IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー “それ”が見えたら、終わり。

作品データ

作品名
IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー "それ"が見えたら、終わり。
IT: Welcome to Derry
公開年
2025年
話数
全8話
ジャンル
キャスト
テイラー・ペイジ / ジョヴァン・アデポ /
ジェームズ・レマー / スティーヴン・ライダー /
クララ・スタック / アマンダ・クリスティーン /
マチルダ・ローラー / エイリアン・S・カルタヤ /
ブレイク・キャメロン・ジェームズ / クリス・チョーク
レビュー対象
U-NEXT
映像仕様
HD/SDR
音声仕様
Dolby Digital Plus 5.1
当サイト評価
総合 8/10
音響 8/10
外部評価
IMDb 7.9 / 10
Filmarks 4.1 / 5
他サービス
Blu-ray : HD/SDR/Dolby Atmos
UHD Blu-ray : 4K/Dolby Vison/Dolby Atmos

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STORY

あらすじ

1962年、メイン州デリー。

町から逃げようとしていた少年が忽然と姿を消し、その行方を追う子供たちは、身近な場所で説明のつかない怪異を目撃するようになる。

同じ頃、デリーの空軍基地へ赴任した軍人一家も、町に漂う差別や不穏な空気に巻き込まれていく。一見すると平穏な町では、過去にも大勢の犠牲者を出す事件が繰り返されていた。

やがて子供たちの恐怖を利用する何者かが姿を現し、失踪事件とデリーの歴史が結びつき始める。

町の地下に潜む存在はどこから来たのか。赤い風船を持つ道化師ペニーワイズが現れる以前から続いてきた、デリーの長い恐怖が明らかになっていく。

REVIEW

作品レビュー

『IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー』は、2017年版『IT』から27年前となる1962年のデリーを描いた前日譚。

映画版と同じ世界線に位置し、再び活動を始めたITと、その影響によって町で起きる失踪や怪事件が描かれる。ルーザーズ・クラブの物語を繰り返すのではなく、映画では断片的にしか語られなかったデリーの歴史や、ITがこの土地へ根づいた理由へ踏み込んでいるのが大きな特徴だ。

物語の中心となるのは、心に傷を抱える少女リリー、友人を捜すロニー、周囲になじめないマージ、軍人一家の少年ウィルたち。
大人側では、ウィルの父で空軍少佐のリロイ、差別に立ち向かう母シャーロット、特殊な力を持つ軍人ディック・ハロランが重要な役割を担う。

登場人物は多いが、活躍の中心はあくまで子供たちだ。
それぞれが家庭や学校で悩みを抱え、最初から強いわけでも勇敢なわけでもない。それでも友人を救うために集まり、互いを信じることで恐怖へ立ち向かっていく。
映画版と同じく、怪物との戦い以上に、子供たちが自分の居場所を見つける青春と友情の物語として作られている。

一方で、大人たちの物語には軍事サスペンスの要素が加わった。

軍はデリー周辺で起きる異常現象を調査し、恐怖を操る存在を敵国へ利用できないかと考える。ITを倒すのではなく、制御して兵器にしようとする発想は、いかにも冷戦時代らしい。正体も能力も理解できていない存在を国家が利用しようとすることで、人間側の傲慢さと危うさも描かれている。

さらに本作では、ITが太古に地球へ到来した際の隕石と、その破片について新たな設定が加わった。

先住民はITを単に倒そうとしたのではなく、落下時に残された破片を利用して、デリー周辺から出られないよう封じ込めていた。破片はITに対抗できる武器であると同時に、その活動範囲を縛る結界の一部でもある。映画第2作で描かれた落下地点やシャカピワ族の伝承が、より具体的な歴史として補強された形だ。

これにより、デリーが偶然呪われた町になったのではなく、ITの牢獄を覆うように発展した土地であることも見えてくる。住民の無関心や暴力性までITの影響なのか、それとも元から存在する人間の悪意をITが増幅しているのか。その境界は最後まで曖昧で、町そのものが一つの怪物に見えてくるのが面白い。

舞台となる1962年は、黒人差別が色濃く残る時代でもある。リロイ一家は軍人であっても偏見から逃れられず、シャーロットが不当な扱いを受けた人々を助けようとする流れでは、怪物とは別の現実的な恐怖が描かれる。

ITが姿を変えて生み出す恐怖は派手だが、人間同士の差別や集団心理も同じくらい酷い。
超自然的な悪だけに原因を押しつけず、当時の社会そのものが抱えていた問題を物語へ組み込んだことで、映画版以上に大人向けの厚みが加わった。

ペニーワイズの登場を焦らしながら、ITがさまざまな姿で子供たちを襲う演出も新たなバリエーションが加わった。
映画版で確立された不自然な動きや悪趣味な遊び方を引き継ぎつつ、連続ドラマらしく怪異の種類と犠牲者が増えている。誰が最後まで残るのか分からない展開もあり、映画版を知っていても安心できない。

ただし、物語は1962年だけでは完結しない。ITが活動した更に古い時代や、映画版へ続く未来の出来事が断片的に挿入され、IT自身も時間を人間とは異なる形で認識している可能性が示される。そのため、人物の血縁や出来事の順序を整理しながら観ないと、少し混乱するところもあった。

シーズンとしての戦いにはきちんと決着がつき、子供たちの成長も含めて後味よく締められている。一方で、1935年や1908年といった過去の周期、映画版の人物へつながる関係、ペニーワイズが時間を越えて働きかける可能性など、続きへ広げられる要素も数多く残された。

映画二部作の人気に頼っただけの前日譚ではなく、デリーとITを主役に据え、世界観そのものを大きく拡張した作品だった。軍事利用、差別、先住民の伝承、子供たちの友情という異なる要素を一つの物語へまとめながら、最後にはしっかり『IT』らしい形へ着地している。

映画版を観た人ほど発見が多く、それでいて新しい登場人物の物語としても楽しめる。デリーにはまだ何が隠されているのか、さらに古い周期で何が起きたのか。綺麗に終わりながら、次の時代もぜひ見届けたくなる、非常に満足度の高い前日譚だった。

SPEC

メタデータ

映像レンジ / 解像度 / アスペクト比
SDR / 1920×1080 / ビスタ
輝度データ
SDRのためデータ無し
映像ビットレート
U-NEXTのため測定不可
音声 / 音声ビットレート
Dolby Digital Plus 5.1ch / U-NEXTのため測定不可
VIDEO

映像レビュー

CHECK POINT

映画版より明るめで、恐怖感が薄まる映像に

一目で分かるほど甘さのある画質。

HD配信ということもあり、シャープさは弱く、細部にはノイズ感も見られる。2025年の作品として考えると、映像の精細感や質感にはかなり物足りなさが残った。

映画版より前の時代を描いているため、色調はやや淡く、1960年代らしい空気を感じさせる仕上がり。フィルムを思わせる雰囲気はあるものの、グレインはほとんどなく、あくまで色作りによって時代感を演出している印象だ。

ドラマ版では昼間や明るい場所も多く、映画二部作ほど暗部を極端に沈めた映像ではない。コントラストも比較的穏やかで、色の広がりを含めてSDRらしい落ち着いた絵になっている。

そしてはっきり思ったのが、やはり暗い方が恐怖感が強いということだ。
これはTVオリジナル版でも同様だったが、ホラーは場面次第で暗く沈めた方が圧倒的に雰囲気が良い。その点ではSDRだと若干劣ってしまう。

海外では4K UHDとDolby Vision対応版が展開されている一方、日本では現時点でBlu-ray版のみ。制作時期を考えれば本来はもっと高い画質を期待できるはずで、せめて配信では4K版へ手軽にアクセスできるようにしてほしいところだ。

作品の雰囲気自体は非常に良く、大きすぎない画面で楽しむ分には問題ない。
ただし、ホームシアターで映像品質まで重視すると、近年のドラマとしては下の部類と言わざるを得ない。

AUDIO

音声レビュー

Low Frequency Effect 3.0

平均的なレベル。

ダイナミックレンジ 3.5

映画版より抑えたのは配信の影響か。

定位感・移動感 4.0

ここは映画版に勝るポイント。

環境音 4.0

臨場感を感じられる作りに。

トップ 3.0

アップミックスが効くシーンはあり。

サラウンドを積極的に活用した、包囲感の強い音作り。

映画版よりもリアスピーカーの使用頻度は明らかに多く、特定の音を正確に移動させるというより、空間全体を音で満たす方向へ重点が置かれている。
ハロランというキャラクターの特殊能力の場面が何度も登場するが、どれもかなりの包囲感を感じられる。銃撃戦などもかなり激しくリアを使うので、サラウンド作品としては十分に満足できるレベルにある。

街中やスーパー、夜の森、乗り物の場面など、環境音も細かく配置されており、場面の臨場感はかなり高い。

一方で、最も気になるのがダイナミックレンジの狭さだ。
第1話は恐怖シーンで音量が異様に小さく、衝撃音までセリフと同程度の大きさに収まる場面がある。音量差が不自然に抑えられたような音で、配信側で圧縮されているように感じられた。
第2話以降では改善されていき、尻上がりに良くなっていったが、それでもあと一押し欲しかったところだ。

低音は過度に強くないものの、怪異や衝撃へ重みを加えるには十分。
環境音と合わせた雰囲気作りは申し分ないが、音質には鋭さや勢いが足りず、ホラーとしての瞬発力は映画版に及ばない。

Blu-ray版はDolby Atmos対応なので、この5.1ch配信版を基準に考えると、立体感や音の広がりにはかなり期待できそうだ。ドラマ作品は全体的にレンジが抑えられる傾向もあるが、メディア版では音質や衝撃力の改善も確認してみたい。

迫力では映画版に劣るものの、サラウンドの活用度は明らかに上がっている。
空間表現は非常に優秀なだけに、いつかBlu-ray版であらためてレビューを更新したいサウンドだった。

SCENES

聞きどころ

ネタバレ注意

「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。

Ep1 46:50~52:10
サラウンド活用

映画館で歌のチェック

場面に合わせて音が動くように。

Ep2 23:45~27:50
包囲感

ロニーのベッドで

水に包まれる包囲感が素晴らしい。

Ep2 53:40~59:30
サラウンド活用

リリー、スーパーで買い物

明るい場所でも、リアを使って幻覚攻撃。

Ep3 OP~08:45
サラウンド活用

1908年の見せ物小屋

小屋や森で、音はより動くように。

Ep3 25:45~30:00
サラウンド活用

人間コンパスのハロラン

ハロランの能力はサラウンド。

Ep3 48:00~54:30
サラウンド活用

墓地で幻覚

墓地がアトラクションに変化し迫ってくる。

Ep7 12:45~32:00
サラウンド活用

バー襲撃

炎と銃撃が全方位で、作中で最も賑やかな場面。

Ep8 25:00~50:20
サラウンド活用 終盤見せ場

子供達を救出へ

吹雪の中で最終決戦。ペニーより兵士が危険。

SUMMARY

総評

可愛らしさの中に不穏さを忍ばせたオープニング曲が妙に耳へ残る、映画版『IT』二部作の前日譚。

映画で示唆されていたITの起源や、デリーという町に刻まれた恐怖の歴史がさらに掘り下げられ、世界観への理解が大きく広がった。隕石の破片や軍によるITの利用計画など、新たな設定を加えながらも、映画版と矛盾することなく物語へ組み込んでいる。

登場人物や時系列が増えたことで、少し複雑に感じるところはある。しかし全8話という時間を生かし、子供たちの友情、大人側の軍事ドラマ、当時の差別問題まで丁寧に描き切っていた。中心で活躍するのはあくまで子供たちであり、恐怖へ立ち向かう中で仲間との絆を深めていく姿には、映画版と同じ『IT』らしさがある。

ペニーワイズをはじめとするITの魅力もまったく衰えておらず、映画二部作を楽しめた人なら、本作にも引き込まれるはずだ。

日本の配信版はHD画質で物足りないものの、サラウンドを生かした音響デザインは非常に優秀だった。Dolby Atmosを収録したBlu-ray版なら、映像と音の両面で配信以上の体験を期待できそうだ。

27年周期という設定を生かせば、異なる時代を舞台に新たな物語を描き続けられる。シーズンとしては綺麗にまとまりながら、さらに過去へ遡れる余地も残されており、このクオリティを維持したまま続きを見せてほしいと思える前日譚だった。

当サイト評価
総合 8 / 10
音響 8 / 10

TRAILER

公式予告編

※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。

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