作品データ
あらすじ
幼い頃、故郷エターニアから地球へ送り出された王子アダム。
長い年月を地球で過ごした彼は、自分が何者なのかを知らないまま成長していた。
やがて、かつて自分と引き離された伝説の剣「パワーソード」を再び手にしたことで、アダムは故郷エターニアへ導かれる。
しかし、彼が戻った世界は邪悪なスケルターによって支配され、王国はかつての姿を失っていた。
アダムは幼なじみのティーラや戦士ダンカンらと力を合わせ、自らに秘められた力と向き合いながら戦いへ身を投じていく。
作品レビュー
まったく事前知識なしの状態で観たが、キャラクターや武器、世界観のデザインを見ただけで、どこかゲームやアニメのような雰囲気はすぐに伝わってきた。
調べてみると、もともとは1980年代に展開された玩具シリーズを起点に、アニメやコミックへ広がっていった作品で、実写映画としては約40年ぶりになるという。
今回は、主人公アダムが地球で育ったという設定から物語が始まり、自分のルーツや秘められた力と向き合っていく。やがて彼は、伝説の剣の力によって変身する最強の戦士“ヒーマン”として、自分の使命を受け入れていくことになる。
元の設定を詳しく知らなくても、主人公と一緒に世界を知っていけるので入りやすく、説明もそれほど難しくない。
特に印象に残ったのは、80年代玩具らしい派手なデザインを、現代のVFXで本気で実写化しているところ。
衣装や武器、城、乗り物、スケルターをはじめとするキャラクターまで、かなり大胆なデザインなのに、映像としてしっかり成立しているのが面白い。
音楽にも同じ方向性があり、ロックやシンセを強く取り入れた80年代テイストのスコアに加え、旧アニメのテーマも使われているという。
知らずに観ていても、聴いていれば時代の雰囲気を感じたので、調べて納得した。
物語自体はファンタジー色が強い一方で、キャラクター同士のやり取りはかなり軽快。
ヴィランであるスケルターを含めて個性的な人物が多く、コメディっぽい掛け合いや笑える場面も多いため、重々しい雰囲気はまったくなく、明るく勢いのある冒険映画に近い。
派手な世界観やアクションだけに寄せず、アダム自身の成長や人間関係も挟みながら進んでいくので、テンポはかなり軽快だった。
当時は圧倒的な肉体と腕力の象徴だったヒーマンを、本作では共感力や人間性も強さの一部として描かれており、昔ながらのヒーロー像を現代的に捉え直しているのも面白かった。
長い歴史を持つ作品だけに、元ネタを知っていれば気付ける要素も多いのだろう。
それでも予備知識なしで十分楽しめるように作られており、むしろ観終わってから元のアニメや玩具について調べたくなるタイプの作品だった。
80年代らしいデザインと音楽を現代的な映像で蘇らせた、気軽に楽しめるファンタジーアクションだった。
メタデータ
映像レビュー
原色と光が映える、4K/Dolby Visionらしい鮮烈な映像
めちゃくちゃ綺麗で、これぞ4K/Dolby Visionという映像。
Primeオリジナルのファンタジー作品『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』を思わせるような画作りで、原色を活かした派手で鮮やかな色彩、高精細な世界の描写、そして光の表現まで本当に素晴らしい。
全体を通して甘さを感じる場面がほとんどなく、解像感は非常に高い。
Prime Videoは他サービスよりビットレートが一段低めになっているが、本作ではそうした弱さをまったく感じなかった。
配信作品としては確実にトップクラスで、特にエターニアの映像は見ているだけでも惚れ惚れする美しさがある。
作風を反映するように映像はかなり明るめで、夜や極端に暗いシーンはほとんどない。
キャラクターが使う武器や能力にも光を放つものが多く、マグマや強い日差し、魔法的なエフェクトなど、とにかく鮮やかな色彩と明るさのコントラストが印象的だった。
Dolby Visionとの相性もかなり良く、派手な色を単純に強く見せるだけでなく、光そのものの存在感までしっかり感じられる。
唯一少し気になったのは、中盤にある飛行マシンでの高速チェイスで、動きの激しい場面だからなのか、背景との合成感が若干目についた。
周囲が非常に派手で鮮明な映像だからこそ、逆にこうした部分が目立ってしまったのかもしれない。
とはいえ気になったのはその程度。
基本的には非常にクリーンで高精細、色彩も豊かな、現代的4K映像の良さを存分に味わえる一本だった。
技術仕様・マスター情報:IMDb Technical Specifications、Blu-ray.com、メーカー公開情報等を参照
音声レビュー
ピンポイントでの圧は感じられる。
目立つBGMを邪魔しすぎない範囲。
アクションシーンでの派手さはあり。
静かに場の雰囲気を伝えるタイプ。
頻繁ではないが、ポイントで使われる。
序盤はそれほどパンチの強い音ではなく、思ったよりも落ち着いた印象。
ダイナミックレンジも極端に大きいわけではなく、むしろ耳に残るのはBGMの存在感だった。
ロックやシンセを強く使ったどこか懐かしい感じの曲がいくつも流れ、非常に現代的で綺麗な映像なのに、音楽からはしっかり時代感も感じられる。制作側がこの部分をかなり意識しているのが分かる。
サラウンドも、映像の派手さに対して常に大きく鳴らすタイプではない。
全体としては意外とナチュラルで、無理に包囲感を強調するより、必要な場面だけしっかり動かすような作りだった。
そのため前半は強烈な印象こそ残さないが、アクションが増えるにつれて徐々に本領を発揮していく。
特に中盤の飛行マシンによるチェイスが非常に良い。
前後を激しく駆け抜ける移動感が強く、スピード感を音でもはっきり味わえる。
上下左右にも広がりがあり、見た目の派手さと音の移動がしっかり噛み合っていた。
Dolby Atmosによるトップチャンネルも、それほど派手に主張するわけではないが、さまざまな場面で細かく使われる。
頭上効果を見せつけるというより、画面内の動きやエフェクトに合わせて自然に空間を補う使い方が中心で、映像との一体感は高く、強調しすぎないバランスの良さを感じる。
終盤になると音も一気に派手になり、映像演出も相まってかなりゲーム的な感覚が強くなる。
アクションの勢い、サラウンドの動き、低音の存在感も前半より明確に増し、確実に後半の方が楽しい。
音自体はクリアで鋭さもあり、迫力という意味ではもう少し欲しい部分もある。
ただ、低音を含めて全体をバランス重視でまとめているのは、コメディ色のある軽快な作風や世界観には合っていると思う。
前半は自然に、後半は派手に。
物語と映像の盛り上がりに合わせて音も強くなっていく、尻上がり型のサウンドだった。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
スケルターの襲撃
サラウンドは飛行マシーンくらい。
お迎え
ゴリラみたいな敵だが、あまりパンチはない。
力の剣で覚醒
シーン後半の飛行マシーンでのチェイスはかなりの移動感。
父と再会
BGMがかなり目立つ。一対多の格闘戦で鋭さはあり。
最後の決戦
会話を挟みながらも、様々なバトルで一番派手なシークエンス。
総評
アメリカの昔のアニメや玩具を、そのまま現代の映像技術で豪華に実写化したような雰囲気が非常に強い作品だった。
伝説の剣、ムキムキの主人公、幼なじみとの関係、髑髏のヴィランと、並べてみると本当に王道要素ばかり。
そこへ動物やクリーチャー、ロボット、魔女、魔法まで加わり、世界観としてはかなり何でもありなのだが、不思議と散らかった印象はない。
シリアスになりそうな場面でも、ちょっとした笑いや軽いやり取りを挟んでくるため、作品全体の雰囲気は一貫して明るい。
敵側も必要以上に重苦しく描かれず、どこかお茶目で憎めない部分があるため、ダークファンタジーというよりは気軽に楽しめる冒険活劇に近い。
このノリは好みが分かれるかもしれないが、重たい物語よりも明るく勢いのあるファンタジーが好きなら、かなり見やすい作品だろう。
ホームシアター的には、とにかく映像が強い。
原色を活かした色彩、高い解像感、光の表現は非常に美しく、ファンタジー系の4K/Dolby Vision作品としてはトップクラス。
音声も映像ほど圧倒的ではないものの、後半になるほどサラウンドの動きや迫力が増していき、環境が整っていれば確実に楽しさが上乗せされる。
元ネタを知っている人なら、過去作やキャラクターへのオマージュまで含めてさらに楽しめるのだろう。
ただ、全く知識がなくても物語についていくのに困ることはなく、一本の明るいファンタジーアクションとして十分楽しめた。
昔ながらのヒーロー世界を現代的な映像と価値観で蘇らせた、肩の力を抜いて楽しめる一本だった。
公式予告編
※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。
