IT/イット “それ”が見えたら、終わり。

作品データ

作品名
IT/イット “それ”が見えたら、終わり。
It
公開年
2017年
上映時間
135分
ジャンル
キャスト
ビル・スカルスガルド / ジェイデン・リーバハー /
ジェレミー・レイ・テイラー / フィン・ウルフハード /
ソフィア・リリス / ジャック・ディラン・グレイザー /
ワイアット・オレフ / チョーズン・ジェイコブス /
ニコラス・ハミルトン
レビュー対象
U-NEXT
映像仕様
4K/Dolby Vision
音声仕様
Dolby Digital Plus Atmos
当サイト評価
総合 8/10
音響 7/10
外部評価
IMDb 7.3 / 10
Filmarks 3.4 / 5
映画.com 3.2 / 5
他サービス
Prime Video : HD/SDR/5.1ch
Hulu : HD/SDR/2ch
AppleTV : 4K/Dolby Vison/DD+ Atmos
Blu-ray : HD/SDR/Dolby Atmos
UHD Blu-ray : 4K/Dolby Vison/Dolby Atmos

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STORY

あらすじ

メイン州の小さな町デリーで、少年ビルの弟ジョージーが雨の日に姿を消す。

それから一年後、町では子供の失踪が相次いでいた。
弟の行方を諦められないビルは、学校で周囲になじめない仲間たちとともに、デリーで繰り返されてきた不可解な事件を調べ始める。

やがて彼らの前に、それぞれが最も恐れる姿へ変化する謎の存在が現れる。その中心にいたのは、赤い風船を持つ不気味な道化師ペニーワイズだった。

家庭や学校で異なる悩みを抱える子供たちは、町の地下に潜む恐怖へ立ち向かうため、互いの力を合わせていく。

REVIEW

作品レビュー

スティーヴン・キングの代表作を映像化した『IT』は、1990年にもテレビ向けのミニシリーズとして制作されている。

原作は読んだことはないが、この90年代版は事前にチェックした上で今作を観たので、色々と比較出来て面白かった。

ティム・カリーが演じたペニーワイズは、陽気な道化師のように振る舞いながら、ふとした瞬間に凶悪な本性を見せる存在だった。
映像技術や放送上の制約は感じるものの、その不気味さは今見ても素晴らしく、ペニーワイズのイメージが広く定着したのも納得と言えるインパクトの強さだった。

この作品を見ていなくともペニーワイズという名と、ピエロの化け物のイメージを知っている人も多いのではないだろうか。

この2017年版は、90年版を基に現代的な映像と演出で再構築している。
舞台は1950年代から1980年代へ変更され、子供たちの会話や生活にも、より親しみやすい青春映画の雰囲気が加わった。
前作が大人になった彼らの物語まで一続きで描いていたのに対し、本作では少年時代へ絞ることで、ルーザーズ・クラブの関係性をじっくり描いている。

それぞれが家庭や学校に問題を抱え、孤独や劣等感を持った子供たちだが、仲間と過ごすうちに居場所を見つけていく。
互いをからかいながらも、危険な場面では見捨てない。その友情と成長が物語の中心にあるため、怪物を倒すだけのホラーではなく、少年たちのひと夏を描いた青春映画としても完成度が高い。

ビル・スカルスガルドが演じるペニーワイズも、ティム・カリー版とは大きく異なる。
人間の道化師らしさを残していた旧版に対し、こちらは初めから人間ではないことが伝わる異質な存在。
独特な声、左右にずれる視線、不自然な動きによって、親しみやすいピエロの姿と捕食者としての気味悪さを同時に感じさせる。

このピエロというのが絶妙な設定で、ホラー映画の「あるある」を納得させてくれる形態になっている。

ホラー映画で、お約束ではあるが、なぜか主人公を襲撃するまで待ってくれたり、まるで遊ぶようにジワジワ追い詰める描写に「遊び好きなのか」と思ってしまうことも多かった。
一気にやればすぐに終わってしまうので仕方ないのだが、超常的な力を持つものや殺人鬼が妙に待つのは不自然さに繋がってしまう。

しかし、ペニーワイズはピエロの姿で文字通りふざけて、相手の反応を見ながら遊んでいるかの如く追い詰めるので、こういった行動にあまり不自然さがない。
これはホラー映画において画期的で、本当に秀逸なデザインだと感じる。

恐怖の見せ方も大きく強化された。
子供ごとに異なる弱点や記憶を読み取り、それを怪物として具現化するため、同じ相手に追われ続けるだけではない。
地下室、廃屋、スライド映写機など、日常的な場所や物が突然恐怖へ変わる演出も印象に残る。
映像の迫力だけに頼らず、何が現れるか分からない不安を積み重ねているのが良い。

さらに、デリーという町そのものが子供たちを追い詰めている点も重要だ。
ペニーワイズだけでなく、暴力的な親やいじめ、子供の異変へ関心を示さない大人たちまで含めて、逃げ場のない環境が作られている。
怪物への恐怖と現実の苦しみが重なり、それぞれが抱える問題へ仲間と向き合う展開には、ホラー映画でも屈指のストーリー性がある。

製作費約3,500万ドルに対し、世界興行収入は7億ドルを超える大ヒットとなった。
R指定ホラーとしては異例の規模であり、ペニーワイズというキャラクターの強さだけでなく、青春ドラマとして幅広い観客を引き込んだ結果だろう。

1990年版への敬意を残しながら、単なる焼き直しにはせず、現代のホラーとして大きく進化させた作品。
恐怖、友情、成長を一つの物語にまとめたことで、原作を知らなくても楽しめる、新たな『IT』の始まりとなった。

SPEC

メタデータ

映像レンジ / 解像度 / アスペクト比
Dolby Vision / 3840×2160 / スコープ
輝度データ
Dolby Visionのためデータ取得不可
映像ビットレート
U-NEXTのため測定不可
音声 / 音声ビットレート
Dolby Digital Plus Atmos / U-NEXTのため測定不可
VIDEO

映像レビュー

CHECK POINT

黒が暗い、ジャンプスケアに適した映像

4K配信としては標準的な画質で、近景では十分なシャープさを感じられる。
人物の肌や衣服の質感も見やすく、特にペニーワイズの白い肌、古びた衣装、赤い化粧は鮮明で、不気味さを強く印象づける。

遠景はやや甘く、場面によってはBlu-rayをアップコンバートしたような印象もあるが、明確にぼやけているわけではない。細部を厳しく確認しなければ、4Kとして不足を感じるほどではなかった。

フィルムグレインはほとんど目立たず、全体的にクリアな映像。わずかに黄色を帯びた色調が、1980年代の舞台や夏の空気感とうまく馴染んでいる。

最大の特徴は、暗部を大胆に沈めた絵作りだ。
Dolby Visionでは屋内やペニーワイズが現れる場面がかなり暗く、黒の中へ細部が埋もれることもある。
その一方で、懐中電灯や電球の光は強く際立ち、暗闇から突然何かが現れるホラー演出には非常に効果的だった。

昼間の屋外は反対にかなり明るく、暗い場面との落差も大きい。
SDRと比較すると、やはり黒の沈みが和らぎ、ある程度視認性は上がる。

視覚的なコントラストの鮮烈さは減ってしまうが、SDRほうが見やすく感じる場面もあり、ディスプレイやプロジェクターの暗部性能を強く要求するHDRと感じた。

圧倒的な精細感を見せるタイプではないが、光と闇の対比によって作品の恐怖を引き上げた、特徴のはっきりした映像だった。

AUDIO

音声レビュー

Low Frequency Effect 3.5

インパクトを強めるには十分。

ダイナミックレンジ 5.0

ホラー映画では最高レベル。

定位感・移動感 2.5

リアの活用は控えめ。

環境音 3.5

自然の中や下水道は良い雰囲気。

トップ 2.5

一部のシーンでは効果的。

非常にパンチのあるサウンドで、ホラーらしい静寂から一気に大音量へ切り替わるジャンプスケアが徹底されている。

前半から中盤にかけては、ペニーワイズが子供たちを脅かす場面が頻繁に入り、どの効果音にも鋭さと重みがある。音量差も大きく、静かな場面で緊張を高めてから強烈な音を叩き込むため、映像以上に驚かされる場面も多かった。

音質自体も良好で、耳を刺すような高音と、衝撃を支える低音の両方が力強い。
レンジが広く、ジャンプスケアだけでなく、物が崩れる音や怪物の動きにも十分な迫力がある。

Dolby Atmosは常に高さ方向を使うタイプではないものの、廃屋では頭上の音や移動が明確に感じられる。環境音にも控えめに使われており、見せ場を絞りながら立体感を加えている印象だ。

一方、リアスピーカーの使用は全体的に少なめ。
終盤では包囲感や後方の動きが増えるが、前半のジャンプスケアはフロント中心で鳴る場面が多い。
より広く展開できそうな場面もあったため、サラウンドとしては少し物足りなさが残った。

それでも、音のキレと瞬間的な爆発力は文句なし。
映像の恐怖をさらに増幅する、ホラー作品でも上位に入る迫力のサウンドだった。

SCENES

聞きどころ

ネタバレ注意

「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。

18:40~20:40
迫力大

路地裏にて

ジャンプスケアの手本になるような強烈さ。

33:45~35:50
迫力大

下水道にて

いじめっ子の災難。迫力は最高。

51:15~55:25

バスルームにて

洗面台からブシャー!!

1:11:15~1:14:20
迫力大 映像重視

プロジェクターでマップ鑑賞

映像のインパクトが素晴らしい。

1:16:30~1:26:50
トップ活用 迫力大

廃屋を探索

はっきりトップを使う唯一の場面。雰囲気が素晴らしい。

1:41:00~2:02:40
サラウンド活用 終盤見せ場

廃屋の奥へ

井戸を降りて、上も後ろも少しだけ。

SUMMARY

総評

ホラー映画史上でも最大級のヒットを記録しただけあって、恐怖だけでなく、娯楽作品として非常に完成度の高い一本だった。

最大の魅力は、やはりペニーワイズのキャラクター性にある。
相手を脅かすだけでなく、言葉を使ってからかい、遊ぶように追い詰めていく悪役は、ホラー映画でもかなり珍しい。独特な造形と不自然な動き、相手の恐怖に合わせて姿を変える攻め方には強烈な個性があり、一度観たら忘れられない存在に仕上がっている。

一方で、物語を支えているのはルーザーズ・クラブの友情だ。
それぞれが家庭や学校に問題を抱えながら、仲間と出会うことで居場所を見つけていく。
子供たちの会話にはユーモアがあり、恐怖の合間にしっかりと楽しさがあるため、単調な怪物映画にはなっていない。

デリーの町に漂う不穏さや、大人たちの無関心、それぞれの子供が抱える傷まで丁寧に組み込まれており、ストーリー面でもホラー映画屈指の出来だと思う。
ペニーワイズとの戦いだけでなく、恐怖に向き合いながら成長していく青春映画としても楽しめた。

1990年版から時代を経て、恐怖演出や映像表現は大幅に強化されている。
暗闇を生かした映像と、瞬間的に爆発するサウンドの相性も良く、ホームシアターで観る価値は十分。ホラーが苦手でなければ、ぜひ部屋を暗くして味わってほしい作品だ。

当サイト評価
総合 8 / 10
音響 7 / 10

TRAILER

公式予告編

※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。

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