作品データ
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あらすじ
目を覚ました女性マリーナは、走行中の車のトランクに閉じ込められていることに気づく。状況を把握できないまま、限られた空間とわずかな持ち物だけを頼りに脱出方法を探し始める。
外の世界との唯一の接点は携帯電話。記憶の混乱や刻々と変化する状況の中、彼女は自らが巻き込まれた危険な出来事の真相に迫っていく。
Prime Video配信のサスペンススリラーで、閉鎖空間ならではの緊張感が続くワンシチュエーション作品
作品レビュー
全編を通してトランクの中という限定空間で展開される本作。
ドイツ製だが、個人的にはこういう系統の映画は大好きなので期待はしていた。
アイデア勝負のワンシチュエーション・スリラーとして、その構成力には一定の評価を下したい。
主人公が誘拐され、トランクという狭い箱の中に閉じ込められる。
この設定だけで、どういった展開が待っているのか、ワクワクする映画ファンも多いだろう。
序盤から淡々とスマホでのやり取りをメインに物語は進む。
ただ、正直に言ってストーリー自体に「あっと驚くような捻り」は希薄だ。
結末や犯人の動機に至るまで、既視感が強く、物語の深みという点で物足りない。
スケールが小さすぎるというか、現実でいくらでもありそうなことなのだ。
リアル路線は悪くないけど、エンターテイメント作品としては不十分。
映像はほとんど主人公を映したものばかりなので、よっぽどのフックが無いと興味は繋ぎ止められない。
もう一つ、何か観る人を突き放すような驚きが欲しかったというのが本音だ。
メタデータ
映像レビュー
延々暗いが、意外に見やすい
映画の95%くらいは暗いシーンで構成されており、場合によっては見にくいかもしれない。
しかしHDR10+での映像は比較的見やすく、暗部階調は優秀。
配信で平均20Mbpsは良い方で、ピークが低めなのはそれだけ同じような画面が続くから。
アップの構図が多く、解像感も問題なく4Kらしい映像。
本当にずっとトランクの中で、視点もほぼ主人公のみに当てられるので、
映像的には似たような絵が続くが、時折映る光は安心感をもたらしてくれる。
ライトやスマホ、外の景色など、HDRらしい強いコントラスト表現がリアル感があって、
映像的にも心理的にも、光というのは大事なものだと気付かされる。
トランク内では汚れやウジ虫なども非常に汚らしく、そこがまた良い。
トランクの閉塞感と、主人公の絶望的な気持ちを的確に表現した映像だ。
音声レビュー
雰囲気作りにかなり使用される。
それほど大きくは無し。
前後左右を通る車の存在感は大いにあり。
雨、車、常にトランクの中の響きに包まれる。
全体で包囲感を作ることに貢献している。
トランクの中というワンシチュエーションで、とにかくずっと車や雨の音が鳴っている。
些細な響きや、声の反響などもしっかりと作り込まれており、
閉鎖空間という舞台から、目よりも耳で周りの状況を伝えている。
基本は走行中で、車の通り過ぎる音と雨の音が多く、さらに低音も意外と頻繁に使用される。
スリラーでは比較的こういうタイプは多く、低い重さよりも包み込む重さだ。
トップは方向感よりも、効果音でささやかに全体での一体感を支えている。
会話がメインで大きな起伏はほとんど無く、聞きどころも難しいが、
環境音の多様さによって、淡々とした雰囲気を醸成することに非常に貢献している。
一部のクラッシュシーン以外は本当に平坦な展開が続くが、
そこに臨場感のある様々な効果音が加わることで、囚われた物語への没入感を高めている。
とにかく環境音の作り込みが素晴らしい一作。
派手さは無いが、包囲系Atmos音響としては中々好きな系統だ。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
道路を逆走
前後の移動感は強め。
クラッシュ
縦回転で雨の音が回る珍しい構図。
BGMでサラウンドも使う。
クラッシュから水没
一番大きく、浸水は全方位。
総評
密室系で登場人物もほぼ主人公のみなので、相当な練り込みが必要だがそこまでではない。
しかし「トランク」という制限された環境下でのドラマ作りには成功している。
派手なアクションやどんでん返しを期待すると肩透かしを食らうかもしれないが、
ミニマルなスリラーとして楽しむ分には十分な佳作だ。
音の比重が大きい作品なので、環境次第で評価は少し上がるかもしれない。
物語に驚きはなくても、ワンシチュエーション系の佳作として観る一本としては悪くない。
