作品データ
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あらすじ
審判の日を回避した戦いから約10年。成長したジョン・コナーは、住所も仕事も持たず、電子記録を残さない生活を続けていた。未来の人類を導く運命を背負いながらも、その役目を果たす日は訪れず、母サラを失った彼は社会から身を隠すように生きている。
そんなジョンの前に、未来から新型ターミネーター「T-X」が送り込まれる。高度な戦闘能力と機械を操る機能を備えたT-Xの目的は、ジョン本人だけでなく、将来の抵抗軍を支える重要人物たちを抹殺することだった。
一方、ジョンと獣医師のケイト・ブリュースターを守るため、旧型ながら強化されたT-850も未来から現れる。迫り来るT-Xの追跡をかわしながら、ジョンたちは軍のコンピューターネットワークに広がる異変と、再び近づきつつある審判の日の真相を知ることになる。
作品レビュー
『ターミネーター2』で審判の日を回避し、未来は自分たちの手で変えられるという希望を残してから約10年。サラ・コナーたちの戦いによって1997年の核戦争は起こらなかったが、人類と機械の戦争そのものが完全に消えたわけではなかった。
成長したジョン・コナーは、記録に残る生活を避けながら各地を転々としている。
かつて未来の救世主になると教えられた少年の面影は薄く、母サラを失った後も、いつ始まるかわからない戦争の恐怖から逃れられない。前作では未来を背負わされた活発な少年だったが、今作では目的を見失い、自分が本当に必要とされるのかもわからない青年として描かれている。
サラはすでに亡くなっており、直接登場することはない。
しかし、審判の日が来ると信じ続け、最後まで備えていた彼女の存在は物語の随所に残されている。ジョンが社会から距離を置いているのも、サラから教え込まれた生き方の延長だ。シリーズの中心人物を退場させた判断は寂しいが、彼女の執念が息子の中に残っていることは十分に伝わってくる。
ジョンを守るために送られてきたのは、再びアーノルド・シュワルツェネッガー演じるT-850。外見は前作のT-800と同じだが、内部構造や電源が強化された改良型であり、ジョンだけでなく、未来で重要な役割を担うケイト・ブリュースターの保護も任されている。
一方、スカイネットが送り込んだT-Xは、女性型の姿を持つ新型ターミネーター。液体金属の表面と機械の骨格を併せ持ち、腕をさまざまな武器へ変形させるだけでなく、ほかの機械を遠隔操作する能力まで備えている。
ただし、作品の雰囲気は重厚だった前作よりもかなり軽い。
おなじみの裸で現れる場面や衣服を奪う展開、決め台詞の再使用など、シリーズを意識したセリフ回しやギャグが何度も盛り込まれる。懐かしさはあるものの、さすがに狙いすぎていて、緊張感を削いでいる場面も少なくない。前作の名場面を別の形で再現しようとする姿勢も強く、新鮮さより既視感が先に立つところは否定できない。
その一方で、アクション映画としての見応えは十分にある。
特にT-Xが巨大クレーン車を操り、市街地を破壊しながらジョンたちを追跡する場面は圧巻。消防車や建物を次々となぎ倒していく物量と、重量感のある破壊描写には、現在見ても通用する迫力がある。T-850とT-Xの肉弾戦も、機械同士が容赦なく互いを破壊する力強さがあり、ド派手な娯楽作としてはかなり楽しめる。
そして本作最大の特徴は、審判の日を再び止めるのではなく、避けられない出来事として描いた結末にある。前作で破壊されたサイバーダイン社とは別に、軍が開発を進めたことでスカイネットは誕生してしまう。これまでの努力を否定されたようにも見えるが、同じ計画がそのまま復活したわけではなく、歴史を変えた結果として発生時期や誕生経路が変化したと考えれば理解しやすい。
希望を残した『2』に対し、『3』は破滅を受け入れ、その先の戦いへ踏み出す物語となっている。そのため『ターミネーター2』の結末を大切にしているファンほど、受け入れにくい作品かもしれない。
確かに前作ほどの完成度や緊張感はなく、過去作への依存も目立つ。
それでも、逃げ続けていたジョンが最後に人々からの通信へ応答し、未来の指導者として最初の一歩を踏み出す結末は、新たな希望の始まりとしては悪くなかった。
名作の続編として不満が残る部分はあるが、ド派手なアクションと大胆なラストを備えた一本として、自分はそれほど嫌いではない。
メタデータ
※ビットレートはプレイヤー再生時の実測目安です。場面により変動します。
映像レビュー
甘さが残る映像やCGの質感と、フィルムらしい映像の雰囲気
シリーズで唯一4K化されていないため、現時点ではこのBlu-rayが最高品質ということになる。
しかし、画質は今見るとさすがに中の下くらいだろうか。
2003年の作品なので、この時代のBlu-rayとしては仕方ない部分もあるが、全体的に解像感は甘め。遠景はぼやけやすく、人物の顔がアップになれば悪くないと感じる程度で、4K映像が当たり前になった現在では高画質とは言えない。
目立ったノイズは少ないものの、細部の情報量は物足りない。
CGを使用した場面も判別しやすく、前作から10年以上が経過している割に、映像面で圧倒的な進歩を感じるほどではなかった。T-850の視点映像は表示が細かくなり、そこには多少の時代の変化が見られる。
SDRらしく夜の場面も比較的明るく見やすいが、色彩の鮮やかさやコントラストの強さは控えめ。暗部表現にもHDR作品のような深さはなく、全体に平坦な印象が残る。
一方でフィルムらしい質感はしっかり残されており、映画的な雰囲気としては好ましい範囲に調整されている。ただ、映像面で積極的に評価できるところはそれくらいだろうか。
Blu-rayにも品質差はあるが、本作は良くも悪くも時代相応。作品の規模や派手なアクションを考えると、4K化によるアップデートを強く期待したくなる映像だった。
音声レビュー
重い。特にクレーン車のシーンは激烈。
非常に威力のある轟音系サウンド。
前後の移動感は完璧。
他と比べると印象は薄め。
アップミックス効果は限定的。
映像とは打って変わり、音声はものすごい。
とにかくアクションシーンでの低音と音の勢いが素晴らしく、ターミネーター同士が無茶苦茶にぶつかり合う作品にふさわしい無茶苦茶な音へ仕上がっている。
特に前半のクレーン車によるチェイスは、音量注意と言っていい強烈さ。
巨大車両が道路や建物を破壊しながら突き進み、これでもかと長時間にわたって轟音を浴びせてくる。低音の量も非常に多く、衝突や爆発のたびに部屋が揺れる。
大半は実際の車両を使って撮影されたとのことだが、それも頷ける圧巻の迫力。
ダイナミックレンジもかなり広く、映像的に強烈な場面では、音もきっちり同じだけの強さで応えてくれる。一撃ごとの重量や威力が音からはっきり伝わり、ターミネーター同士の戦いなら、これくらい荒々しいほうが自然に思えるほどだ。
物体の移動感や定位も非常に派手。
車両や兵器が前後左右へ動き回り、銃撃もさまざまな方向から感じられ、リアスピーカーの使用頻度もかなり高い。アクションが始まれば必ずと言っていいほど後方が活発になり、音に囲まれる感覚も相当に強い。
アップミックスによる高さ方向の効果は限定的で、天井側まで大きく広がる場面はそれほど多くなかった。ただし、元の5.1ch音声があまりにも強力なので、物足りなさはほとんど感じない。
前作も優秀な音だったが、今作ではそこへさらに重さと派手なサラウンドが加わった印象。UHDもなく、Dolby Atmosへの更新も行われていない作品ではあるが、そんなことは全く気にならない。
5.1chという枠の中では最高峰と呼びたくなる音声であり、映像よりも明らかに音で楽しむ価値が高い一本だった。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
市街地チェイス
5.1chサラウンドの全ての要素が詰まったシーン。
墓地にて
車や銃声に囲まれ非常に賑やか。
スカイネットの反乱
殴り合いは重くなり、銃声や飛行機型までバリエーション豊かに鳴らす。
総評
公開当時は、あまり評判が良くなかったと記憶している。特にジョン・コナーの変わりっぷりに落胆した人は多かったのではないだろうか。
新たに登場するケイトやT-Xも、それぞれ物語上の役割はあるものの、前作の人物たちが持っていた強烈な存在感と比べると、どうしても華に欠ける印象は残る。
しかし、自分自身が年齢を重ねてから見直すと、以前ほど悪くは感じなかった。
人は環境によって変わるものだし、幼い頃から世界の終末と自分の使命を教え込まれ、普通とはかけ離れた生活を送ってきたジョンが、安定した大人になれなかったとしても不思議ではない。むしろ、あの少年時代の影響を残したまま成長した結果だと考えれば、ある程度は納得できる。
『2』で一度は綺麗に物語が完結してはいるが、その後の変化し続ける未来の一つの形として見れば、本作の展開もそれほど不自然ではない。
サイバーダイン社を破壊したことで歴史は変わったが、別の経路からスカイネットが誕生し、審判の日が先延ばしになったという説明は比較的分かりやすい。
ジョンの変化、新たな守護者と敵、新しい審判の日、そして避けるのではなく受け入れる結末まで、さまざまな方向へ挑戦した姿勢は見て取れる。
もちろん、ターミネーターとの交流を通じて少年ジョンと機械の双方が変化していった前作と比べれば、ドラマ部分は大きく劣る。名台詞の再利用やギャグも少々くどく、『2』の成功を意識しすぎたような場面も目立つ。
それでも、実物の大型クレーン車や大規模なセットを使った市街地チェイスをはじめ、ターミネーターらしいド派手なアクションは見応え十分。そこに轟音系サラウンドが加わり、ホームシアターで楽しむアクション作品としては個人的に高く評価したい。
1,2を愛するファンには気に入らない点も多いだろうが、マルチバースや分岐した時間軸が当たり前になった現在なら、数ある未来の一つ、あるいは別の可能性を描いたターミネーターとして見るのも悪くない。
前作を超える続編ではない。
それでも、シリーズの希望を壊しただけの失敗作とも言い切れない。少し距離を置いて一本の大作アクションとして見れば、意外なほど楽しめる作品だった。
公式予告編
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