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あらすじ
前作の事件から数年後。
盲目の老人ノーマン・ノードストロムは、人里離れた家で少女フェニックスと暮らしていた。外の世界を危険な場所だと教えながら、厳しい訓練を課し、彼女が自分の身を守れるよう育ててきたノーマン。
そんなある夜、武装した男たちが家へ侵入し、フェニックスを連れ去ろうとする。
かつて侵入者を追い詰めた家は再び戦いの舞台となり、ノーマンは少女を守るため男たちに立ち向かう。
しかし襲撃者たちの目的が明らかになるにつれ、フェニックス自身の過去と、ノーマンが隠してきた事実も少しずつ姿を現していく。
作品レビュー
前作の事件から数年後。今度は見知らぬ少女フェニックスと暮らしている、盲目の老人ノーマン。
外の世界を危険だと教えながら、ホームスクールを強制し、彼女にサバイバル能力や戦う術まで叩き込んでいるあたり、前作とはかなり違う物語の始まり方だ。
そして本作は、内容そのものも大きく変化している。
前作では、家に侵入した若者たちが老人に追い詰められていくという、静寂と緊張感を活かした閉鎖空間スリラーだった。
しかし今作では、逆に外から武装した集団が侵入し、ノーマンがフェニックスを守るために戦うことになる。そのためジリジリとしたサスペンスよりも、格闘や追跡、反撃といったアクション要素がかなり強くなっている。
フェニックス自身もただ守られるだけではなく、ノーマンから徹底的に鍛えられているため、危険な状況でも自分で考えて動き、年齢からは想像できないほど逞しい。この「めちゃくちゃ鍛えられた子供」という設定も、作品のアクション性とよく合っていて面白かった。
さらに物語が進むと、フェニックスの実の親に関する事情も明らかになっていく。
ところが、これがまたとんでもない。
前作を観ている以上、ノーマンを善人として見ることなど到底できないのだが、それでも実の親側の異常さを知ると、相対的にノーマンの方がまともに見えてくる瞬間すらある。善悪の線引きがかなり歪んでいるところは、このシリーズらしい部分かもしれない。
そして結果的に、本作はかなり変則的な親子愛の映画になっている。血のつながりがあるから親なのか。一緒に過ごし、守ろうとする存在こそ親なのか。
もちろんノーマンが過去に行ったことが消えるわけではない。それでもフェニックスを守ろうとする行動には、彼なりの愛情が感じられる。
スリラーとしての完成度だけを比べれば、個人的には前作の方が上。音を立てられない緊張感や、狭い家の中で立場が逆転していく構造は1作目ならではだった。
ただ、続編でまったく同じことを繰り返すより、ここまで思い切って方向性を変えたのは良かったと思う。
前作の設定やキャラクターを残しながら、アクションと親子ドラマへ形を変えた続編となって、同じシリーズでありながら、違った楽しみ方のできる一本だった。
メタデータ
映像レビュー
HDRで改善された暗い室内の表現
2021年製の4K作品として考えると、諸手を挙げて高画質とは言いにくい映像。
解像感に関しては「これぞ4K」と感じられる場面がそれほど多くなく、特に暗いシーンではさらに甘さが目立つ。全体としてはBlu-rayの近い解像感で、視聴環境によっては前作のBlu-rayと大きな差を感じない場面も多い。
本作も前作同様に暗いシーンが非常に多いため、なおさら4Kらしい細部の精細さを実感できる機会そのものが少ない。
一方、明確に進歩したのがHDRへの対応。
暗い室内でも服装や壁、家具などのディテールがある程度判別でき、単純に黒く潰してしまうような映像ではなかった。ライトや窓から差し込む光などにはHDRらしい輝きもあり、SDRで感じやすい平坦さはかなり抑えられている。
前作のような暗い世界観を維持しながら、明暗のメリハリや暗部の階調表現が改善されたことは大きい。
ただし、4K作品として見ると突出した長所は少ない。
人物や背景の細部に多少の甘さはあるものの、大きな破綻やノイズが目立つわけでもなく、普通に映画を楽しむ分には十分な品質。
かなり痛々しい描写も多い作品なので、ある意味では過剰に鮮明すぎない映像が作風に合っているとも感じる。
4Kらしい解像感には物足りなさが残るが、HDRによって前作より暗部表現は確実に進歩していた。
技術仕様・マスター情報:IMDb Technical Specifications、Blu-ray.com、メーカー公開情報等を参照
音声レビュー
前作同様の使い方だが、頻度は減った。
あらゆるアタック音が素晴らしい。
後方はほぼ方向感なく、上の方があり。
前作同様、静かな郊外と空気感がメイン。
足音を上手く使った作り。
前半と後半で性格がはっきり変わる作りの音声。
Atmosらしさを最も分かりやすく感じるのは前半。
自宅へ侵入者が入り込んだ場面では、上階を移動する足音がトップスピーカーからはっきり聞こえ、人物が頭上を動き回っているのが分かる。それ以外でも高さ方向が使われる場面はいくつかあるが、Atmosの存在を最も強く感じるのはこのあたりだ。
ダイナミックレンジは前作同様かなり大きい。
銃声だけでなく格闘や物がぶつかる衝撃音まで強く鳴り、アクション要素が増えた今作によく合った迫力がある。静寂や空気感を利用した緊張感では前作の方が一枚上だが、本作では戦闘や追跡が増えたことで音の種類そのものが豊富になっている。
舞台は今回も建物内部が中心。そのため周囲から音に囲まれる感覚は前作同様に優秀だが、行動範囲や登場人物が増えたことで音場も広くなった感がある。
低音の使い方も前作にかなり近い。頻度そのものは少し減ったものの、緊張感を作る場面では重い響きが加えられ、不穏な空気をしっかり作っている。
そして前作と同様、物語が進むにつれてサラウンドの使用頻度と方向感も増していく。
前半では閉鎖空間の不安を作り、逆に攻め込んでいく後半ではアクションの勢いを支える方向へ変化していくため、作品の展開と音響がうまく連動している。
Dolby Atmosへの対応も単なるフォーマット追加ではなく、高さ方向を使うべき場面ではきちんと活用されている。
1作目のような静寂を武器にしたジリジリした攻防ではなくなったが、アクション色を強めた続編に合わせて音響も明確に変化。
前作とは違った方向で楽しめる、迫力十分のサラウンドサウンドだった。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
vs 侵入者
トップを使うのは前半。迫力も素晴らしい。
娘を助けに悪人退治
方向感や動きが出てきて、より派手に。
総評
前作の要素をしっかり受け継ぎながら、作風を変えることで違った楽しさを作った続編。
1作目にあった、音を立てられない状況で少しずつ追い詰められていくジリジリとした緊張感はかなり薄くなった。それでも暗い建物、盲目という設定を利用した戦い方、方向感を活かした音響など、『ドント・ブリーズ』らしさはきちんと残っている。
今回は侵入してくる側が完全な悪人なので、前作とは違って素直にノーマンを応援しやすいのも面白い。もちろん前作での行動を考えれば決して善人ではないが、フェニックスを守るために戦う姿は完全に保護者そのもの。
フェニックス自身も厳しい英才教育のおかげで、ただ助けられるだけではなく、危険な状況でしっかり活躍してくれる。拾ってきた少女とはいえ、一緒に暮らし、育ててきた二人の関係には意外なほど親子らしさがあり、変化系の親子愛ストーリーとしても楽しめた。
敵の人数や舞台の範囲も広がり、閉鎖空間スリラーとしての緊張感なら前作の方が上だと思うが、続編で同じことを繰り返さず、アクションへ振った判断は悪くない。
映像もHDR対応によって前作から少し進歩し、Dolby Atmosによる音響はアクション色を強めた作風に負けない迫力。
難しい物語を追う必要もなく、前作よりスリラー要素が減った分、むしろ気軽に楽しみやすい娯楽作品になった。
シリーズらしさを残しながら、きちんと変化も付けた続編だった。
公式予告編
※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。
