ブラックパンサー

ブラックパンサー

超文明ワカンダと王の責任を描く、異色のMCUヒーロー

作品データ

作品名
ブラックパンサー
Black Panther
公開年
2018年
上映時間
134分
ジャンル
レビュー対象
Disney+
映像仕様
4K/IMAX Enhanced
音声仕様
DTS:X
当サイト評価
総合 8/10
音響 7/10
外部評価
IMDb 7.3 / 10
Filmarks 3.8 / 5
映画.com 3.6 / 5
他サービス
Prime VideoHDSDR5.1ch
HuluHDSDR2ch
Apple TV4KDolby VisionDolby Atmos
Blu-rayHDSDR7.1ch
UHD Blu-ray4KHDR10Dolby Atmos

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STORY

あらすじ

父を失ったティ・チャラは、故郷ワカンダへ戻り、新たな国王として王位を継ぐことになる。

外の世界からは貧しい小国と思われているワカンダだが、実際には希少金属ヴィブラニウムによって高度な文明を築き、その存在を長く秘密にしてきた国だった。

新たな王として国の未来を考え始めるティ・チャラの前に、ワカンダの過去と深く関わる男エリック・キルモンガーが現れる。国を守り続けるのか、それとも世界へ力を向けるのか。ティ・チャラは王として、自らが進むべき道を問われることになる。

REVIEW

作品レビュー

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の後、父ティ・チャカを失ったティ・チャラが、ブラックパンサーとしてだけでなく、ワカンダの新たな国王になるところから始まる。

他のMCU主人公と大きく違うのは、ヒーローであると同時に、一国を背負う王でもあること。自分の判断が国民や国の未来そのものに影響するため、単純に悪を倒せば終わりという話ではない。

その舞台となるワカンダも非常に魅力的。世界から姿を隠しながら、ヴィブラニウムによって圧倒的な技術力を持つ超文明国家で、アフリカ文化と未来技術が自然に共存している。王位継承の儀式や部族ごとの文化がありながら、米国よりも進んだ最先端の技術を扱っている。この独特の世界観だけでもMCUの中ではかなり新鮮だった。

シュリとの兄妹関係も良く、ティ・チャラの落ち着いた性格に対して、シュリは軽快で発想も柔軟。天才科学者としてブラックパンサーを支える一方で、普通の兄妹らしいやり取りもあり、ワカンダの堅い王室の中で親しみやすさを加えている。

オコエ、ナキア、戦士部隊ドーラ・ミラージュなど女性キャラクターも強く、それぞれが単なる補佐役ではなく、自分の信念で動いている。特にナキアは最初からワカンダの外へ目を向け、国の力をもっと世界のために使うべきだと考えている。

物語はウルトロンで登場した武器商人クロウとの対立から始まるが、次第にキルモンガーというワカンダ内部の問題へ移っていく。キルモンガーはワカンダの血を引きながら、その国から切り捨てられた過去を持つ人物。ティ・チャラと同じ血筋に生まれながら、まったく違う環境で育ったことで、二人は正反対の思想へ進んでいる。

世界から孤立し、自国だけを守ってきたワカンダ。その姿勢は本当に正しかったのか。圧倒的な力を持つ国が、その力を誰のために使うべきなのか。キルモンガーの方法は極端だが、苦しめられた先祖や同族のためという彼の主張には一定の理屈があり、単純な善悪では片付けられない。

マイケル・B・ジョーダン演じるキルモンガーは攻撃的で強烈な存在感があり、対するチャドウィック・ボーズマンのティ・チャラは国を守ることが第一の王。その対比がすごく良く、二人ともとにかくカッコいい。

ジャバリ族のエムバクも印象的。ワカンダとは違う道を歩んでいるが、決して国そのものを嫌っているわけではなく、武人として独自の誇りを持っていて、いざという時は立ち上がるのも王道展開。CIA捜査官のロスを通して外部の人間からワカンダを見る構成もあり、閉じた国がどう見えるのかという視点も自然に入ってくる。

最終的にティ・チャラは、父や祖先の価値観をそのまま受け継ぐのではなく、自分自身で王としての道を選ぶことになる。敵を倒して終わりではなく、その敵の主張から自分の国の間違いにも気づき、ワカンダそのものを変えようとする。

ヒーロー映画でありながら、国家、政治、家族、伝統と変化をかなりしっかり描いた作品。MCU全体とのつながりはありつつも、一作の物語として独立して楽しめる構成で、ワカンダという国とティ・チャラという王をしっかり確立した作品だった。

SPEC

メタデータ

映像レンジ / 解像度 / アスペクト比
Dolby Vision / 3840×2160 / 可変(IMAX)
輝度データ
最大 980nit / 平均 144nit(HDR10時参考)
映像ビットレート
最大 27.15Mbps / 平均 14.81Mbps
音声 / 音声ビットレート
DTS:X / 測定不可
VIDEO

映像レビュー

CHECK POINT

民族衣装と未来技術が生む鮮やかな色彩

配信版としては平均以上、ただし圧倒的な4K感を前面に押し出すタイプではない映像。

本作はARRI ALEXA SXT PlusやALEXA Miniを中心に、3.4K ARRIRAWで撮影され、4K DIで仕上げられている。実際の映像は、場面によってややアップスケール的に見えるところもあれば、非常に自然で細かな輪郭を見せるところもあり、全体としてはバランスの良い仕上がり。特にワカンダを空から捉えたVFX主体のシーンでは情報量も多く、都市の広がりや建造物の細部までかなり見応えがある。

黒はかなりしっかり沈み、全体的にはやや暗めの傾向。表示環境によっては少し明るめに設定した方が見やすいくらいだが、その深い黒がブラックパンサーのスーツに走る紫や、ヴィブラニウム由来の青い光を強く引き立てている。

一方で、日差しの強い屋外ではかなり明るく、滝の儀式や戦闘シーンでは眩しさを感じるほど。暗部から高輝度まで振れ幅があり、Dolby Visionらしいコントラスト表現は十分に楽しめる。

特に印象的なのが、ワカンダを構成する様々な部族の衣装。赤や青、緑など原色を大胆に使った民族衣装が非常に鮮やかで、細かな装飾や模様までしっかり見える。高度な未来技術と伝統文化が同じ画面に並ぶことで、ワカンダ独自の世界観そのものが映像的な見どころになっている。『マイティ・ソー バトルロイヤル』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のような宇宙的な派手さとは違い、アフリカ各地の文化的な多様性を未来的に発展させたような色使いが特徴的。

IMAX Enhancedも積極的で、約50分にわたり一部シーンが黒帯を減らして拡大する。アクションだけでなく、ワカンダの雄大な景色や王位継承の儀式など、世界観を見せる重要な場面でも広い画角が使われている。

純粋な解像感だけなら突出した4K映像ではないものの、鮮やかな色彩、Dolby Visionの明暗表現、IMAX Enhancedの広い画角が合わさることで、映像作品としての魅力はかなり高い。

ワカンダという国そのものを見せるための映像として、非常によくできた一本だった。

技術仕様・マスター情報:IMDb Technical Specifications、Blu-ray.com、メーカー公開情報等を参照

AUDIO

音声レビュー

Low Frequency Effect 4.0

アクションシーンで特に終盤は強めに。

ダイナミックレンジ 4.5

やはり前半から終盤にかけて派手に。

定位感・移動感 4.0

終盤の決戦がメイン。

環境音 3.0

儀式の滝や、市場の活気が目立つ。

トップ 3.5

適宜使用され、広がり重視。

これまで比較してきたMCU作品の中では、DTS:X版とDolby Atmos版の差が比較的小さく感じられた音声。

いくつかの場面を聴き比べると、簡易測定ではDTS:Xの方が1〜3dBほど高い場面があるものの、ほとんど差を感じないところも多い。

これまでのMCU作品ではDTS:X版の方が明確に力強く感じることも多かったが、今作ではその差はかなり小さめ。衝撃音そのものよりも、トップスピーカー側の音圧が少し増すように感じる場面が目立った。もともとのDolby Atmos版にも一定のダイナミックレンジがあり、場面によるバラつきはあるものの、十分な迫力は確保されている。

音作りは意外にもフロント重視が多い。一対一の戦闘では当然ながら音場も比較的コンパクトで、釜山でのカーチェイスも映像ほど派手な移動感は感じにくい。車や銃撃が画面内を大きく動いていても、サラウンドで明確に追いかけるというより、映像全体を補強するような印象だった。

もちろんリアやトップが使われていないわけではなく、適宜しっかり鳴る。ただ、方向感を強調するよりも空間そのものを広げるようなサラウンドが中心になっている。

その一方で、音の鋭さはかなり良い。ブラックパンサーの攻撃やスーツの衝撃の解放、クロウの武器や戦士部隊も含め輪郭が非常にはっきりしており、独特の硬質感がある。

終盤は、前半とはかなり印象が変わる。ワカンダでの大規模戦闘ではリアスピーカーも積極的に使用。大人数の戦闘と空中戦が同時進行することで、より激しくサラウンドらしい広がりと迫力をしっかり感じられる。サイの突進などが加わり、低域にも重さが出てくる。

全編を通して圧倒するタイプではないものの、後半に向かって徐々に音場が広がり、最後にはしっかり大作らしくなる。映像重視の作品ではあるが、音声も尻上がりに良くなっていく一本だった。

SCENES

聞きどころ

ネタバレ注意

「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。

19:10~28:30
映像重視

vs エムバク

王の器の証明。IMAX Enhancedで見せつけるシーン。

45:00~53:45
迫力大 映像重視

釜山でチェイス

夜の釜山にブラックパンサーがめちゃかっこいい。迫力はあるがサラウンドはそこそこ。

1:16:45~1:22:25
映像重視

vs キルモンガー

再びのタイマン。IMAXで。

1:41:40~1:58:50
迫力大 終盤見せ場

最後の戦い

音的にはブラックパンサー対決よりも、サイの迫力と飛行船のチェイスが目立つ。

SUMMARY

総評

国王がヒーローという、MCUの中でもかなり異質な立ち位置の作品。

外からは発展途上国のように見られながら、実際にはどこよりも進んだ文明を持つワカンダ。その中に複数の部族や文化が共存し、実在する言語やアフリカ各地の文化を参考に組み上げられていることで、一国でありながらかなり大きな世界を感じさせる。

国王らしい落ち着きを持つチャドウィック・ボーズマンと、攻撃的で強烈なマイケル・B・ジョーダンの対比も印象的。決闘やブラックパンサー同士の戦いは性格の違いまで映像に出ていて、どちらも非常にカッコいい。

キルモンガーも徹底した悪ではなく、自分なりの正義やワカンダへの思いを持って動いている。そこに現実の歴史や格差の問題まで重なることで、単純な勧善懲悪では終わらないヴィランになっていた。

IMAX Enhancedで広がる雄大な景色と超文明、鮮やかな色彩、後半へ向けて派手になっていくサラウンド音声も大作らしい見どころ。

ヴィブラニウムやワカンダの技術がMCUの中で存在感を増し、世界観そのものもさらに重層的になっていく。改めて見返すと、宇宙、神話、科学、国家と、MCUがここまで違う色を同じ世界にまとめていることにも驚かされる。

他のヒーローとはかなり毛色が違い、ひとりの人物だけでなく“国そのもの”が主役級の存在感を持った作品だった。

当サイト評価
総合 8 / 10
音響 7 / 10

TRAILER

公式予告編

※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。

配信サービス
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