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あらすじ
フランス領ポリネシアで行われた核実験の影響により、巨大な爬虫類型生物が誕生する。
やがてその生物は海を渡り、ニューヨークへ上陸。
魚を大量に食べながら市街地へ姿を消し、軍による捜索と攻撃が始まる。
放射線の影響を調査していた生物学者ニック・タトプロスも政府の調査チームへ加わり、未知の巨大生物の生態を追っていく。
しかし調査が進むにつれ、ニューヨークを襲った怪物には、街そのものを危機に陥れる別の目的があることが判明する。
巨大生物と軍の攻防が続く中、ニックたちは都市に潜む新たな脅威を食い止めようとする。
作品レビュー
おそらく、ゴジラ映画史上でも特に不評な一本として挙げられる作品。
核実験の影響を受けたイグアナが巨大化するという、一応ゴジラらしい出自は用意されているものの、従来シリーズとの共通点はそのくらい。
見た目も生態も戦い方も大きく異なり、ゴジラという名前でこの企画を通したこと自体が不思議なくらい別物になっている。
ただし個人的には、この映画がめちゃくちゃ好きだ。
当時は日本のゴジラシリーズを数本しか観ておらず、ゴジラという存在に強い思い入れがない状態で触れたことも大きかったのだと思う。
もちろん今観ても「これはゴジラなのか?」とは思う。
しかし、巨大生物がニューヨークへ上陸するモンスターパニック映画として見れば、とにかく楽しい。ローランド・エメリッヒ監督らしく、軍隊、戦闘機、ヘリコプター、都市破壊と、とにかく物量で押してくる。
元がイグアナということで魚を大量に食べたり、妊娠検査薬を使って妊娠を確認したりと、生物として描こうとした工夫も多い。ただ、このあたりはゴジラから離れすぎた原因でもあり、ファンからすれば「そんな訳ねーだろ」と言いたくなる部分だっただろう。
それでもモンスターパニックとして考えれば、この規模で巨大生物が街中を暴れ回る映画はかなり貴重。製作費を大量に投入し、マンハッタンを丸ごと怪獣映画の舞台にしてしまう豪快さは、今観ても十分見応えがある。
『インデペンデンス・デイ』で大ヒットを飛ばした直後のエメリッヒと、「ゴジラ」という巨大なタイトルだからこそ実現できた規模だったのだろう。
もしこれが『ゴジラ』ではなく、単純に「謎の巨大生物がニューヨークへ上陸する映画」として公開されていたら、評価はどれくらい違ったのか少し気になる。
純粋なゴジラファンからすれば到底受け入れられない部分が多いのも理解できる。しかしその評価の悪さを見るたびに、逆に自分はこの作品が好きなんだと再確認してしまう。
巨大生物が走り回り、軍隊が撃ちまくり、街が次々と壊れていく。ド派手に色々なものを破壊するエメリッヒ監督らしさ全開の、ハチャメチャな超大作モンスターパニック。
ゴジラとしてではなく、この一本の怪獣映画として今でも大好きな作品だ。
メタデータ
映像レビュー
配信版との差が分かりやすいHDRに、改善された細部描写
日本ではUHD版が販売されていないため、今回はUS版4K Blu-rayでのレビュー。
そして本作は、UHD化する意味をかなり感じられる作品だった。
というのも、日本国内で視聴できる配信版は総じて画質が良くない。年代の問題もあるだろうが、解像感や色の薄さが目につき、まるでDVDかと思うレベルで、現在の環境で見るとかなり厳しい。
それに対してUHD版は、シーンによるバラつきこそあるものの、かなり見やすい映像まで押し上げられている。
元々甘いショットはUHDでもかなり甘く、場面によってはDVD時代を思わせるような部分すらある。しかし状態の良いシーンではHD配信を明確に上回り、特に遠景の潰れや輪郭の甘さがかなり改善されている。
古い映画の4K化は、何もかも最新作品のように綺麗になるというより、元映像が持っていた欠点を減らしていく方向に効果を感じることが多い。
本作もまさにそのタイプ。現代の4K作品と比べれば解像感はそこそこだが、1998年作品として見れば十分頑張っている。近景はBlu-rayでも比較的良好だが、比較してみると綺麗なシーンはUHDの方が輪郭や細部にかなり余裕がある。
一方でCGにはさすがに時代を感じる場面もあり、高解像度になったことで合成感が分かりやすくなる部分もある。それでも、巨大怪獣映画として映像そのものにかなり予算が掛けられていたこともあり、同年代作品の中ではまだ見やすい方だと思う。
フィルムグレインもしっかり残されており、1990年代映画らしい質感を味わえるのも良い。
HDRの効果も分かりやすい。
本作は夜や雨のシーンが非常に多いものの、全体的には比較的明るめに調整されているため視認性は高い。暗部では黒もしっかり沈み、光源や街灯、爆発などとのコントラストも感じられる。
特に配信版は色が薄く見えるものが多いため、発色と黒の改善だけでも印象はかなり違う。
シーンごとの安定感には欠けるものの、作品の年代や素材を考えれば十分意味のある4K化に仕上がっていた。
圧倒的な高画質というわけではないが、現在この作品をできるだけ良い映像で観るなら、UHDを選ぶ価値は大きい。
技術仕様・マスター情報:IMDb Technical Specifications、Blu-ray.com、メーカー公開情報等を参照
音声レビュー
とにかく足音が響きまくる。
意外と大きくないが、迫力は感じられる。
ゴジラや軍隊の動きや位置がバッチリ。
場面ごとで、音が無い時が無いくらい。
Atmos化の恩恵は最大級。
Dolby Atmos化の恩恵を、これでもかというほど感じられるサウンド。
トップスピーカーを含めたサラウンドの活用度は非常に高く、古い作品のAtmosリミックスとしてはトップクラスと言っていい。
元々サラウンドが派手な作品だったが、Atmos化によってさらに立体感が増している。
画面上で少し高い位置にある音まで積極的にトップへ振り分けるようなデザインで、場面によっては「そこまで上に回すのか」と思うほど。
軍隊が頻繁に登場するため、ヘリコプターや航空機はもちろん、雷や爆発といった定番の高さ表現も豊富。さらにゴジラを下から見上げる場面では、その息遣いや動きまで上方向へ広がり、巨大生物を見上げている感覚をしっかり作っている。
後方チャンネルの活用も非常に激しく、ゴジラが移動する方向や軍との戦闘では、前後左右へ音が大きく動き、画面の外まで戦場が続いているような感覚を味わえる。
元々そうした方向感を意識して作られた作品だからこそ、Atmos化との相性が抜群に良い。2000年以前の作品で、ここまでサラウンドを使い倒している映画はそう多くないと思う。
低音も素晴らしい。
ゴジラの足音ひとつでも巨大さが分かるほど深く響き、登場シーンそのものが多いため、ウーファーの出番もかなり多い。戦闘や破壊が始まれば部屋を揺らすような低音が続くので、強力なサブウーファーを使っている環境では音量に注意したくなるほど。
測定上、高域方向のダイナミックレンジだけは最大級というほどではなかった。ただしこれは迫力不足という意味ではなく、実際の視聴では十分な迫力だった。
音質そのものには多少年代を感じるものの、セリフも聞き取りやすく、大きな不満にはならない。
Dolby Atmos対応作品の中には、フォーマット名だけで高さ方向をほとんど使わないものもある。古い作品をAtmos化しても、元のサウンドとの差がほとんど分からないケースも少なくない。
しかし本作は完全に逆。
「せっかくAtmosにするなら全部使ってやろう」と言わんばかりに、トップを積極的に鳴らしてくる。
迫力とやかましさに全振りしたような音響だが、それこそこの映画にはよく似合う。
これほどの音響なのに、日本の配信版はほとんど2chというハリウッド大作にあるまじき扱いなのも、評価の低さを裏付けているようで悲しくなる。
日本国内でUHD版を入手するのは少し面倒だが、サラウンド好きなら一度は体験してほしいレベル。
Blu-ray版の5.1chでもかなり優秀なので、作品自体が嫌いでなければ、大音量のホームシアターでこそ真価を発揮する一本だと思う。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
日本船襲撃
棚から物が落ちることすらトップを使う。
漁船を海に引きずり込む
崩れ落ちる船内がド派手に、もちろんトップも派手に。
マンハッタン上陸
顔は見せずにドスドス歩き回る。LFEが大活躍。
魚でおびき寄せ
もうとにかく派手に全チャンネルを使う。
地下探索から潜水艦バトルへ
地下や水中は、全体の中では静かめだが、それでもすごい。
大量のミニラ
追いかけられるので、後ろがとても賑やか。
最後の攻防
車のアトラクションみたいなシーン。もちろんスピーカーも全部使う。
総評
何かと酷評されてきた作品だが、個人的には今でも大好きな一本。
ただ、細身の姿で高速に走り回り、魚を好み、大量の卵を産むという生態まで含めれば、従来のゴジラファンから受け入れられなかった理由もよく分かる。
核実験によって巨大生物が誕生するという出自だけ見ればゴジラらしさは残っている。個人的には、この巨大さとニューヨークを縦横無尽に暴れ回る姿がとにかく好き。
せっかくゴジラを名乗るならブレスは欲しかったし、子沢山という設定も少し残念ではあるが、それを差し引いてもお金をかけたモンスターパニックとしてのスケール感は十分に楽しめる。
そしてホームシアター作品として見れば、かなり魅力的。
UHDによって古い映像の弱点が改善され、Dolby Atmosでは巨大生物、軍隊、ヘリ、爆発、低音まで容赦なく部屋中を使って鳴らしてくる。
細かな評価よりも、巨大怪獣が街を破壊するド派手な映像と音を楽しむことこそ、この作品最大の魅力だと思う。
日本のゴジラとは切り離して、一つの巨大生物パニック映画として楽しめる人には、今でも十分おすすめできる作品だ。
予告編(海外メディア)
※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。
