生物のスケール表現はさすがハリウッド大作と思わせる完成度だった。
敵役となるMUTOも非常に良い。
ゴジラとはまったく違うシルエットを持ち、巨大怪獣として負けない存在感がある。能力にも特徴があり、核物質をエネルギー源とする生態によって人間側の兵器では簡単に対処できない。
結局、人類にはどうすることもできず、ゴジラというさらに巨大な存在へ頼るしかない構図も怪獣映画らしくて好きだ。
そして舞台をサンフランシスコへ移してからの怪獣バトルはもう最高に楽しい。
巨大生物同士が本気で戦えば、そりゃ街なんてこうなるだろうと思わせるほど周囲をめちゃくちゃに破壊していく。
人間など足元にいる小さな存在でしかなく、怪獣が動くだけで容赦なく踏み潰される容赦のないこのスケール感こそ、巨大怪獣映画に求めていたものだった。
一方、本作は後のモンスターバース作品とはかなり雰囲気が違う。
とにかくゴジラを簡単には見せない。
姿が現れそうになったところで場面を切り替えたり、戦闘そのものを別の映像越しに見せたりと、かなり焦らす演出が続く。
公開当時は「もっとゴジラを見せてくれ」と感じた人も多かったと思うが、今見返すと、この見せ惜しみがゴジラの圧倒的な存在感を作り上げている部分でもある。
シリーズが進むにつれて怪獣バトルはどんどん派手になっていくため、この重々しい演出は第1作ならではの個性になった。
日本発祥のキャラクターへの敬意もしっかり感じられる。
渡辺謙演じる芹沢猪四郎博士が登場し、「Godzilla」ではなく日本語に近い「ゴジラ」と発音するのも印象的。直立した体型や巨大な背びれ、放射熱線など、1998年のハリウッド版とは大きく異なり、東宝版ゴジラらしい特徴をちゃんと受け継いでいる。
酷評された1998年版から16年を経て、再びハリウッドでゴジラを作るという大きな挑戦から始まり、その成功によって後のモンスターバースという巨大シリーズへ発展していくことになる。
重厚で巨大なゴジラ、陰鬱な世界観、そして映像そのものまで徹底的に暗い。
後のシリーズほど万人受けする作りには見えないが、個人的にはこの雰囲気がめちゃくちゃ好きだった。
ゴジラを単なる派手な怪獣ではなく、人間ではどうすることもできない自然災害のような存在として描いたからこその迫力がある。
怪獣が本当に怪獣らしく、巨大で、重く、恐ろしく描かれた素晴らしい作品だと思う。
メタデータ
映像レビュー
4K/HDRで浮かび上がる、様々な黒の表現
映画館で観た時は、とにかく「暗い映画」という印象が強かった。
しかしUHDで改めて観ると、その暗さこそが本作の映像的な魅力の一つだと感じる。
画面の大部分を暗部が占めながらも、その中には様々な黒が存在し、階調表現は非常に豊か。暗闇に紛れるゴジラやMUTOの姿もしっかり判別でき、皮膚の細かな質感まで見通せる。
特に素晴らしいのが、怪獣ごとの質感の違い。
ゴツゴツとした重厚なゴジラに対して、MUTOは比較的滑らかで硬質な表面を持つ。炎や照明によって巨大な身体の一部が暗闇から浮かび上がる描写は非常に美しく、暗い映像だからこそ怪獣の存在感が際立っている。
HDRの恩恵も大きく、視聴環境をきちんと整えれば、暗部を沈めながら細部を残す階調性は見事。炎や照明との明暗差も大きく、ゴジラの背びれから青い光が走り、放射熱線へ繋がる演出はまさに必殺技と呼びたくなるほどのインパクトがある。
もちろん、これだけ暗い作品なので暗室での視聴が前提になる。
明るい部屋では「暗すぎる」という評価になるのも理解できるが、ホームシアター環境で観る分には、この徹底した暗さがむしろ長所になっていた。
全編を通して暗いにもかかわらず、目立ったノイズはほとんどない。適度なフィルムらしい質感も残され、解像感についても申し分なし。
個人的には、映像面でほとんど欠点を感じなかった。
そして日本の配信環境との差も大きい。
MonsterVerse作品は配信ではHD/SDRに留まるタイトルが多いため、本作のUHDで得られるHDR表現と映像品質には大きな価値がある。
「同じ映画でもメディアによってここまで変わるのか」と実感させてくれる、非常に優秀なUHD映像だった。
技術仕様・マスター情報:IMDb Technical Specifications、Blu-ray.com、メーカー公開情報等を参照
音声レビュー
物凄い重低音の連続。
怪獣映画らしい迫力がある。
真後ろと上が目立つ。
外の音よりも、乗り物の音が目立つ。
Atmosの恩恵は大きい。
Blu-rayの7.1chからDolby Atmosへアップデートされ、音響面でもしっかりとパワーアップを果たしている。
Atmos化の効果は大きく、怪獣が登場する場面ではトップスピーカーも積極的に活用。
MUTOの目覚めをはじめ、ヘリコプターやジェット機など高さを活かせる音も多く、頭上まで含めた立体的な空間を作り上げている。
怪獣そのものの登場回数は意外と多くないが、その分、一つひとつのシーンにしっかりと見せ場が用意されている。
元が7.1chということもあり、リア側は活発に働く。
後方の音をかなり明確に鳴らすタイプで、MUTOが登場する場面などでは周囲を取り囲まれるような包囲感もしっかり味わえる。
しかし、本作で何より強烈なのは重低音。
個人的には、低音のリファレンスとして使える一本だと思っている。
特に怪獣の足音が凄まじい。
巨大な身体が一歩踏み出すだけで強烈な低音が響き、その重量を映像だけでなく身体でも感じさせる。サブウーファーの能力を試すような音が次々と押し寄せ、視聴環境によっては近所迷惑を心配するレベルだ。
巨大なものが動き、巨大なもの同士がぶつかるんだから、これくらいあって欲しいと思うレベルをしっかり表している。
しかも、ただ何でも重低音を鳴らしているわけではない。
怪獣との距離や場面によって低音の強さをきちんと使い分けており、必要な瞬間に一気に重量を乗せる。そのメリハリがあるからこそ、一歩の重さや衝撃がさらに際立っている。
怪獣映画のサウンドとして文句なし。
映像で感じる巨大さを、そのまま音響へ落とし込んだようなサウンドデザインで、映像と音が一致していることも良い音響の条件だと改めて感じさせられた。
強烈な重低音だけでなく、サラウンドやAtmosによる高さ表現まで非常に優秀。
怪獣の巨大さを全身で体感できる、ホームシアターとの相性抜群の一本だ。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
MUTO覚醒
電撃の広がりやクレーンの崩壊、そして低音の波が凄い。
怪獣たちがハワイ上陸
電磁波攻撃や広がりと低音に、津波の地響き。
MUTOに遭遇
作中屈指の暗いシーン。足音や響きが気持ちい低音を響かせる。
サンフランシスコ上陸
雨、鳥、ゴジラにMUTOで細かくトップを使用。
サンフランシスコ決戦
夜の対決で、怪獣たちの映像が素晴らしい。
総評
日本を代表する怪獣ゴジラをハリウッドで新たに描き、後の「MonsterVerse」の出発点となった巨大怪獣映画。
シリーズの中では人間ドラマが比較的濃く、映像も物語もかなりダークな作りなので、後のシリーズ作品から遡って観ると好みが分かれる作品かもしれない。
しかし、この重苦しさがあるからこそ、ゴジラが姿を現した時の圧倒的な存在感が際立っている。この圧倒的なサイズと暴力的なまでの破壊力を、人間の視点から実感させる見せ方が秀逸だった。
そして何より、このゴジラが最高にかっこいい。
重く骨太な体型に圧倒的な重量感があり、一歩一歩に巨大生物としての説得力がある。数多く積み上げたゴジラ作品の中でも個人的にはトップクラスに好きなデザインだ。
ホームシアター作品としても非常に優秀。
特に4K UHDでは徹底した暗さを活かしたHDR映像を楽しめ、Dolby Atmosでは巨大怪獣の存在を全身で感じさせる強烈なサラウンドと重低音を味わえる。
日本のゴジラ以外は認めないという人でなければ、怪獣・モンスター好きには外せない作品だろう。
公式予告編
※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。
