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あらすじ
幼い頃に巨大竜巻を経験した気象研究者ジョーは、仲間たちとともに竜巻を追跡し、その内部データを収集する研究を続けていた。
そこへ、かつて同じチームに所属していた夫ビルが現れる。離婚手続きを進めるために訪れたはずのビルだったが、ジョーたちが完成させた新たな観測装置“ドロシー”と、各地で発生する強力な竜巻を前に、再びストームチェイスへ加わることになる。
次々と姿を現す竜巻を追いながら、彼らは観測装置をその進路へ投入しようと試みる。
自然の圧倒的な力と、それを追い続ける研究者たちの執念を描いたディザスターアクション。
作品レビュー
『ツイスター』は、90年代後半に相次いだ大規模ディザスター映画の先駆けとなった一本。
70年代には大作映画が制作されていたようだが、一時の勢いが落ち着いていたところに、本作はCG技術の進歩とともに、そのジャンルを再び大型娯楽映画として前面に押し出した作品の一つだ。
題材となるのは竜巻。地震や火山、隕石とは違い、発生地点も進路も読みづらく、しかも高速で移動する自然現象そのものが主役級の存在感を放っている。
主人公ジョーは幼少期に竜巻による大きな喪失を経験し、その過去が研究者としての現在につながっている。単なる職業的な興味ではなく、自分の人生そのものと研究が結びついている人物で、異常とも言える執念で竜巻に向かっていく。
もう一つの軸になるのが、離婚寸前のビルとの関係。これが無ければひたすら竜巻を追い続けるだけの作品になりそうだが、二人の距離感や昔の関係が少しずつ見えてくることで、物語にちょっとしたスパイスが加わっている。
ストームチェイサーという仕事を大々的に描いたのも印象的で、自分のようにこの作品をきっかけに知った人も多いのではないだろうか。目的は観測機器の“ドロシー”を竜巻へ投入し、内部データを採取することだが、やっていることはほとんど命懸け。科学研究でありつつ、車で巨大竜巻へ突っ込んでいく姿はかなり無茶で、その危うさ自体が作品の面白さになっている。
ジョーのチームも非常に個性的で、特にフィリップ・シーモア・ホフマン演じるダスティの存在感は強烈。少し荒っぽく、騒がしく、しかし仲間意識の強いチーム全体に独特の楽しさがある。
一方で競合チームは、資金と最新機材を持った合理的な集団として描かれ、「金と装備」対「現場経験と情熱」という分かりやすい構図になっている。この単純さも90年代の娯楽大作らしく、見ていて気持ちがいい。
物語は車で竜巻を追い続けるロードムービー的な面白さもあり、広大な田舎道を移動しながら、天候が一気に崩れていく緊張感が続く。日本のFスケールが上がるにつれて竜巻の規模も増し、終盤へ向かって危険度が段階的に引き上げられていく構成も分かりやすい。
劇中では、竜巻の強さを示すのに当時使われていた藤田スケール(Fスケール)は、現在の米国では改良されたEFスケールが使用されており、日本ではJEFスケールという改良版で藤田博士の名はちゃんと今でも生きている。
映像面では、飛んでいく牛をはじめ印象的な場面が多い。実車や実景、物理効果とCGを組み合わせた映像は、ILMによる当時最先端のVFXで、特に終盤のスケール感は今見てもかなり見応えがある。
1996年当時としては映画館向けの大音響作品でもあり、世界興収は約5億ドル近い大ヒット。その成功以降、『ダンテズ・ピーク』『ボルケーノ』『ディープ・インパクト』『アルマゲドン』など、大規模災害を題材にした作品が次々と続いていった。
そして2024年には『ツイスターズ』として題材が受け継がれた。単なる一発ヒットではなく、90年代ディザスター大作の象徴として、長く残る存在になったのも納得できる一本だった。
メタデータ
映像レビュー
ダイナミックな空撮と破壊描写で魅せる90年代ディザスター映像
Blu-rayとして見ると、かなり厳しい部類に入る映像。
全体的に解像感は低く、顔のアップでも遠景でもややボケた印象が強い。CGも現在の基準ではかなり古さを感じ、序盤の地球や衛星などは特にチープに見える。ただ、後半の巨大竜巻になると一気に見応えが増し、見せ場へ重点的に力を入れていたことが伝わってくる。
夜の場面も比較的明るく処理されているが、黒の表現には圧縮映像のような違和感を感じるところもある。色彩も鮮やかさとは程遠く、広大な平原や田舎町など似た景色が続くため、純粋な画質面では見どころは少ない。
そのぶん、竜巻そのものの迫力や破壊表現が大きな魅力になる。ダイナミックな空撮も多く、広大なアメリカの土地を使った映像は開放感があり、竜巻によって破壊された街の光景などもスケール感は十分。
海外では4K UHDが発売されており、公式映像を見る限りかなり改善されている印象。日本では未発売なのが惜しく、配信でも高品質版が展開されればぜひ見てみたいところ。
Blu-ray黎明期らしさを強く感じる映像で、画質そのものには期待しにくい。それでも大規模な竜巻や破壊描写は大画面ほど映えるため、ディザスター映画としてのインパクトは今でもしっかり残っている。
音声レビュー
竜巻の地響きが良いサポート。
竜巻の破壊力は素晴らしい。
あるにはあるが、それよりも圧倒的な包囲感。
天候だけでなく、壊れた街の喧騒も没入感に貢献。
災害系は効果抜群。
2000年代までの作品の中では、デモ向けの一つとして語られることが多かったのだが、音の迫力は今でもかなり強烈。
竜巻という題材そのものがサラウンド向きで、細かな方向感や移動表現よりも、とにかく全スピーカーから大量の音が鳴り響き、部屋全体を包み込むような音場を作る。特に後半へ進むほど竜巻の規模が大きくなり、最終盤では圧倒的な包囲感になる。
いろいろな作品を見たあとで改めて戻ってきても、この派手さはやはり印象的。映像以上に、音があってこそ成立する作品だと感じる。
また効果音や環境音だけでなく、BGMも非常に爽やか。ストームチェイサーたちのテンションをそのまま音楽にしたような軽快さがあり、隊列を組んで車を走らせるシーンでは、ダイナミックなカメラワークとともに作品全体の明るい雰囲気を作っている。
4K UHDではDolby Atmosへアップデートされているが、通常の5.1chをアップミックスした状態でも音場はかなり広がる。もともと全方向から襲ってくるような音作りなので、トップやリアへ自然に拡張され、包囲感はさらに強くなる。
低音もしっかりしており、風圧や建物の破壊、巨大竜巻の接近では十分な重量感がある。音量を上げられる環境なら、擬似竜巻を味わえそうだ。
もちろん竜巻だけでなく、一部では細かなサラウンド表現も使われている。それでも作品全体としては、とにかく次々と大きな音が押し寄せる賑やかな設計。
音質そのものは、今聞くと少し荒削りに感じるところもある。ただ、それを補って余りあるほどシンプルで強烈な包囲感があり、ディザスター映画のサラウンドとして今でも非常にインパクトのある一本だった。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
ジョーの子供時代
ロゴの段階から良い感じ。インパクトが強い始まりで、サラウンドも凄い。
竜巻を追いかける
巻き込まれる包囲感が素晴らしい。後ろから迫る感じもグッド。
2回目のトライ
牛が有名なシーンだが、やはり巻き込まれる所が良い感じ。
3回目のトライ
雹が降ってくるのはアップミックス効果も感じやすい。
街を直撃
建物が壊れたり、物が飛んだり、激しく揺さぶられる。
メグの救出
唯一の静かなサラウンド。崩れそうな家の響きも良い。
F5への挑戦
やはり最後が映像も音も一番迫力がある。
総評
サラウンドにハマり始めた頃、何度も再生した記憶のある一本。
当時はマルチチャンネルで周囲から音が鳴ること自体に「すげ〜」と感じていたが、いろいろな作品を経験した今になって改めて聞いても、『ツイスター』のサラウンドはやはりかなり強烈だった。
繊細な方向感や細かな移動表現を突き詰めるタイプではなく、とにかく大量の音で周囲を埋め尽くす派手な音作り。しかし竜巻という、あらゆる方向から風や瓦礫が襲ってくる題材にはそれが見事に噛み合っており、期待した通りの迫力を味わえる。
一方、Blu-rayの映像はさすがに古さが目立つ。解像感や暗部、VFXの一部など、現在の高画質作品と比べると厳しい部分は多い。それでも巨大な竜巻や破壊描写のスケール感は残っており、映像の弱さを補って余りあるほど音響面の存在感が大きい。
後には同じ題材とシリーズの系譜を受け継ぐ『ツイスターズ』も公開された。映像技術は当然大きく進歩しているが、個人的には音のインパクトではこちらの方が強く感じたほどで、改めて1996年版の音響設計の凄さを実感した。
物語自体は複雑ではなく、竜巻研究と少しの恋愛模様を軸にしたシンプルな構成。登場人物にも明るく賑やかなキャラクターが多く、爽快な音楽とともにストームチェイスを楽しませるため、ディザスター映画ながら必要以上に重苦しくならないのも特徴的だ。
徹底して竜巻の迫力を見せることに集中した、分かりやすい90年代ディザスター大作。映像には時代を感じても、サラウンドのインパクトはいまだ健在で、ホームシアターで改めて鳴らしたくなる一本だった。
公式予告編(海外版)
※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。
