作品データ
パッケージで探す
※楽天・Yahoo!は検索結果ページに移動します。
新品・中古を含む複数の商品が表示される場合があります。
あらすじ
刑務所を出たばかりのスコット・ラングは、娘との関係を取り戻すため、まっとうに生きようとしていた。しかし仕事も生活も思うようにいかず、やがて仲間に誘われてある屋敷へ忍び込むことになる。
そこで彼が手にしたのは、身体を驚くほど小さく縮めながら、高い身体能力を発揮できる特殊なスーツだった。スーツの開発者ハンク・ピムは、かつて自らアントマンとして活動していた科学者であり、自身の技術が危険な兵器として利用されることを恐れていた。
ハンクと娘ホープの協力を受けながら、スコットは新たなアントマンとして訓練を開始。小さくなる能力とアリたちを利用し、ピムの技術を奪おうとするダレン・クロスの計画を阻止するため、人生を立て直す大きな仕事へ挑んでいく。
作品レビュー
MCUフェーズ2最後の作品となる『アントマン』は、シリーズの中でもかなり異色の立ち位置にある一本。世界規模の危機や大軍同士の戦いではなく、元犯罪者の男が人生を立て直し、もう一度娘に胸を張れる父親になろうとする、非常に個人的な物語から始まる。
ポール・ラッド演じるスコット・ラングは、勤務先の不正を暴くためシステムへ侵入し、不正に得た金を顧客へ返したことで服役していた元犯罪者。娘キャシーとの関係を取り戻したいと思いながらも、前科のせいで仕事も生活も思うようにいかない。そんな彼が出会うのが、かつて初代アントマンとして活動していた科学者ハンク・ピム。身体を極端に小さくするピム粒子と特殊スーツを開発した人物で、その技術が兵器として悪用されることを強く恐れている。
スコットはハンクと、その娘ホープ・ヴァン・ダインの協力を受けながらアントマンとしての訓練を始める。身体は小さくなっても力そのものは維持され、さらにアリを使った移動や潜入まで戦術へ組み込むという能力はかなり独特。単純に強くなるヒーローではなく、サイズの変化をどう使うかが重要になるところも面白い。
敵となるダレン・クロスは、ハンクの技術を再現したイエロージャケットを完成させ、縮小技術を軍事利用しようとする。そこで本作はヒーロー映画でありながら、正面から敵を倒すのではなく、施設へ潜入して技術を奪う“強盗映画”の構造で進んでいく。
スコットを支えるルイスたち元犯罪仲間も明るく個性的で、特にルイスの高速説明ギャグは本作を象徴する笑いのひとつ。ファルコンとの戦闘では、それまで比較的小規模だった物語が自然にアベンジャーズの世界へつながり、単独作品としての軽さを保ちながらMCUの一部であることもしっかり感じさせる。
サイズが変われば世界の見え方も一変し、家庭用品や玩具ですら巨大な障害物になる。終盤のトーマス機関車を使った戦いはその発想を最大限に活かしており、縮小視点では大迫力なのに、通常サイズへ戻した瞬間ただの玩具に見えるギャップも最高に面白い。
さらに本作では量子世界が初登場し、ハンクの妻ジャネット・ヴァン・ダインの過去も今後につながる重要な伏線となる。物語自体は非常に小規模なのに、後のMCU全体へ影響する設定をしっかり残しているのも上手い。
最終的にスコットが目指すのは、世界を救うこと以上に、娘にもう一度誇ってもらえる父親になること。コメディと家族ドラマがかなり強く、ヒーロー映画としても強盗映画としても軽快に楽しめる。MCUの中でもかなり異色だが、個人的にはかなり好きな部類の作品だ。
メタデータ
映像レビュー
マクロ撮影で広がる日常用品の巨大な世界
ぱっと見の印象は悪くない4K映像。
メインはARRI ALEXAによるARRIRAW 2.8K/3.4K撮影で、高速撮影の一部にはPhantom Flex4Kも使用。ただし最終マスターは2K Digital Intermediateとなっており、UHDはそこからのアップスケール4Kとなる。実際の映像も、輪郭はやや太めに強調されたようなクッキリ感があり、自然なネイティブ4Kらしい細密感とは少し違う。サンフランシスコの街並みも綺麗だが、自然な高解像度の4K映像と比べると細密感では一歩届かない印象。近景では印象も良くなり、目立つノイズも少なく、十分綺麗だと感じられる場面は多い。
暗部はしっかり沈めるタイプで、光と影のメリハリも強い。アントマンのスーツの濃い赤や、量子世界へ入った際の極彩色の表現も鮮やか。様々な種類のアリも色や姿の違いが分かりやすく、地下まで細かな部分をしっかり見せる。暗い場所でも視認性は高く、Dolby Visionらしい色とコントラストの良さを感じられた。
アリが画面いっぱいに映る場面も多いため苦手な人には強烈かもしれないが、その質感や動きは非常にリアル。個人的には、この生々しい表現もかなり好みだった。
作品を重ねるごとにスケールアップしていたMCUに対して、本作は真逆の方向から映像の迫力を作る。浴槽や床、玩具といった日常のものが巨大な世界へ変わり、トーマス機関車を使った最終戦まで、通常なら小さな出来事が大迫力のアクションになる。拡大と縮小を繰り返すVFXも、単純な派手さとは違う独自の面白さがある。
この小さな世界のリアリティを支えたのが、実物を極端に接写するマクロ撮影。巨大なセットを作るだけではなく、床や配管、金属、埃といった実際の素材を至近距離から撮影し、それをCGと組み合わせることで、人間の目では普段意識しない微細な世界を作り出している。
さらに冒頭の若いハンク・ピムも見どころで、マイケル・ダグラス本人の顔をデジタル処理によって大幅に若返らせている。今では珍しくない技術になったが、2015年当時としてはかなり自然で、長く活動してきたキャラクターの過去を違和感なく見せる効果的な表現だった。
純粋な4K画質として飛び抜けているわけではないが、大画面でも大きな破綻はなく、縮小世界ならではの映像表現が強い個性になっている。画質以上に「普段見えないものをどう見せるか」が楽しい映像だった。
技術仕様・マスター情報:IMDb Technical Specifications、Blu-ray.com、メーカー公開情報等を参照
音声レビュー
重さを表現するシーンは多くないが、強さは悪くない。
突き抜けるほどの迫力ではない。
羽アリがまるで戦闘機。
明るい映画の雰囲気が感じられる。
映像の合わせて的確に使用する。
身体の大小によって音の印象まで変化する、非常に面白いサラウンドデザイン。
映像と同じように、スコットが小さくなると日常の些細な音が一気に巨大化する。蛇口から流れる水は洪水のように押し寄せ、羽アリの羽ばたきはヘリコプターのように唸る。模型や玩具が崩れるだけでも、小さな視点ではビルが倒壊したような迫力になる。
一方で通常サイズへ戻れば、その音も一瞬で現実的な大きさへ変化する。強烈な衝撃から、コインが落ちる程度の揺れや凹みまで、見た目のスケールに合わせて音の重さを大きく変えているため、迫力のある場面と小さな音が交互に切り替わる。この落差そのものが本作ならではの楽しさになっている。
サラウンドが特に活発になるのは、アリが絡む場面とアクションシーン。最初にスーツを着て縮小する場面では、小さなアングルから見た人間の日常生活が巨大な存在のように周囲へ広がり、サイズの変化を音でも強く実感できる。羽アリに乗って移動する場面も動きが激しく、前後左右への移動感を積極的に使っている。
Dolby Atmosのトップも適宜活用され、派手なアクションだけでなく、頭上を通る音や小さくなった状態で周囲に響く生活音、さらには照明や研究施設の機器といった細かな効果音にも使われる。こうした目立たない部分まで高さ方向へ配置されているのを見ると、MCUのAtmosがかなり丁寧に作られていることが分かる。
終盤のイエロージャケットとの戦いや、さらに小さな世界へ落ちていく場面ではスピーカー全体を積極的に活用。単純に大音量で押すのではなく、サイズ変化そのものを音響表現へ落とし込んでいる。
映像と音が同じ発想で作られているため一体感が高く、サラウンド作品としても十分ホームシアター向き。『アントマン』にしかできない、小さな世界を大きな音で楽しめる面白いAtmosサウンドだった。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
初のスーツ装着
小さくなった時の響き、あらゆる音が大きく面白いサラウンドに。
刑務所から脱出
羽アリでの飛行。短いが印象的。
スーツの実地訓練
vs ファルコン。サラウンドは一部で活用。
ピムテックに侵入
羽アリでの飛行が非常に派手。後半のバトルも素晴らしいサラウンド。
総評
シリアスな方向へ進む作品が増えてきたMCUの中でも、かなりコメディ色が強く、独特の面白さを持った『アントマン』。
技術そのものは非常に高度でも、相対するのは巨大な宇宙的脅威ではなく企業のトップで、主人公スコットが何より守りたいのも自分の家族であり、久しぶりに身近なヒーローものへ戻ってきたような感覚がある。スコット本人だけでなく、ルイスをはじめ周囲のメンバーも明るくノリが良く、シリアスな展開とのバランスも上手い。
物語の中心には家族があり、スコットとキャシーの父娘関係だけでなく、ハンクとホープの間に残る距離も描かれる。世界を救うこと以上に、「もう一度家族に認めてもらいたい」という個人的な目的があることで、ヒーローとしての成長にも親しみやすさが生まれている。
能力も、単純なパワーやスピード、飛び道具とはまったく違う。身体を極端に縮小し、日常の物やアリまで戦術へ変えていく発想はユニークで、MCUのキャラクターや戦い方の幅広さを改めて感じさせる。
映像表現もその能力を最大限に活かした独特のもので、音響も身体の大きさによって迫力や距離感が変化する楽しい作り。サラウンドの活用も上手く、派手さだけではないホームシアター向きの魅力がしっかりある。
MCUの中では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と並んでクスッと笑える場面も多く、全体の明るい雰囲気も個人的にかなり好み。本流とのつながりもしっかり持ちながら、その後の展開でも重要な役割を担っていく。初期アベンジャーズとはまったく違うタイプながら、それに負けない楽しさを持ったヒーローだった。
公式予告編
※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。
