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あらすじ
失踪した姉ヘザーの行方を長年追い続けてきたジェームズは、ある日、森の中で撮影された新たな映像をネット上で発見する。
そこに姉らしき人物が映っている可能性を感じた彼は、友人たちとともにメリーランド州のブラック・ヒルズの森へ向かう。現地で映像を見つけたという男女と合流し、カメラやGPS、ドローンなど新しい機材を使いながら森の奥へ入っていく一行。
しかし夜が訪れるにつれ、周囲では不可解な出来事が相次ぎ、時間や方向感覚まで次第に狂い始める。
かつて3人が失踪した森を再び舞台に、ブレア・ウィッチの伝説へ踏み込んでいくファウンド・フッテージホラー。
作品レビュー
『ブレア・ウィッチ』は、1999年の『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』から直接つながる正統続編。
主人公ジェームズは、かつてブラック・ヒルズの森で失踪したヘザーの弟。新たに発見された映像の中に姉らしき姿を見つけ、生存の可能性を信じて仲間とともに森へ向かう。大ヒットを受けて制作された『ブレアウィッチ2』がブレア・ウィッチという社会現象そのものをネタにした番外編のような作品だったので、再び“失踪事件と森”というシリーズ本来の舞台へ戻ったのが大きな特徴だ。
形式もファウンド・フッテージを継承。ただし、時代は2010年代。小型カメラやイヤーカメラ、ドローンなど機材は大幅に進化し、複数視点による映像表現が増えている。GPSまで持ち込んで準備万端だが、そんなのが意味を持たないのは観る前から周知の事実だ。
同じ森ではあるが、今回は明らかに怪異が激しい。単に方向感覚を失うだけでなく、時間そのものが歪んでいるような描写が入り、夜が異常なほど長く続く。過去の映像がなぜ現在に現れたのかという謎も絡み、森そのものが普通の空間ではない可能性を強く感じさせる。
シリーズおなじみの木の人形も登場するが、今作は1作目よりもかなり直接的。怪異の存在を匂わせるだけでなく、ジャンプスケアや大音量、身体的な恐怖まで取り入れ、一般的な現代ホラーらしさが遥かに強くなった。
そのため、1作目の「何も見えないから怖い」という独特の魅力は多少薄れた。一方で登場人物が増えたことで怪異や死亡のバリエーションも増え、森の中の家が再び重要な舞台になるなど、シリーズファンなら分かる仕掛けも多い。
ブレア・ウィッチそのものについても、能力や森への影響を以前より具体的に想像できるようになった。ただし、すべてを説明してしまうわけではなく、時間や空間の異常を含めて最後まで謎は残される。その曖昧さはシリーズらしさとしてきちんと保たれている。
制作費も1作目とは比べものにならない約500万ドル規模となり、映像、音響、VFXは大幅に豪華になった。ファウンド・フッテージという形式は残しながら、作品そのものはかなり現代的なホラーへ進化している。
さらに公開までは『The Woods』という別タイトルで正体を隠し、後から『ブレア・ウィッチ』であることを発表。1作目が「実際の失踪事件かもしれない」と観客を惑わせたように、今作も別の形でシリーズらしいマーケティングを仕掛けていた。
評価は決して高くなく、オリジナルの焼き直しという批判も多かったのも頷ける。ただ、個人的には同じことをそのまま繰り返さず、時代に合わせて撮影機材や恐怖表現を更新した点は悪くなかった。
確かに“ブレア・ウィッチらしさ”は薄くなったが、それでも一般的なホラーとしての派手さを増しながら、1作目とのつながりや森の異常性を掘り下げた作品として、酷評されるほど悪い続編ではなかった。
メタデータ
※ビットレートはプレイヤー再生時の実測目安です。場面により変動します。
映像レビュー
小型カメラとドローンで広がった現代的なファウンド・フッテージ映像
時代相応の変化はしっかり感じられ、画角もビスタサイズとなって画面いっぱいに広がる。
2016年作品としては解像感をやや抑えた映像だが、これは機材の限界だけではなく、ファウンド・フッテージとしてのリアリティを残すための意図的な画作りにも見える。1作目の粗さをそのまま再現するのではなく、暗所性能や小型カメラによる視点の自由度など、時代相応の進歩を加えながら“綺麗すぎない映像”にまとめている。
ドローンや小型のイヤーピースカメラが導入されたことで、常に誰かが手持ちカメラを構えていなければならないという不自然さもかなり減った。視点のバリエーションが増え、逃げながらの映像や複数人の動きも自然につながっている。
暗所性能も明らかに向上しており、1作目のように本当に何も見えないほど真っ暗になる場面は少ない。懐中電灯などの光源も自然で、暗い森の雰囲気を保ちながら最低限の視認性は確保されている。
それでも走ったり激しく動いたりする場面ではブレがかなり大きく、大画面では酔いそうになることもある。このあたりはファウンド・フッテージらしさと引き換えの部分だろう。
映像美を楽しむタイプの作品ではなく、痛々しい描写もあるため、むしろ情報量はこれくらいでちょうどいい。フィルムライクな質感も強く、過度にデジタルっぽくならないのも好印象。
見せ方の幅を広げながらも、シリーズ特有の生々しい雰囲気は崩していない。綺麗とは言いにくいが、作品の作風をしっかり反映したリアリティのある映像だった。
音声レビュー
前半は雰囲気作りに、後半は効果音でかなり激しく。
ジャンプスケアは威力抜群。
中盤も良いけど、終盤が物凄い。
場の空気感は、かなりハッキリに。
頻度は多くないが、様々に活用される。
2chだった1作目からDolby Atmosへ変わり、音響は大幅にパワーアップ。
静けさを武器にしていた前作とは対照的で、今回は前半からジャンプスケアがかなり多い。しかも一発一発の音が強烈で、静かな場面との落差も大きい。場面転換時の映像ノイズのような演出まで大音量で鳴るため、迫力という点では申し分ない。
カメラに入る風切り音、虫や鳥の声、川の音などの環境音もかなり大きく、現代的な録音機材の性能を意識したような生々しさがある。
中盤以降はさらに攻めた音作りとなり、人の声だけでなく、何かが歩く音、静かに響く低音、物が壊れる音などが次々と加わってくる。ある意味では予想通りのホラー演出ではあるが、その物量と音圧はかなり強い。
終盤はほとんどジェットコースターのような勢いで、映画というより体験型アトラクションに近い激しさになる。
雷もかなり重く、森の廃屋へ入ってからはまるで巨大なお化け屋敷。前後左右から物音が動き、何かが周囲を駆け回る感覚を強く味わえる。
BGMをほぼ使わなかった前作とは違い、不穏さを煽る低い音や音楽的な演出も増えた。腹に響くような低音も頻繁に使われ、恐怖を音圧で押し込んでくる場面が多い。
Atmosのトップスピーカーは序盤こそドローンなど限定的に感じるが、カメラ視点に合わせて少しずつ使われ、終盤ではかなり積極的に鳴る。リアスピーカーもよく動くため、全体の包囲感はかなり強い。
2chで見ると「ただやかましいだけ」に感じる場面もありそうだが、サラウンド環境では映像と連動した音の移動をしっかり楽しめる。
もちろんAtmosでも十分やかましい。ただ、その振り切った音作りが妙に面白く、ホラーが苦手でなければぜひAtmos環境で体験してほしい一本だった。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
最初の夜
結構なパンチの物音に、低音の響いが良い雰囲気を醸し出している。
二日目の夜
かなり積極的な動きがあり、包囲感に迫力も素晴らしい。
三日目の真っ暗な朝
本格的に攻めてくる前半。後半は激しい雷雨の中、閉鎖空間の廃屋でもう滅茶苦茶なサラウンド。
総評
大ヒット作の続編は、どうしても前作以上の期待を背負うことになる。本作も例外ではなく、1作目ほどの新鮮さや衝撃を求めた人には、肩透かしに感じられた部分もあったのだろう。
1作目でほとんど何も分からないまま終わった怪異について、今回はある程度その存在や力を見せる方向へ進んでいる。それでもすべてを説明するわけではなく、時間の歪みや森そのものの異常性など、新たな謎も加わったことで、かえって分かりにくさが増した部分もある。
さらに、ジャンプスケアや大音量など一般的な現代ホラーらしい演出も強くなり、前作の「何も見えないから怖い」という独特の魅力とはかなり方向性が変わった。ここが評価を分けた大きな理由の一つだったのかもしれない。
ただ、同じことを繰り返すだけではなく、1作目の土台を残しながら新しい物語を作ろうとした点は悪くない。森、木の人形、失踪映像といったシリーズらしい要素を継承しつつ、現代の小型カメラやドローンを使ったファウンド・フッテージへ更新したことで、時代の変化もしっかり感じられる。
個人的には、1作目で謎だった部分を少しだけ具体的に見せてくれる方向も嫌いではなく、お約束的なホラー展開も含めて、特別ダメな続編とは思わなかった。
映像は雰囲気を残しながら現代的にアップデートされ、音声はそれ以上に大きく進化。Dolby Atmosでは本当にやかましいくらい全方向から音が飛び交い、終盤はまるでお化け屋敷のアトラクションを体験しているような激しさになる。
オリジナルほどの革新性はなく、“ブレア・ウィッチらしさ”も少し薄れたかもしれない。それでもシリーズの森へ真正面から戻り、現代風ファウンド・フッテージとして再構築した続編としては、悪くない落とし所だったと思う。
少なくともホームシアターとの相性はシリーズ随一。ホラーの大音響を全身で浴びたいなら、かなり面白い一本だ。
公式予告編
※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。
