キャンディマン

キャンディマン

都市伝説と人種差別を現代的に再構築した社会派ホラー

作品データ

作品名
キャンディマン
Candyman
公開年
2021年
上映時間
91分
レビュー対象
Blu-ray
映像仕様
HD/SDR
音声仕様
Dolby TrueHD Atmos
当サイト評価
総合 7/10
音響 7/10
外部評価
IMDb 5.9 / 10
Filmarks 3.3 / 5
映画.com 2.8 / 5
他サービス
Prime VideoHDSDR5.1ch
U-NEXTHDSDR2ch
Apple TV4KHDR10+5.1ch
UHD Blu-ray4KHDR10Dolby Atmos

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STORY

あらすじ

シカゴで活動する画家アンソニー・マッコイは、パートナーのブリアナとともに、再開発が進んだカブリーニ=グリーン地区で暮らしている。

創作に行き詰まりを感じていたアンソニーは、かつてこの地域で語られていた「キャンディマン」という都市伝説を知る。鏡の前でその名を5回唱えると、鉤爪を持つ殺人鬼が現れるという噂だった。

その伝説に強く惹かれたアンソニーは、自身の作品の題材としてキャンディマンを調べ始める。しかし過去の事件や地域に残された記憶へ深く踏み込むほど、彼の日常と創作は少しずつ異様な方向へ変化していく。

やがて周囲では不可解な死が相次ぎ、忘れられていた都市伝説が再び現実へ姿を現し始める。

過去の悲劇と現代の街をつなぎながら、恐怖がどのように語り継がれていくのかを描いた社会派ホラー。

REVIEW

作品レビュー

1992年版『キャンディマン』のリメイクではなく、その物語を現代へつなげた続編。

自分はまず92年版を知らない状態で今作を観たが、それでも特に問題なく理解できた。その後で旧作も観てみると、人物や出来事のつながりだけでなく、約30年で変わった街や映画そのものの空気まで比較できてかなり面白い。

舞台は再びシカゴのカブリーニ=グリーン。ただし、かつての公営住宅街は再開発され、現代的で綺麗な街へと姿を変えている。92年版では落書きやゴミの多さ、荒れた建物や汚れた室内までかなり生々しく、あらゆる場面でタバコを吸いまくり、今ではあまり見なくなったお色気描写もある。それだけに2021年版の洗練された映像や街並みを見ると、物語だけでなく時代そのものが変わったことを強く感じる。

主人公アンソニーは画家で、創作の題材を探す中でキャンディマンの都市伝説へ近づいていく。好奇心から鏡の前で名前を5回唱えてしまい、彼が伝説を作品として発表することで、忘れられかけていた恐怖そのものを再び広めてしまう構造になっている。成功への欲望とキャンディマンへの執着が重なり、身体まで徐々に変化していくボディホラーとしての要素も強い。

今作ではキャンディマンそのものの解釈も大きく広げられている。元祖キャンディマンであるダニエル・ロビタイユ一人だけではなく、人種差別や暴力によって命を奪われた者たちの記憶が重なり、都市伝説として生き続ける存在として描かれている。

そのため人種差別、警察暴力、都市再開発といった社会問題は単なる背景ではなく、物語の中心そのもの。ジョーダン・ピール作品にも通じる、ジャンル映画の中へ社会的テーマを組み込む作りになっている。誰が悲劇を語り、それを誰が作品として消費するのかという、美術界への皮肉も絡められているのが印象的だった。

映像表現も特徴的で、過去の出来事を影絵で見せる演出は特に秀逸。直接すべてを説明するのではなく、都市伝説として語り継がれている感覚を残しながら、92年版を知らなくても理解できるようになっている。

蜂、鏡、鉤爪といったシリーズを象徴する要素もしっかり継承。特にキャンディマンが鏡や反射面の中にだけ姿を見せ、全体像をなかなか現さない演出はかなり超常的で、不気味さがある。旧作とのつながりも最後まで残されており続編である意味をきちんと持たせていた。

約90分と比較的短くテンポよく進む一方、かなり多くの社会テーマを詰め込んでいるため、純粋なホラーとしての怖さを期待すると少し違うかもしれない。

典型的な殺人鬼ホラーとはかなり方向性が異なるので好みは分かれそうだが、都市伝説を現代的に再解釈した作品として、個人的には悪くなかった。

SPEC

メタデータ

映像レンジ / 解像度 / アスペクト比
SDR / 1920×1080 / スコープ
輝度データ
SDRのため輝度データ無し
映像ビットレート
AVC / 実測目安 約20〜42Mbps
音声 / 音声ビットレート
Dolby TrueHD Atmos / 可変 約2.5〜8.0Mbps

※ビットレートはプレイヤー再生時の実測目安です。場面により変動します。

VIDEO

映像レビュー

CHECK POINT

HDながら遠景まで崩れない自然で安定した解像感

2021年作品らしい、非常に完成度の高いBlu-ray映像。

解像感は申し分なく、人物の輪郭から遠景まで安定して描写される。過度にシャープネスを強調したような硬さもなく、自然な精細感が素晴らしい。これだけのレベルなら、4Kでなくても十分と思えるほど。

比較的暗めの場面が多い作品だが、夜間の階調表現も優秀。黒をしっかり沈めながら必要な部分は見えるように調整されており、暗さによる見づらさはほとんど感じない。夜のシカゴを映した場面も非常に綺麗で、光源や建物の細部まで安定している。

色彩では鮮烈な赤が特に印象的。特徴的な衣装や蜂の群れ、アンソニーの身体に少しずつ広がっていく傷や皮膚の変化まで細かく確認でき、ボディホラーとしての気味悪さもしっかり伝わってくる。

壮大な景色を楽しむタイプではないが、主人公が芸術家ということもあり、個展や作品そのものの色彩、絵具の質感や筆使いなどが映像的な見どころになっている。洗練された空間と不穏な出来事の対比も本作らしい。

派手な画質アピールこそないものの大きな欠点が無く、Blu-rayとしてはかなり上位に入ると思える、文句のない優秀なHD画質だった。

AUDIO

音声レビュー

Low Frequency Effect 4.0

ホラーらしい、沈み込むような低音が特徴。

ダイナミックレンジ 3.5

あまりピークは大きくない。

定位感・移動感 4.0

シーンごとに方向感はあり。

環境音 4.5

シチュエーションごとの雰囲気は抜群。

トップ 2.5

特定のシーンのみ。あとは全体的な使い方。

ジャンプスケアで一気に驚かせるより、じわじわと周りを取り囲むようなDolby Atmos音声。

まず特徴的なのが低音で、オープニングから身体へ重くのしかかるような沈み込みを感じる。ホラー作品らしい不穏な低域ではあるものの、突然大音量で驚かせるタイプではなく、作品全体の重苦しい空気を支える使い方だ。

キャンディマンが近づく場面では、蜂の羽音や何かがぶつかるような特徴的な音が少しずつ大きくなり、姿が見えなくても存在が近づいていることを音で感じさせる。派手なアタックよりも、こうした予兆によって緊張感を作っているのが印象的だった。

ダイナミックレンジは極端に広いタイプではなく、殺害シーンでも急激に音圧を上げるような演出は少ない。キャンディマンも大げさな効果音とともに襲ってくるのではなく、自然に現れて淡々と処理していくため、音作りにもどこか冷静さがある。

アンソニーが作品について考え込む場面も多く、街や建物ごとの環境音はかなり丁寧。静かなBGMと組み合わさり、直接怖がらせるよりも、常に何かがおかしいという雰囲気を維持している。

Atmosのトップスピーカーを明確な効果音として使う場面はごく一部で、基本的には音場全体の包囲感を補強する役割が中心。高さ方向の派手な移動は少ないものの、リアを含めて空間全体が自然につながるため、静かなシーンでも十分な効果がある。

ホラーとしてはかなり抑えた音作りだが、それが少しずつ状況が変化していく本作にはよく合っている。派手さはないものの、不穏な低音と環境音、自然な包囲感を大切にした、決して悪くないサラウンドサウンドだった。

SCENES

聞きどころ

ネタバレ注意

「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。

38:25~41:20
トップ活用 包囲感

エレベーターにて

定番の場所で、短いが非常に効果的。

57:50~1:00:55
サラウンド活用

トイレで召喚

アタック音でリアチャンネルをよく使う。

1:13:30~1:26:10

キャンディマンを現代へ

包囲感はある。方向感はある。しかし一部のみ。

SUMMARY

総評

都市伝説を題材にしたホラーは、近年ではそこまで多くない印象があり、その意味でも『キャンディマン』は新鮮に感じた。

全体的にはかなり静かで、じわじわと主人公を蝕んでいくような作り。ジャンプスケアを連発するタイプではなく、鏡や反射面の使い方、蜂の音、身体の変化などで少しずつ不安を積み上げていく見せ方は悪くなかった。

象徴的な蜂も、2021年版から見ると最初は意味が分かりにくいが、物語の中でキャンディマンの由来をきちんと説明してくれるため、旧作未見でも単独で楽しめる。鏡の中に現れる見せ方や、右腕の鉤爪を含めたデザインも現代的に洗練されており、キャラクターとしての存在感は十分にある。

Blu-rayの映像はかなり優秀で、Atmos音声も派手すぎることなく作品の雰囲気に合っている。特に重くのしかかるような低音と包囲感は、この静かなホラーとの相性が良かった。

そして面白いのが、1992年版から約30年経って再びキャンディマンが映画として蘇ったこと。旧作では「人々の記憶や噂の中に存在する」という性質を持っていたが、忘れられそうになった頃に続編が公開されたのが、その設定と妙に重なって見える。

キャンディマンの起源には非常に過激な人種差別があり、2021年版ではそれを過去の話だけにせず、現代にも続く暴力や差別の問題へつなげている。典型的なホラーとは少し違うが、最後の展開まで含めて色々と考えさせられる作品だった。

当サイト評価
総合 7 / 10
音響 7 / 10

TRAILER

公式予告編

※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。

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