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あらすじ
ロンドンの地下工事によって、長い眠りについていた火を吐く巨大生物が目覚める。
それから約20年後、無数に増殖したドラゴンによって文明は崩壊していた。
生存者たちを守るクインのもとへ、ドラゴンを倒す方法があると主張する米軍兵ヴァン・ザンが現れる。
考え方の異なる二人は反発しながらも、人類の存亡を懸けた危険な作戦へ挑んでいく。
作品レビュー
ドラゴン好きとして、これは外せない作品だ。
本作が描くのは、ドラゴンによって現代文明が焼き尽くされ、人類が絶滅寸前まで追い込まれた後の世界。舞台となるイギリスでは、わずかに生き残った人々が荒廃した城を拠点に、食料や燃料を節約しながら細々と暮らしている。
そこへ現れるのが、マシュー・マコノヒー演じるヴァン・ザン率いるアメリカ人部隊だ。彼らは自らをドラゴンスレイヤーと称し、世界各地でドラゴンを狩りながら最後の希望を探している。
慎重に生存を優先するクインと、危険を承知で攻撃を仕掛けるヴァン・ザン。正反対の考えを持つ二人が反発しながらも、やがて共通の敵へ立ち向かっていく非常にストレートな作り。
クリスチャン・ベール、マシュー・マコノヒー、ジェラルド・バトラーと、今振り返れば驚くほど豪華な俳優陣が揃っている。
しかし本作最大の魅力は、やはりドラゴンそのものにある。
2002年の作品とは思えないほど映像の完成度は高く、巨大な翼や鱗、炎を吐く姿まで、正統派の西洋ドラゴンとして実に格好良く描かれている。飛行する姿にも重量感があり、巨大生物が本当に空を支配しているかのような存在感を放っていた。
近年の作品では、ドラゴンが高い知性を持って会話したり、人間と友情を築いたり、共に戦ったりすることも珍しくない。しかし本作には、そうした交流要素が一切ない。
ドラゴンは人間を理解しようとも、共存しようともしない。圧倒的な力で獲物を狩り、炎で土地を焼き、生態系の頂点として人類を追い詰めていく。
さらに、ドラゴンの繁殖や生態にも独自の設定が用意されており、世界に残された最後のオスを倒すことで繁殖を止め、人類が長い時間をかけて生き残る可能性を作るということが最大の目的となっている。
文明を失った人類が、焼け野原となった世界で少しずつ追い詰められていく様子は、まるで終わりの見えない戦争を生き延びているかのようだった。
一方、人間ドラマは必要最低限にまとめられている。
生存を優先する者と戦う者の対立、仲間を守ろうとする責任などは描かれるものの、物語の中心はあくまでドラゴンとの戦いだ。人物を深く掘り下げる作品ではないが、その分テンポを損なわず、終末世界とドラゴンの脅威へ集中できる作りになっている。
最後のオスを討つことが目的なので、物語上の意味はしっかりある。しかし、その決着は少々あっさりしており、ここまで積み重ねてきた脅威に対して物足りなさが残った。もう一段階大掛かりな戦闘が用意されていれば、作品全体の評価もさらに高くなっていたと思う。
現在では国内パッケージの入手が難しく、配信で扱うサービスも限られている。日本では高品質なマルチチャンネル音声で楽しめる機会も少なく、その魅力を十分に味わいにくい状況なのが本当に残念だ。
それでも音響の完成度は今なお素晴らしく、ドラゴンの飛行や咆哮、炎の迫力は、後年の作品を観てもつい本作と比較してしまうほど。ドラゴン映画の音響表現における一つの手本と言ってもいい。
モンスター映画は主流作品から外れたジャンルとして扱われがちだが、本作はドラゴンの恐怖と終末世界の空気感を描いた、記憶に残る一本だ。
人間と心を通わせる幻想的な存在ではなく、文明を滅ぼした生態系の王者としてのドラゴン。その圧倒的な格好良さと恐ろしさを味わえる、今なお貴重なドラゴン映画である。
メタデータ
※ビットレートはプレイヤー再生時の実測目安です。場面により変動します。
映像レビュー
ドラゴンの存在感が圧巻。年代を超えて魅せるクリーチャー表現
画質は年代相応で、決して高水準とは言えない。
全体的にフィルムらしい粒状感が強く、場面によってはノイズにも見える質感になっている。近景での肌のディテールも細かいとは言えず、階調表現も現在の基準では物足りない。特に明るいシーンでは白飛び気味に感じられる場面もあり、暗部も決して見やすいわけではない。
とはいえ、2002年公開作品であることを考えれば、このあたりは仕方のない部分だろう。
一方で、ドラゴンの映像だけは今見ても十分に通用する完成度を誇る。
画質そのものが飛び抜けて良いわけではないが、鱗の質感や巨大な翼、そして炎を吐く際のコントラストは非常に見応えがあり、ドラゴンという生物の存在感を存分に感じられる。
CG特有の違和感もそれほどなく、特に近影での実在感は素晴らしい。ゲーム・オブ・スローンズを思い起こさせるようなシーンもあり、クリーチャー表現としては当時トップクラスだったと言っていいだろう。
まさにドラゴンのために全力を注いだような映像であり、その魅力は20年以上経った現在でも色褪せていない。
残念ながら日本では配信で視聴できる機会も少なく、4K UHD化もされていないため、現状ではBlu-rayが最高画質となる。
決して優秀な画質とは言えないものの、本作の魅力を十分に味わえるだけのクオリティは備えていた。
音声レビュー
ブレスの重みを足すことに使われる。
ドラゴン関連はかなり強烈。
飛び回る移動感は最高レベル。
荒野で人も少なく、あまり多くない。
空間を広げる効果はあるが、トップ単独の効果は薄い。
※レビューは米国盤Blu-rayにて視聴。日本盤はDolby TrueHD 5.1ch収録。
本作最大の魅力は、間違いなく音響にある。
ダイナミックレンジはかなり大きく、ドラゴンが吐き出す炎のブレスは重厚で圧倒的な破壊力を備え、まさに”必殺の武器”と呼ぶにふさわしい迫力を体感できる。
さらに印象的なのが、ドラゴンが後方へ飛び抜ける際のサウンドだ。
巨大な翼が空気を切り裂きながら高速で通過していく音は非常に特徴的で、ここまで「飛ぶ音」に存在感を与えた作品は今でもそう多くない。サラウンドを駆使した移動感も素晴らしく、ドラゴンの巨体が頭上を旋回している様子を耳だけでも感じ取ることができる。
重低音そのものは重量級というほどではないが、ブレスが炸裂する場面では十分な厚みを感じられ、ドラゴンという生物の圧倒的な力を見事に表現している。
とにかく一つひとつの効果音にインパクトがあり、映像だけでなく音でもドラゴンの恐ろしさを体感させてくれるサウンドデザインだった。
逆に言えば、本作の魅力はマルチチャンネル環境でこそ真価を発揮する。ステレオ環境では、この作品が持つ迫力や立体感は半減してしまうだろう。
映像を見ても、高さ方向を意識した演出は数多く用意されているが、アップミックスは残念ながらそれほど大きな効果はない。もし現代に制作されてDolby Atmos化されていれば、ホームシアターを代表するデモ作品の一本になっていたのではないかと思わずにはいられない。
一点だけ、時々セリフが妙に小さく埋もれてしまうのも、まだマルチチャンネルを使いこなす過渡期の作品っぽさが感じられた。
現在では気軽に入手できる作品ではなくなってしまったが、それでも5.1chサラウンド作品としては今なお最高峰の完成度を誇る。
ドラゴン映画が好きな人はもちろん、ホームシアターファンにもぜひ一度体験してほしい、秀逸なサラウンドサウンドの一本だ。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
初遭遇
地下の空気感、ブレスの重さに飛び立つ音、どれも凄い。
畑で襲撃
後ろに突き抜ける羽ばたき。炎も凄い。
討伐ミッション
キレが素晴らしく、まるでゲーム・オブ・スローンズのような展開。
遭遇から砦襲撃
周りでビュンビュン、しつこく攻撃。
ドラゴンの巣へ
飛び回る音や、ドラゴン視点もサラウンド満点。
総評
ドラゴン映画だけでなく、モンスター映画全般が好きな自分にとって、本作は今でも特別な一本だ。
ホームシアターにハマってから数え切れないほど作品を観てきたが、古い作品でここまで音響に感心することは今ではほとんどない。それでも『サラマンダー』だけは例外で、久しぶりに観返してもドラゴンの存在感とサウンドデザインには圧倒される。
物語そのものは王道で、人間ドラマも必要最低限。飛び抜けて評価されるような脚本ではないが、クリスチャン・ベールやマシュー・マコノヒーら豪華キャストが作品をしっかり支え、何よりドラゴンという存在を徹底的に描き切ったことが最大の魅力になっている。
そしてホームシアターファンの視点では、やはり音響が圧倒的な評価ポイントだ。
巨大な翼が空気を切り裂く音、炎のブレスが迫る重圧、ドラゴンが頭上を旋回する立体感。そのどれもが今なお色褪せず、「ドラゴンとはこう鳴るべきだ」と思わせるほど完成度が高い。
現在では国内パッケージも入手しづらく、中古価格も高騰気味。配信で気軽に楽しめる環境もほとんど残されていないのは非常に残念だ。
だからこそ、いつか再評価され、より良いフォーマットで多くの人が触れられるようになってほしい作品でもある。
知名度は決して高くないが、ドラゴン映画が好きなら、一度は体験してほしい名作だ。
