作品データ
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U-NEXT : HD/SDR/2ch
AppleTV : 4K/HDR10+/5.1ch
Blu-ray : HD/SDR/5.1ch
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あらすじ
遺伝子研究に携わる科学者ブルース・バナーは、幼少期の記憶をほとんど失ったまま成長していた。
ある日、研究施設で起きた事故によって大量のガンマ線を浴びるが、なぜか命を落とさずに生還する。
しかしそれ以降、強い怒りや恐怖を感じると、巨大な緑色の怪物ハルクへ変身するようになってしまう。
圧倒的な力を持つハルクは軍から危険な存在として追われ、ブルース自身も制御できない怒りに苦しんでいく。
やがて、彼の異変には長く封じられていた過去と、科学者だった父親の研究が関係していることが明らかになる。
自分の中に眠る力の正体を知るため、ブルースは忘れていた家族の記憶と向き合うことになる。
作品レビュー
マーベルのキャラクターの中でも、ハルクは特に好きな存在だ。
ただし、2003年に公開された本作は現在のMCU作品とはつながらず、ユニバーサル・ピクチャーズによって制作された単独のハルク映画となっている。
科学者ブルース・バナーは、研究施設で起きた事故によって大量のガンマ線を浴びる。
しかし命を落とすことはなく、それをきっかけに、怒りや恐怖が高まると巨大な緑色の怪物ハルクへ変身するようになる。
その力は事故によって突然生まれたものではない。
ブルースの父デヴィッドは、自らの身体を使って遺伝子実験を行っていた狂信的な科学者であり、その影響は幼い息子にも受け継がれていた。
ブルースは幼少期に母親を失い、父親とも引き離され、別の家庭へ引き取られて育っている。
そのため当時の記憶は深く封じ込められており、自分の本当の出生や、身体に何が起きているのかを知らない。
やがてブルースの前へ再び現れた父親は、息子を助けようとするのではなく、自分の研究を完成させるための存在として利用しようとする。
一方、ブルースの恋人であり研究仲間でもあるベティの父ロス将軍は、かつてデヴィッドの危険な研究を阻止し、彼を拘束した人物だった。
二人の父親が抱える過去と対立の間に、事情を何も知らないブルースとベティが巻き込まれていく。
本作は、とにかくハルクが誕生するまでの過程をかなり丁寧に描いている。
研究をめぐる父と子の関係、封じ込められた幼少期の記憶、自分の中に眠る異常な力への恐怖。ヒーローとしての活躍よりも、ブルースという一人の人間が抱えるトラウマや怒りが物語の中心になっている。
ブルースの周囲には、彼の力を自分の利益に利用しようとする者や、危険な存在として一方的に封じ込めようとする者が多い。
何も知らないうちに父親の実験へ巻き込まれ、目覚めた力は金儲けや軍事利用の対象として狙われる。これだけ追い詰められれば、怒りを抑えられなくなるのも無理はない。
ベティだけが、ハルクの中にいるブルースを見ようとする存在であり、彼が完全な怪物へ変わらずにいられる数少ない支えになっている。
こうした重いドラマが比較的暗いトーンで続くため、公開当時に爽快なヒーローアクションを期待した観客とは、かなり相性が悪かったのかもしれない。
映像表現も非常に特徴的だ。
画面をアメリカンコミックのコマのように分割し、複数の人物や出来事を同時に映し出す演出が頻繁に使われる。
実写映画で漫画のページを再現しようとしたような作りで、場面の切り替え方にも独特のリズムがある。人物の表情と別の場所で起きている出来事を同時に確認できるため、意外と分かりやすい部分もある。
一方で、コマそのものが動いたり、画面の分割が短時間で変化したりするため、人によっては落ち着かず、見づらく感じるだろう。
現在ではほとんど見かけない表現なので、古さは感じるものの、実験的で独自性にあふれている。
ハルクのデザインも、現在のMCU版とは大きく異なる。
全体的にずんぐりとしており、筋肉だけでなく身体全体へ肉が詰まったような重量感がある。等身が高く、洗練された格好良さを持つMCU版に比べると、こちらはコミックのイラストをそのまま立体化したような姿だ。
CGの質感には時代を感じるものの、アクション中の動きは素晴らしい。
巨大な身体で地面を蹴り、遠くまで飛び跳ね、戦車や軍隊を相手に暴れ回る姿には強い躍動感がある。人間に近いリアルな動きというより、大型のアクションフィギュアやコミックのキャラクターが、そのまま画面の中で動き出したような感覚だ。
現在のMCUがSFアクション映画として世界観や実在感を重視しているとすれば、本作はより純粋なアメリカンコミック・アクションに近いように思える。
アクションの規模は後のMCU作品ほど大きくなく、ハルクにも圧倒的な無敵感はない。
しかし、能力へ目覚めたばかりのブルースを描く作品としては、これくらいの規模がちょうどよく感じられる。巨大な力を手に入れて爽快に敵を倒すというより、本人すら制御できない力が周囲を破壊していく怖さが強い。
比較的ダークで、心理ドラマを重視した作り。
独特な映像表現や、ハルクが暴れ始めるまでに時間をかける構成は、公開当時の観客が期待していたヒーロー映画とは違っていたのだろう。
それでも、個人的には思っていたほど悪くなかった。
父親との関係やブルースの内面を丁寧に描く物語も、漫画のコマ割りを実写へ持ち込んだ演出も、この作品でしか見られない個性になっている。
現在のマーベル作品には、作品ごとに違いはあっても、ある程度共通したテンポや作風がある。
だからこそ、それ以前に作られた本作を観ると、同じハルクでもまったく異なる映画として楽しめる。
酷評されるほどひどい作品とは思わない。
派手なヒーロー映画よりも、暗い家族ドラマや実験的な映像表現を楽しめるなら、案外悪くない異色のハルク映画だ。
メタデータ
映像レビュー
Blu-rayから全面的にアップデートされたUHD
2003年の作品なので、現代の最新作のような超高画質ではない。
それでも人物のアップではなかなかの解像感があり、4K UHDとして納得できるだけの細かさは感じられる。
肌や髪、衣装の質感も見やすく、近景ではしっかりと高精細化の恩恵が出ている。
一方、遠景では甘く見える場面も多い。
背景や建物の細部まで常にくっきり見えるタイプではなく、シーンによって解像感に差があるため、全編を通して安定した4K画質というわけではない。
それでも平均的には悪くなく、年代を考えれば十分に健闘している。
CGらしさはさまざまな場面で目につく。
特にハルクの肌や周囲との合成には時代を感じるものの、鑑賞を大きく妨げるほどではない。
巨大な身体の重量感や力強さはきちんと表現されており、アクション中の躍動感も損なわれていない。
フィルムグレインもしっかり残されていて、無理にノイズを除去して滑らかにするのではなく、フィルムらしい質感を保ったまま高精細化されているため、映像が不自然にのっぺりすることもない。
同梱のBlu-rayと比較すると、違いはかなり明確。
UHD版は人物のアップだけでなく、衣装や背景、建物など、ほぼすべての場面でシャープさが増している。
Blu-ray版では近景でも甘く見えることがあり、UHDで解像感が落ちる場面では、その差がさらに大きく感じられる。
特に違いが分かりやすいのは暗い場面で、Blu-ray版ではノイズが目立ち、背景や人物の輪郭も曖昧になりやすい。
一方のUHD版では暗部の情報量が増え、黒の中にある細部も把握しやすくなっている。
HDRの効果も大きい。
黒をしっかり沈める映像で、光とのコントラストが強まり、全体的にメリハリのある画作りになった。
明暗差は比較的大きく、終盤で繰り返される雷光は眩しさを感じるほど強く発光する。
暗い場面でも必要な情報は見えやすく、4K化とHDRの相乗効果は小さくない。
シーンごとの安定感には欠けるものの、Blu-rayからは全般的に高画質化されており、HDRによる光と暗部の強化も十分に感じられる。
年代物の作品をUHDへ移行する価値が、はっきり分かる仕上がりだ。
音声レビュー
ハルクらしい重さはあり。
レンジは大きく、素晴らしい迫力。
リアを中心に、上手く作られている。
それほど目立たずBGM優位。
派手ではないが、全体化で使われることが多い。
DTS:Xへの変更によって、音声も映像と同様にしっかりアップデートされている。
トップチャンネルは、変身時の視覚効果に合わせた音、上空を飛ぶヘリコプター、雷鳴、空間全体へ広がる効果音など、さまざまな場面で活用される。
頭上だけを単独で派手に鳴らすというより、既存のサラウンドへ高さを加え、音場全体をさらに広げる使い方が中心だ。
比較的台詞の音量の差が大きく、静かな場面とアクション時の大音量にも幅がある。
ダイナミックレンジは大きく、落ち着いた会話から突然激しい効果音へ切り替わるのも多く、音のメリハリは強い。
アクションの密度は物語が進むほど高くなり、後半に向かって尻上がりに賑やかになっていく。
中でも軍隊との対決は、ヘリコプター、銃撃、爆発、車両の音が周囲を埋め尽くし、非常に活発なサラウンドとなっている。
リアチャンネルの使用頻度も高い。
後方からの効果音や左右への移動が分かりやすく、方向感と移動感のどちらも良好。衝撃音にも鋭さがあり、ハルクが暴れ回る勢いをしっかり支えている。
唯一、少し物足りなく感じたのが低音。
決して弱いわけではなく、爆発や衝突には十分な重さがある。
ただ、ハルクというキャラクターから想像する、さらに太く荒々しい重低音を期待していたため、個人的にはもう一段欲しかった。
もっとも、これは完全に好みの範囲。
低音を過剰に強調しないバランスのよい音作りともいえるため、人によってはまったく不満を感じないだろう。
古い作品でも、丁寧に再構築すれば現代作品に負けない楽しいサラウンドへ生まれ変わる。
本作はその良い例で、UHD化によって映像だけでなく音声面もしっかり強化されている。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
変身
めちゃくちゃ暴れて、サラウンドもめちゃくちゃ鳴らす。
vs ワンちゃん
サラウンドはしっかり方向感あり。
vs 軍隊
爆弾に砲弾と重さと、爆発が非常に気持ち良いシークエンス。
vs ヘリ
躍動感ある映像に、派手なサラウンド。
vs 親父
雷親父は上も後ろも派手派手。
総評
ハルクは単独映画として登場しても、そのままシリーズが続かずに終わってしまう印象がある。
キャラクター自体の人気というより、映画としての方向性や興行面の問題なのだろうが、個人的にはどのハルク作品も結構好きなのだ。
本作は上映時間がやや長く、ハルクが本格的に暴れ始めるまでにも時間がかかる。
しかしその分、ブルースが変身する力を得た理由や、封じ込められた幼少期の記憶、恋人ベティとの関係、そして互いの父親が抱える因縁まで丁寧に描かれている。
爽快なヒーローアクションというより、科学実験によって人生を狂わされた男の苦悩と、壊れた家族関係を描くダークなドラマだ。
アメリカンコミックのページを再現したような独特のコマ割りや、ずんぐりとしたハルクのデザインも、本作ならではの特徴になっている。
現在のヒーロー映画ほど映像が洗練されているわけではないし、CGにも時代を感じる。
それでも、巨大なフィギュアが画面の中で動き出したようなアクションには強い躍動感があり、現在のMCU作品とはまったく異なるコミックらしい魅力がある。
UHDの仕上がりも良好で、映像面も音声面も着実なアップデートが施されている。
配信では同等のクオリティを得にくいことを考えると、パッケージメディアで所有する意味も大きい。
公開当時に期待されたハルク像とは違い、現在のマーベル映画とも方向性が大きく異なる。
だからこそ、近年のマーベル作品に少し飽きを感じている人が観れば、かえって新鮮に映るかもしれない。
万人向けの作品ではないが、重いドラマや実験的な映像表現を楽しめるなら、酷評だけで避けるには惜しい異色のハルク映画だ。
公式予告編
※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。
