ドント・ブリーズ

ドント・ブリーズ

作品データ

作品名
ドント・ブリーズ
Don't Breathe
公開年
2016年
上映時間
88分
ジャンル
レビュー対象
Blu-ray
映像仕様
HD/SDR
音声仕様
DTS-HD MA 5.1ch
当サイト評価
総合 8/10
音響 8/10
外部評価
IMDb 7.1 / 10
Filmarks 3.5 / 5
映画.com 3.6 / 5
他サービス
NetflixHDSDR5.1ch
Prime VideoHDSDR5.1ch
U-NEXTHDSDR2ch
HuluHDSDR2ch
Apple TVHDSDR5.1ch

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STORY

あらすじ

デトロイトで暮らすロッキー、アレックス、マネーの3人は、裕福な家に忍び込んで金品を盗む生活を続けていた。

そんな彼らが次の標的に選んだのは、ある事故で多額の示談金を得たという盲目の老人。人通りの少ない地区にひとりで暮らしていることから、簡単な仕事になるはずだった。

しかし深夜に侵入した3人は、老人が決して無力な存在ではないことを知る。家の構造を熟知し、わずかな音や気配を頼りに彼らを追い詰めていく老人。

やがて出口を失った家の中で、侵入者と家主の立場は完全に逆転する。

静寂に包まれた閉鎖空間を舞台に、物音ひとつが命取りになる逃走劇が始まる。

REVIEW

作品レビュー

デトロイトで空き巣を繰り返すロッキー、アレックス、マネーの3人が狙ったのは、人通りの少ない地域にひとりで暮らす盲目の老人。

簡単な仕事のはずだった侵入は、老人が予想以上に手強い存在だったことで一変する。

物語の舞台はほぼ一軒家だけ。
それでも単調さを感じにくいのは、狭い空間の使い方と、そこで鳴る音を徹底的に活かしているからだろう。

床の軋み、呼吸、足音、わずかな物音ひとつが危険につながり、登場人物たちと一緒に息を潜めるような緊張感が続く。閉鎖空間を舞台にした作品は数多くあるが、本作は「音を出してはいけない」という条件を物語そのものに組み込んだことで、かなり個性的なスリラーに仕上がっている。

監督はフェデ・アルバレス。
前作『死霊のはらわた』では大量の血と激しいゴア表現を前面に出していたが、本作ではその方向から大きく変わり、静寂とサスペンスを中心に組み立てている。
後には『エイリアン:ロムルス』のようなSFホラーまで手掛けており、ジャンル作品の中でもかなり幅の広い監督だと感じる。

そして本作は制作費約1000万ドルという比較的小規模な作品ながら、世界興収は1億5000万ドルを超える大ヒット。
豪華な舞台や派手なVFXがなくても、設定と演出だけでこれだけ観客を引き込めるという、低予算スリラーのお手本のような成功例でもある。

物語の構造も面白い。
そもそも家に侵入した若者たちは犯罪者なので、決して正義の主人公ではない。ところが話が進むにつれて、被害者であるはずの老人にもかなり異常な一面があることが分かってくる。
「侵入者が悪い」で終わる単純な構図ではなく、どちらにも問題がある人物を配置したことで、どちらも応援出来ないという不思議な作品になっている。

規模としては非常に小さく、ほとんど一軒の家から出ない物語。それでも、こうした限られた空間の中でルールを作り、少ない登場人物だけで緊張感を維持するタイプの作品は個人的にかなり好きだ。

入る直前にタバコを吸っていたり、化粧した女性がいたりと、匂いで分かりそうなものだが、そこはエンターテイメントなのでお約束としておこう。

ジャンルとしてはホラーに分類されることも多いが、幽霊や怪物が次々登場するようなガチガチのホラーではない。
怖さの中心にあるのは、人間に追われる恐怖と「見つかったら終わり」という緊張感。そのためホラーが苦手な人でも、密室サスペンスやスリラーが好きなら十分楽しめるはず。

大掛かりな仕掛けではなく、アイデアと演出、そして静寂を武器にした、非常に完成度の高い閉鎖空間スリラーだ。

SPEC

メタデータ

映像レンジ / 解像度 / アスペクト比
SDR / 1920×1080 / スコープ
輝度データ
SDRのため輝度データ無し
映像ビットレート
AVC / 実測目安 約20〜32Mbps
音声 / 音声ビットレート
DTS-HD MA 5.1ch / 可変 約3.0〜5.3Mbps

※ビットレートはプレイヤー再生時の実測目安です。場面により変動します。

VIDEO

映像レビュー

CHECK POINT

Blu-rayとHD配信で分かれる解像感とノイズ感

現状UHD Blu-rayは発売されておらず、4K配信もないため、画質面ではBlu-rayが最良の選択肢となる。

4K版が存在しないのは少し残念だが、Blu-rayの画質は意外なほど良好。
特に人物や室内の近景は粗さをほとんど感じず、十分な解像感がある。遠景になるとさすがに少し甘さは出るものの、大きく潰れるようなことはなく、全体としては安定している。
ノイズ感もほとんどなく、アップコンバート性能の高いプレイヤーやディスプレイを使えば、さらに見栄えは良くなりそうだ。

Prime VideoのHD版とも比較したが、Blu-rayを10とするなら8程度の印象。決して悪くはないものの、細部の解像感はやや甘くなり、若干のノイズ感も確認できる。
U-NEXT版はさらに差があり、上下の黒帯をカットして画面を拡大する仕様となっているため、その影響もあって画質はより落ちて見える。U-NEXTでは一部作品でこのような表示が採用されており、本作との相性はあまり良くない。

映画の大半が暗い場面で構成されているだけに、HDR対応版があれば暗部の階調や光とのメリハリはさらに良くなったはずで、そこは惜しいところ。
ただし、少しフィルム感を残した映像の雰囲気は作品によく合っている。

黒表現そのものが特別優秀というわけではないが、暗い室内でも必要な情報はきちんと残されており、視認性に大きな問題はない。

4KやHDRがなくても十分に楽しめる、思った以上に完成度の高いBlu-ray映像だった。

AUDIO

音声レビュー

Low Frequency Effect 4.0

重さより使い方が素晴らしい。

ダイナミックレンジ 4.5

銃声はかなりパンチあり。

定位感・移動感 4.0

印象的な方向感の出し方と、かなりの包囲感。

環境音 3.0

郊外の寂れた感じがグッド。

トップ 2.0

広げる効果はあるが、上の定位感はない。

この作品で最も重要なのは、やはり音だ。
映像以上に完成度が高く、閉鎖空間スリラーとしての緊張感はこの音があってこそ成り立っていると言って良いくらい。

特に印象的なのが低音の使い方。
ホラーやスリラーでは不安感を煽るために低い響きを使うことが多いが、本作はその頻度がかなり高い。ほぼ無音に近い場面でも静かな低音が残り続け、家の中にいるだけで圧迫感を感じる。
強く鳴らして驚かせるというより、常に何かが潜んでいるような空気を作る使い方で、作品のテイストによく合っている。

ダイナミックレンジもかなり大きく、静まり返った郊外や、家の中のわずかな物音しか聞こえない場面から、格闘、犬の襲撃、そして強烈な銃声へ一気に切り替わる。
特に銃声のインパクトは強く、静寂との落差によってさらに大きく感じられる。この静と動のメリハリが非常に上手く、物語が進んでも緊張感が途切れない。

リアチャンネルの使い方も良好。
前半は周囲の空気感や家の包囲感を作る方向が中心だが、後半になるにつれて音場全体の使用頻度が増え、映像の激しさに合わせてサラウンドも大きく動き始める。作品の展開と音響の盛り上がりがしっかり連動しているのが良い。

全体を包むような音場設計なので、アップミックスによって高さ方向へ広げる効果も感じられる。
ただし、上の階から聞こえる足音が明確にトップスピーカーへ定位するような効果はなく、あくまで空間を広げる補助的な効果に留まる。

そもそも素の5.1chがかなり優秀なので、アップミックスなしでも十分に完成されたサラウンドだ。

Prime Video版とも比較したが、こちらは映像以上に差を感じた。
Blu-rayで強烈だった銃声が配信版ではややマイルドになっており、騒音計で測定するとピークで約3dB前後低い場面もあった。3dBの差は実際に聴くと結構な差で、特に本作のように静寂から一気に音が立ち上がる作品では、迫力や緊張感への影響も大きい。

個人的には画質差以上に、こうしたダイナミックレンジの圧縮の方が差を付ける要因だと思う。
本来の静と動をしっかり味わうなら、Blu-ray版の方が明確におすすめと言える。

閉鎖空間という設定と演出を最大限に活かした、非常に優秀なサウンド設計だ。

SCENES

聞きどころ

ネタバレ注意

「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。

14:00~1:23:10
低音活用 包囲感

侵入から決着まで

前半は緩やかで、後半に激しくマルチチャンネルを活用していく。

SUMMARY

総評

小規模な作品ながら、最後まで高い緊張感を維持した完成度の高いスリラー。

登場人物のほとんどが素直に応援できるタイプではなく、侵入者側にも家主側にも問題があるという珍しい構図。それだけに両者が遠慮なく追い詰められていく展開には、どこか爽快感すらある。

一軒家という限られた舞台でありながら、状況が次々と変化するため最後まで気が抜けず、この先どう転ぶのか分からない面白さもしっかりある。

ホラーとして紹介されることも多い作品だが、怖さの中心にあるのは幽霊や怪物ではなく人間。
ある意味、人間のゾクッとする部分も描かれており、そういう意味では怖いが、ホラーが苦手な人にも比較的おすすめしやすい。

そして本作を観るなら、できれば音の良い環境を選びたい。
静寂、低音、足音、そして突然響く銃声まで、音そのものが緊張感を作る重要な演出になっている。スマートフォンなどの小さなスピーカーより、サラウンド環境や少しでもしっかりした音響で観る方が本作の良さは確実に伝わりやすい。

低予算から大ヒットを記録し、続編まで作られたのも納得。短い上映時間でサクッと楽しめる、閉鎖空間スリラーの良作だ。

当サイト評価
総合 8 / 10
音響 8 / 10

TRAILER

公式予告編

※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。

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