ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー

ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー

異形の世界を大きく広げたデル・トロ版ヘルボーイの集大成

作品データ

作品名
ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー
Hellboy II: The Golden Army
公開年
2008年
上映時間
121分
レビュー対象
UHD Blu-ray
映像仕様
4K/HDR10
音声仕様
DTS:X
当サイト評価
総合 8/10
音響 9/10
外部評価
IMDb 7.0 / 10
Filmarks 3.6 / 5
映画.com 3.6 / 5
他サービス
Prime Video4KHDR10+5.1ch
U-NEXTHDSDR2ch
HuluHDSDR2ch
Apple TV4KHDR10+5.1ch
Blu-rayHDSDR7.1ch

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STORY

あらすじ

人間と異形の種族がかつて結んだ休戦協定。その裏では、無敵の機械兵団「ゴールデン・アーミー」が長い眠りについていた。

しかし、人間への不信を募らせるエルフの王子ヌアダが封印を破ろうと動き始め、世界の均衡が崩れ始める。超常現象調査防衛局B.P.R.D.に所属するヘルボーイたちは、各地で起こる異変を追う中で、人間社会の裏側に隠れていた異形の世界と対峙することになる。

さらに、任務だけでなく仲間との関係や自分自身の存在にも揺れるヘルボーイ。人間と異形、どちらの世界に属するのかという問いを抱えながら、再び大きな選択を迫られていく。

REVIEW

作品レビュー

前作から約4年ぶりとなる続編で、監督は引き続きギレルモ・デル・トロ。今回は原作の世界観を土台にしながらも、妖精や異形の種族、機械兵器などデル・トロ独自の趣味がさらに前面へ出ており、前作以上に濃厚なダークファンタジーへ進化している。

物語の背景にあるのは、かつて人間と異形の種族が結んだ休戦協定。しかし長い年月の中で人間は約束を忘れ、異形の世界を追いやっていった。

その状況に怒りを募らせた王子ヌアダは人間へ反旗を翻し、分割された王冠を集めて、無敵の機械兵団「ゴールデン・アーミー」を目覚めさせようとする。一方、双子の妹である王女ヌアラは兄とは違い、人間との共存の可能性を捨てきれず、暴走を止めようとする立場にいる。単純な善悪ではなく、同じ一族でありながら未来への考え方が分かれた兄妹として描かれることで、人間側にも原因があるというヌアダの主張にも一部理解できる余地が生まれている。

しかもヘルボーイ自身も、人間社会から完全に受け入れられているわけではない。人間のために戦い続けながら、その人間から恐れられ、時には拒絶される。だからこそヌアダから「なぜ人間側について戦うのか」と突きつけられる構図が効いており、人間と異形のどちらの世界に属するのかというヘルボーイ自身の葛藤にもつながっていく。

B.P.R.D.も前作以上にチームとして動き、リズとの恋愛関係に加えて、エイブ・サピエンと王女ヌアラの関係まで描かれることで、怪物たちの人間臭さがさらに強くなった。

そこへ新たに加わるヨハン・クラウスは、肉体を失い特殊なスーツの中で生きる霊体のような存在で、規律を重んじる堅物タイプ。感情のままに動くヘルボーイとは正反対で、任務の進め方や組織への向き合い方を巡って何度も衝突する。ただ、その生真面目さが単なる嫌味にはならず、次第にヘルボーイたちとの間に妙なチーム感が生まれていくのが面白い。見た目も設定もかなり特殊なのに、意外と愛嬌があり、本作の中でも特に印象に残る新キャラクターだった。

世界観を象徴するトロール・マーケットも素晴らしく、画面のあちこちに大量の異形クリーチャーが存在する。特殊メイク、着ぐるみ、アニマトロニクスを多用しているため質感にも説得力があり、CGだけでは出せないリアリティがある。歯車や金属を組み合わせたスチームパンク的な機械デザインも独特で、タイトルにもなっているゴールデン・アーミーの造形は特に印象的だった。

前作よりユーモアや恋愛要素を増やしながら、その一方で人間と怪物が共存できるのかというテーマはさらに深くなっている。むしろ怪物たちの方が感情豊かで人間らしく見えるのも、デル・トロ作品らしいところ。

続編を意識した要素も残されていたが、結果的にデル・トロ版『ヘルボーイ』は本作で終了してしまった。それが惜しく感じるほど、この異形の世界にはまだまだ見てみたいものが多く、前作以上にシリーズとしての可能性を感じさせる続編だった。

SPEC

メタデータ

映像レンジ / 解像度 / アスペクト比
HDR10 / 3840×2160 / ビスタ
輝度データ
最大 400nit / 平均 13nit
映像ビットレート
UHDのため測定対象外
音声 / 音声ビットレート
DTS:X / UHDのため測定対象外
VIDEO

映像レビュー

CHECK POINT

HDR10で深みを増したクリーチャーと異形世界の色彩

4Kとして圧倒的なシャープさを見せるタイプではない。

本作は35mmフィルム撮影から2K Digital Intermediateで仕上げられており、UHDはそこからのアップスケール4K。年代的なこともあり、顔のアップなどではまずまず精細に見える一方、遠景や一部の場面では明らかに甘さを感じることもある。いかにも4Kらしい高解像感を期待すると、少し物足りなさは残る。

ただしBlu-rayと比較すると印象はかなり変わる。Blu-rayではさらに輪郭が甘く、場面によってはノイズ感も目立ち、遠景になるほど情報量が落ちやすい。UHDではそうした細かな部分が確実に改善され、衣装や背景、小物のディテールも潰れにくくなっている。派手な差ではないが、古めの作品を丁寧にアップデートしたUHDらしい良さがある。

さらにHDR10化の恩恵は大きい。黒はしっかり締まり、色に深みが増したことで立体感も向上。Blu-rayは全体的にやや明るく、SDRらしい軽さを感じるところがあるが、UHDでは暗部が安定し、クリーチャーや金属の質感も一段引き締まって見える。本作は前作以上に色数が多く、トロール・マーケットをはじめ大量の異形クリーチャーが登場する。落ち着いた色調を基本にしつつ、原色の衣装や肌、照明がしっかり映え、ゴールデン・アーミーの金属的な輝きも非常に印象的だった。

Prime Videoの見放題版はHDながらHDR対応で、こちらもかなり健闘。4K版に近い色やコントラストを持ち、Blu-rayより現代的に見える場面があるのも面白い。

飛び抜けた解像感こそないが、HDR、階調、細部描写まで含めればBlu-rayから確実に進化している。4K化の意味をしっかり感じられるUHDだった。

技術仕様・マスター情報:IMDb Technical Specifications、Blu-ray.com、メーカー公開情報等を参照

AUDIO

音声レビュー

Low Frequency Effect 4.0

見た目の大きさが、そのまま低音の強さに繋がっている。

ダイナミックレンジ 4.5

素晴らしいキレと威力がある。

定位感・移動感 5.0

アクションシーンはかなり派手に動き回る。

環境音 4.0

場面ごとの雰囲気がしっかり。

トップ 4.0

非常に特殊な使い方をする。

映像以上に大きな進化を感じるDTS:X音声。

Blu-rayの英語音声はDTS-HD Master Audio 7.1で、もともとサラウンド性能はかなり高い。UHDではそこへDTS:Xが加わり、音場の広さだけでなくダイナミックレンジまでさらに強化された印象。冒頭の歯車を使ったタイトル演出から、すでに周囲のスピーカーを積極的に活用する。特にリア側の出番が多く、アクションだけでなく通常の場面でも常に空間を広げている。

王子ヌアダの槍による戦闘では、その特徴が特に分かりやすい。鋭い刃物の音がフロントだけでなくリアまで大きく移動し、振り回す動きそのものを音で追える。大量の歯の妖精やゴールデン・アーミーが全方向から押し寄せる場面も非常に賑やかで、ベースとなった7.1chだけでもかなり完成度の高いサラウンドだった。

DTS:X版ではさらにダイナミックレンジが広がったように感じられた。自宅環境でセリフ音量を揃えて簡易測定すると、大きな衝撃音ではPrime Videoの5.1ch版から約5〜7dB、Blu-rayの7.1ch版からも約3〜5dBほど大きくなる場面があった。環境によって数値は変わるが、体感でもUHD版の方が明らかに押しが強い。低音も巨大クリーチャーや重い一撃に合わせてしっかり沈み込み、映像のサイズ感を的確に補強している。

さらに面白いのがトップスピーカーの使い方。一般的なAtmosやDTS:Xでは、頭上にあるものや高さを感じさせたい効果音をトップへ配置することが多いが、本作では必ずしも画面上部の物体だけに限定していない。ヌアダとの剣戟ですらトップを積極的に使い、画面全体から音が飛んでくるような独特の立体感を作っている。この使い方は少し変わっているが、作品の派手さとは非常に相性がいい。中盤以降はトップの出番も増え、従来の7.1chを単純に上へ拡張しただけではない面白さがある。

環境音も豊富で、B.P.R.D.本部の賑わい、街の喧騒、トロール・マーケットのクリーチャーたちの声や動き、狭い部屋の響きまで細かく作り込まれている。異形の世界を成立させる空気感までしっかり音で支えている。

もともと派手で優秀だった7.1chをベースに、DTS:X化によって低音、レンジ、高さ方向まで確実に魅力を増した音声。特に中盤以降の立体感はかなり個性的で、ホームシアターで試す価値の高い一本だった。

SCENES

聞きどころ

ネタバレ注意

「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。

OP~11:45
サラウンド活用 迫力大

タイトル〜ヌアダ王子のオークション襲撃

タイトル演出からヌアダ王子のトレーニングまで、派手に鳴りまくる。

17:50~26:40
サラウンド活用 包囲感

犯罪捜査

歯の妖精の大群が飛び回る。リアは使うがトップ使わず、迫力は増した。

30:00~34:45

親子で意見の相違

キレのある剣戟で処刑返し。

49:00~54:55
トップ活用 迫力大

マーケットで殴り合い

ヌアダの側近ウィンクの声がトップで迫力。

55:30~1:05:35
低音活用 映像重視

vs エレメンタル

デカいやつは低音もデカい。最後の生き残りと人間のどちらを選ぶかの選択。

1:19:00~1:22:00
サラウンド活用 トップ活用

vs ヌアダ王子

槍のぶつかる音がトップで鳴りまくる変わり種。

1:36:30~1:50:20
サラウンド活用 終盤見せ場

vs ゴールデンアミーから vs ヌアダ王子

アーミーの起動、戦闘では全方位で、重さもキレもある派手なもの。

SUMMARY

総評

前作から直接つながる続編で、主要キャラクターがそのまま続投しながら、新キャラクターも非常に個性的で楽しい作品。

クリーチャーの数は大幅に増え、トロール・マーケットのような異世界感のある場所や、豊かな色彩を使った造形によって、見た目の魅力は前作以上。デル・トロらしい異形の世界が一気に広がり、怪物たちが普通に暮らしている世界そのものに強く惹かれた。

物語では、人間ではないヘルボーイが人間側として戦うことへの葛藤や、リズとの関係、エイブの恋愛まで描かれ、人物関係も前作よりかなり深掘りされている。比較的重くなりすぎない雰囲気の中で、新加入のヨハン・クラウスも抜群にユニークで、物語のアクセントとしてかなり効いていた。

敵側のヌアダも、単なる悪役というより、自分たちの世界を守ろうとする強い信念を持ったリーダーとして描かれている。人間側にも原因があるため、その主張に理解できる部分が残るのも面白く、善悪が単純ではないところも本作の魅力だった。

UHDによるアップデートも良好で、映像はBlu-rayから確実に改善。音声はさらに印象的で、DTS:Xによる派手なサラウンドと独特なトップの使い方が加わり、ホームシアター作品としての魅力も大きく増している。

大量のクリーチャーに加え、ゴールデン・アーミーまで登場し、世界観も映像も前作から大幅にスケールアップ。これだけ魅力のある世界を作り上げながら、デル・トロ版がここで終わってしまったのは本当にもったいない。もっとこの世界とキャラクターたちを見たくなる、続編として非常に満足度の高い一本だった。

当サイト評価
総合 8 / 10
音響 9 / 10

TRAILER

予告編(海外メディア)

※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。

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