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あらすじ
現代社会での生活に少しずつ適応しながら、S.H.I.E.L.D.の任務に参加していたスティーブ・ロジャース。
だが、組織の内部で進められている計画に疑問を抱き始めた矢先、信頼していた人物が襲撃され、彼自身も追われる立場になってしまう。
ブラック・ウィドウと共に真相を探る中で、スティーブはS.H.I.E.L.D.の中に長年隠されてきた巨大な陰謀と、謎の暗殺者「ウィンター・ソルジャー」の存在にたどり着く。
作品レビュー
『アベンジャーズ』後のスティーブ・ロジャースを描く単独シリーズ第2作。現代社会にも少しずつ適応し始めたスティーブだが、S.H.I.E.L.D.の任務に参加する中で、そのやり方に少しずつ疑問を持つようになる。
特に今作で強く描かれるのが、「自由」と「安全」のどちらを優先するのかという問題。S.H.I.E.L.D.とフューリーが安全保障のために進めていた計画「プロジェクト・インサイト」は、将来脅威になり得る人物を監視し、実際に何かを起こす前に排除しようとするシステムで、安全を守るという名目のもとに自由を奪っていく。
スティーブはそもそも「脅威になるかもしれない」という理由で先回りして排除する考え方そのものに疑問を抱く。そこへヒドラが計画を利用し、将来自分たちに抵抗し得る人間まで大量に選別して抹消しようとしていたことが明らかになる。第二次大戦を生き、自由のために戦ってきたスティーブだからこそ、この思想と真っ向からぶつかることになる。
ニック・フューリーへの襲撃をきっかけに、スティーブ自身もS.H.I.E.L.D.から追われる立場になり、ブラック・ウィドウと共に逃亡しながら真相を追っていく。正面から正義を貫こうとするスティーブと、任務のためなら嘘や駆け引きも使うナターシャでは考え方がかなり違うが、その対比も本作のスパイ映画っぽさにつながっている。
やがて明らかになるのが、S.H.I.E.L.D.内部に長年潜伏していたヒドラの存在。『ザ・ファースト・アベンジャー』に登場したアーニム・ゾラまで意外な形で再登場し、過去の敵が現代まで生き残っていたことが分かる。S.H.I.E.L.D.を監督する世界安全保障理事会の高官、アレクサンダー・ピアースも、表向きは理性的で信頼できそうに見えるだけに、かえって怪しく、作品に静かな緊張感を与えている。
そして何より強烈なのが、謎の暗殺者ウィンター・ソルジャー。その正体がスティーブの過去と深く結びついていることで、単なる敵との戦いではなくなっていく。ヒドラによる洗脳を受けながらも、かつての親友を救おうとするスティーブの姿は、この作品以降のMCUにもつながる重要な軸になっている。
さらに今作では、ファルコンことサム・ウィルソンも初登場。元軍人同士だからこそ通じるものがあり、スティーブにとって新たに信頼できる仲間になっていく流れも自然だった。
そして個人的に、本作はMCUだけでなくアクション映画としても最高峰だと思う。とにかく魅せ方が格好良く、近接戦、銃撃、カーチェイス、空中戦までテンポよくつながり、常にスピード感がある。ヒーロー映画らしい派手さを持ちながら、地に足のついた肉弾戦の重さもしっかりあり、見ていて本当に気持ちいい。
S.H.I.E.L.D.そのものを崩壊させるほどMCU全体へ大きな影響を与えながら、政治スリラーやスパイ映画としても成立しているのが本作の強さ。ルッソ兄弟にとってMCU初監督作であり、後の『シビル・ウォー』『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』へつながる演出やテンポの原点もすでに感じられる。
命令に従う兵士だったスティーブが、自分自身で何が正しいのかを判断して行動する人物へ変わっていく物語としても非常に重要。バッキーとの友情を含め、キャラクター、テーマ、アクションのすべてが高いレベルでまとまった、MCU屈指の作品だった。
メタデータ
映像レビュー
巨大ヘリキャリアが見せるVFXとスケール感
4K配信としては、標準以上の安定した画質。
ARRIRAW 2.8K撮影を中心に、一部でRED 5Kも使われ、最終的には2K Digital Intermediateで仕上げられたアップスケール4K。バキバキにシャープなタイプではなく、屋外や遠景では少し甘さを感じる場面もあるが、HDより一段上の精細感はしっかり感じられる。
本作はアクションの動きが非常に速く、カメラも大きく動くが、そうした場面でもノイズ感は目立たず、全体としてクリアで現代的。特にヘリキャリアのようなVFX中心と思われるシーンは完成度が高く、巨大構造物のスケール感も十分。画質そのもの以上に、映像設計の迫力が強く印象に残る。
今作ではキャプテン・アメリカのスーツも一新され、落ち着いたネイビーを基調とした現代的なデザインが非常に格好いい。暗い場面でも色味はきちんと判別でき、黒に沈みすぎることもなく階調は安定している。ウィンター・ソルジャーの金属製サイバネティック・アームも質感がよく、スティーブの赤・白・青のシールドと対になるようなシルバーの輝きが印象的。
色彩は極端に鮮やかでも、強烈なコントラストで押すタイプでもない。全体的に落ち着いた色調で、自然光や街灯、室内照明の当たり方もリアル。政治スリラーやスパイ映画のような本作の作風には、この抑えたルックがよく合っている。
アップスケール由来の甘さを感じる場面はあるものの、大画面でも十分に耐えられる。画質以上に映像そのものの完成度が高く、これだけダイナミックなアクションならIMAX Enhancedでも見てみたくなる作品だった。
技術仕様・マスター情報:IMDb Technical Specifications、Blu-ray.com、メーカー公開情報等を参照
音声レビュー
爆撃とヘリキャリア以外ほとんど重さを感じない。
鋭さはあるが、強烈とまではいかない。
ファルコンとヘリキャリアが出る終盤は素晴らしい。
船、基地、人混みなど、雰囲気作りは悪くない。
マーベルらしい細かな活用。
細かなところで惜しさを感じるDolby Atmos音声。
基本的な音質は良く、音の立ち上がりにもキレがある。特にキャプテン・アメリカのシールドがぶつかる音や跳ね返る音の響きは非常に気持ちよく、セリフも終始クリアで聞き取りやすい。
一方で、アクション映画として期待するほどの圧力はあまり強くない。銃撃や爆発にも一定の迫力はあるが、ダイナミックレンジはそれほど大きく感じられず、一発ごとの衝撃が少し軽い。低音も基本的には控えめで、しっかり重量感が出てくるのは終盤のヘリキャリアを中心とした場面くらいだった。
サラウンドの使い方もやや控えめ。ニック・フューリーが激しい銃撃を受ける場面ですら、リア側は思ったほど積極的に使われず、基本的にはフロント中心の音場になっている。終盤になるとファルコンの飛行や戦闘機、ヘリキャリアの移動に合わせて前後の動きも活発になり、ようやく大規模アクションらしい広がりが出てくる。
トップスピーカーも同様で、ポイントではきちんと活用されるものの、常に高さ方向を強く意識させる設計ではない。終盤では使用頻度も上がり、Atmosらしい立体感は感じられるが、全体としては無理に派手にせず必要な場面へ絞って使うタイプ。
決して悪いミックスではなく、音のキレや明瞭さ、終盤の立体感は十分。ただ、映像側のアクションがあまりにも格好良く迫力もあるため、それに対して音が少し控えめに感じてしまう。もう少し低音とリア方向への広がりがあれば、一段上のサラウンド体験になったと思う。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
人質救出ミッション
サラウンドは爆発くらいだが、映像はめちゃくちゃカッコイイ。
フューリーを襲撃
囲まれて撃たれるのも以外に後ろは使わず、チェイスで少し。
スティーブ家に襲撃
盾投げくらいだが、映像はやはりカッコいい。
エレベーターバトル
スティーブの超人っぷりを確認。トップもいくらか使う。
ゾラの計略
古びたPCで最後のミサイルアタック。
vs ウィンターソルジャー
右腕の唸りがカッコいい格闘戦。迫力も中々。
ヘリキャリアでの最終バトル
ファルコンが作中で一番サラウンド。映像は最後まで素晴らしい。
総評
この作品を見るまでは、キャプテン・アメリカは普通の人間より少し強いくらいのヒーローだと思っていた。
しかし今作では、その認識を完全に覆すほど超人的な身体能力を見せつける。現代風にアレンジされたスーツも格好良く、シールドを縦横無尽に使った近接戦や高速移動、ウィンター・ソルジャーとの激しいバトルまで、とにかくアクションの魅せ方が無茶苦茶カッコいい。この一作で、MCUの中でもトップクラスに好きなキャラクターになった。
物語はS.H.I.E.L.D.内部へ潜り込んでいたヒドラとの戦いを中心に、洗脳されたバッキー、ニック・フューリー、ブラック・ウィドウ、ファルコンといったキャラクターも活躍する。それまでのMCUで多かった宇宙人や神、怪物との戦いとは違い、人間に近い者同士の攻防へ寄せたことで、スパイ映画や政治スリラーのような緊張感が生まれているのも良かった。
正面から敵へ乗り込んで大暴れするだけではなく、追われる側に回りながら情報を探り、組織の内部に潜む敵へ近づいていく展開も新鮮。ヒーロー映画としての派手さを残しながら、地に足のついたアクション作品として成立している。
映像の迫力も素晴らしく、大画面との相性は抜群。音声は映像ほど強烈ではないものの、Atmosによる高さ方向の表現もちゃんとあり、全体として十分なクオリティを持っている。
どれだけ不利な状況でも信念を曲げず、最後まで諦めないスティーブの姿は、まさに王道のヒーローそのもの。MCU作品としてだけでなく、一本のアクション映画として見ても最高レベルに楽しめる作品だった。
公式予告編
※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。
