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あらすじ
恐竜研究の第一人者アラン・グラント博士は、ある夫婦から航空ガイドの依頼を受け、かつて恐竜実験が行われた危険な島へ向かうことになる。
しかし、その依頼には隠された目的があった。予想外の事態によって島に取り残された一行は、凶暴な肉食恐竜や危険な環境の中で、生き延びながら行方不明者の捜索を進める。
シリーズならではの緊迫したサバイバルと、新たな脅威との遭遇が描かれるアドベンチャー作品。
作品レビュー
息子を心配する母親の叫びを邪魔に思うことなんて、普通なら中々ない。
ただ今作に限っては、さすがに「ちょっと落ち着いてくれ」と思ってしまった。
『ジュラシック・パークIII』は、少し無防備な依頼人たちに振り回されるグラント博士の苦労物語でもある。シリーズ3作目にして監督がジョー・ジョンストンへ交代したことで、前2作とはテンポ感も作風もかなり変わった。
スピルバーグ作品にあった壮大なテーマ性や、科学と自然をめぐる問いかけは少し控えめ。その代わり、島からどうやって生きて帰るのかという脱出劇にかなり寄せられていて、スリラーやモンスターパニックとしての分かりやすさが強くなっている。
上映時間もシリーズの中では短めで、その分かなりテンポがいい。島へ到着してからは次々と恐竜との遭遇が続き、考える間もなく危険が押し寄せてくる。ストーリーはシンプルだが、純粋な恐竜サバイバルとしては見やすい作りになっている。
そして今回、グラント博士を振り回す存在として強烈なのが依頼人夫婦。特に母親は息子を探して島中で叫び続けるため、恐竜だらけの島でそれはまずいだろうと思わずにはいられない。ただ、実際に子供が行方不明になった親なら冷静でいられないのも当然で、その無茶な行動も含めて今作らしい“巻き込まれ型のトラブル”になっている。
恐竜側にも大きな変化がある。これまで圧倒的な存在だったTレックスだけでなく、新たな大型恐竜スピノサウルスが前面に出てくることで、シリーズに新しい恐怖が加わった。見た目も戦い方もTレックスとは違い、今作を象徴する存在としてかなり強い印象を残している。
ヴェロキラプトルもさらに賢く描かれ、単純に襲ってくるだけではない怖さが増している。加えて空から襲ってくるプテラノドンまで登場し、地上だけでなくさまざまな方向から恐竜に追われる作品になった。
前2作と比べると、世界観の広がりや物語の重厚さでは少し小粒に感じるところもある。ただ、その分余計な寄り道が少なく、恐竜から逃げる、襲われる、生き延びるというシリーズの楽しさをかなりストレートに味わえる。
シリーズ全体ではやや異色の一本だが、恐竜パニック映画としての勢いは十分。深く考えるよりも、グラント博士と一緒に次々と降りかかる災難を乗り越えていく、コンパクトでテンポの良い恐竜サバイバルとして楽しめる作品だった。
メタデータ
映像レビュー
HDRで自然になった夜と夕暮れの明暗表現
初代から8年、前作から4年後の作品だが、映像の方向性はシリーズでかなり一貫している。
年代が進んだことで多少の洗練は感じるものの、見た瞬間に大きく世代が変わったと思うほどの進歩ではない。
本作の2018年UHDは4K DIで仕上げられたリマスターで、3840×2160のネイティブ4K映像として収録されている。HDR10にも対応し、旧Blu-rayから映像面がアップデートされた。
シリーズらしいフィルム感は残っているが、前2作と比べるとグレインは少し落ち着いて見える。配信版ではより昔ながらのフィルムらしい質感が強かったので、UHDでは若干すっきりした印象になった。
ぱっと見では「これのどこが4Kなんだろう」と思うくらい派手な精細感はない。ただ、HD版と比べると違いは確実にあり、人物のアップよりも、複数人が同時に映る場面や少し引いた構図の方が情報量の差を感じやすい。ジャングルの葉や衣服など、細かな部分も少しずつ見やすくなっている。
それ以上に効果が大きいのがHDR10。SDRでは全体的に明るく、夜の場面でも常に月明かりが差しているように見えるところがあったが、UHDでは夜はしっかり暗くなる。夕暮れ時の微妙な薄暗さも自然で、時間帯による光の違いがかなり分かりやすくなった。
色もSDRの派手さから少し落ち着き、ジャングルの緑や肌色を含めて全体的に自然なトーン。炎や光源など必要な部分にはきちんと強さがあり、HDRらしいメリハリも感じられる。
最新の4K作品ほど鮮烈な画質ではないが、年代を考えれば十分に見やすい。解像感だけで驚かせるタイプではなく、暗部や色、細かな情報量を自然に整えたことで、作品本来の雰囲気を残しながら一段きれいになった映像だった。
技術仕様・マスター情報:IMDb Technical Specifications、Blu-ray.com、メーカー公開情報等を参照
音声レビュー
シリーズ恒例で重さは十分。
若干雑味はあるが迫力十分。
とにかく後ろ、移動感は無し。
5.1chから若干、音が増えている。
絵的には派手だが不足気味。
DTS:Xへアップデートされているものの、シリーズ3作を続けて見ると、進化の幅は今回が一番小さく感じた。
環境音は少し厚くなり、トップスピーカーにも場面に応じて音が配置される。ジャングルの自然音や恐竜の気配が上下を含めて広がることで、従来より空間そのものは広くなっている。
ただ、映像を見ていると「ここはもっと大胆に上を鳴らしても良かったのでは」と感じる場面も多い。今回は翼竜が登場し、飛行機が墜落するような高さを活かせそうなシーンもあるが、トップの使い方は意外と控えめ。映像の派手さに音が追いついていないと感じるところもあった。
前2作と比べると、DTS:X化による変化の大きさは個人的には1作目、2作目、3作目の順。シリーズを通して音作りが安定してきたとも言えるが、その分、新鮮な驚きは少なくなっている。
一方、低音は相変わらず良い。大型恐竜の足音や動きにはしっかり重量感があり、スピノサウルスのような巨大な存在が迫ってくる場面では十分な迫力がある。ダイナミックレンジも広めで、静かな場面から一気に恐竜が暴れ出す変化も力強い。
サラウンドも基本的には派手で、後方から恐竜の鳴き声や動きが飛び込んでくる感覚はシリーズらしい。ただ、音質やチャンネルの使い方そのものは前作までとかなり似ていて、1993年の一作目から続く方向性を大きく変えるようなリミックスではない。
決して悪い音ではなく、恐竜映画としての迫力は十分。それでも、せっかくDTS:Xへアップデートするなら、翼竜や飛行機など高さを使える場面でもう少し大胆に遊んでほしかった、というのが正直なところ。
UHD化によって音場は少し広がったものの、劇的な変化というより、シリーズのサウンドを崩さず現代環境へ整えたアップデートだった。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
飛行機クラッシュ
今作で一番音が派手なシーン。上も後ろも使うし、低音も響く。
翼竜の巣
谷間でのシチュエーション、映像ほどには上を使わない。
雨の川下りで
雨は上、雷は下という珍しい作り。豪雨で水中もあり。
総評
1作目のインパクトがあまりにも強く、2作目も十分に楽しめた。その流れで迎えた3作目だけに、当時はどうしても期待値が高くなっていたと思う。
監督が変わったことで作風も少し変化し、前2作と比べると評価を落とした印象はある。ただ、人気シリーズが続いていけばこういう作品が出てくるのは珍しくないし、単体の恐竜サバイバル映画として見れば、そこまで悪い作品ではない。
UHD版も三部作の中では一番インパクトが弱めに感じるが、画質も音質も一定の水準には達している。個人的にはDTS:Xでもう少し派手に高さ方向を使ってほしかった、というくらいで、大きな不満はない。
登場人物については前2作ほど魅力を感じなかったものの、このシリーズの主役はやはり恐竜。新たに登場するスピノサウルスや翼竜など、恐竜映画としての見せ場はしっかり用意されている。
そもそも巨大な恐竜が歩き、走り、襲いかかってくる映画は、それだけで大画面とサラウンドとの相性が良い。シリーズの中では少し異色で小粒な一本ではあるが、ホームシアターで楽しむ恐竜映画として必要なところはきちんと押さえている作品だった。
公式予告編(海外版)
※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。
