作品データ
あらすじ
CIAの極秘工作員として危険な任務を遂行してきた“シエラ・シックス”ことコート・ジェントリーは、ある任務をきっかけに組織内部の重大な秘密を知ってしまう。
その情報を回収しようとするCIA上層部は、かつて組織に関わっていた冷酷な男ロイド・ハンセンを差し向ける。世界中の暗殺者から命を狙われることになったシックスは、追跡をかわしながら真相へ迫っていく。
各国の都市を舞台に、銃撃、格闘、カーチェイスを繰り広げながら、一人の工作員が巨大な組織を相手に生き残りを懸けるスパイアクション。
作品レビュー
CIAの極秘工作員シエラ・シックスが、任務をきっかけに組織内部の秘密を知り、今度は自分自身が世界中から追われることになる王道スパイアクション。
ライアン・ゴズリング演じるシックスは寡黙で冷静、どれだけ危険な状況でも感情を大きく表に出さない。一方で彼を追うロイド・ハンセンは派手で狂気的。キャプテン・アメリカでの正義漢とは真逆の陽気な悪人になっていた。
そこへアナ・デ・アルマス演じるダニが加わり、単なる援護役ではなく自ら前線へ飛び込む高い戦闘力を見せる。シックスとの距離感も程よく、典型的な恋愛要員にせず、戦える相棒として描いているのが良かった。
物語そのものはCIA内部の腐敗を巡る分かりやすい構図で、驚くような展開よりもアクションを優先。世界各地を移動しながら、銃撃、格闘、爆発、カーチェイスを次々と繋いでいくテンポは非常に速い。
中でもプラハで繰り広げられる大規模な戦闘は圧巻。市街地で一般市民まで巻き込み、車両や公共交通機関まで破壊しながら戦う規模は、配信映画というより往年のハリウッドアクション大作そのものだった。
複数の人物を同時に動かしながら状況を拡大していくところにも、ルッソ兄弟らしさがある。『ボーン』シリーズのような現実味を重視したスパイ映画というより、こちらは少し漫画的で大味。それでも驚きの約2億ドル級の予算を感じさせる物量とロケーションの豪華さで、一気に押し切ってしまう。
そしてシックスと少女クレアの関係が、作品に感情的な軸を加えている。冷静な殺し屋でありながら、彼女を守る時には別の顔を見せるため、単なる無敵の工作員だけでは終わらない。
Netflixは本作を大型フランチャイズへ育てる構想を持っており、実際に続編やスピンオフも発表された。 それだけにシリーズ第一作らしい王道感は強い。
ストーリーはかなりシンプルだが、難しく考えず派手なアクションを浴びるには十分。世界を飛び回り、爆発して、撃って、殴って、また逃げる。そんな往年のアクション大作を現代のNetflixで見ているような、素直に面白い一本だった。
メタデータ
映像レビュー
自然な質感を保ちながら遠景まで描く安定した4K映像
輪郭を過度に強調せず、自然な質感を重視した4K映像。
Netflixオリジナルの中でも、くっきりシャープに見せるタイプというより、全体にナチュラルな画作り。だからといって解像感が低いわけではなく、人物から背景、遠景まで細部が潰れにくく、非常に安定した描写になっている。
Netflixオリジナル作品をいくつも見ていると、暗部の見やすさやHDRの使い方など、ある程度共通した品質基準があるようにも感じる。本作も暗い場面は潰しすぎず、ライトや炎とのコントラストはしっかり強調。都市部ではネオンや照明が映え、街並みそのものも美しく見える。
さらに世界各地を次々と移動するため、ロケーションの変化もかなり多い。空撮で見せる都市景観は特に綺麗で、何か国登場したのか分からなくなるほど、さまざまな土地の景色をテンポよく見せていく。大作映画らしいスケール感が、映像面からも伝わってくる。
アクションでは、ドローンと思われる高速で自由度の高いカメラワークも多用。屋外だけでなく建物内部まで一気に移動するような撮り方があり、現代作品らしいダイナミックさを感じられる。
中でもプラハの大規模アクションは素晴らしく、街中で車両、銃撃、爆発を次々と重ね、配信映画とは思えないほど大掛かり。Netflixが巨額の製作費を投入したことが、そのまま画面に出ているような場面だった。
自然な4K画質と大胆なカメラワーク、世界を飛び回るロケーションが組み合わさり、映像そのものにも一見の価値がある作品だった。
技術仕様・マスター情報:IMDb Technical Specifications、Blu-ray.com、メーカー公開情報等を参照
音声レビュー
アクションよりも雰囲気作りが多めか。
映像に負けない迫力を備えている。
基本はそこまでだが、アクションシーンでは強めに。
さりげなく場の雰囲気を伝えている。
冒頭の花火と飛行機くらい。
場面によって強弱を大きく変える、いかにもアクション映画らしいサウンド。
いくつかの大規模アクションでは、リアを含めたマルチチャンネルが積極的に動く。特に飛行機での戦闘とプラハの一連のシーンは派手で、銃撃、爆発、車両の動きが広い音場へ展開される。
銃撃戦はかなり激しく、ダイナミックレンジも十分。ただしリアスピーカーの音量は少し控えめで、常に後方から強く攻めてくるタイプではない。同じNetflixオリジナルの『タイラー・レイク』シリーズと比べても、後方の押し出しは穏やかで、作品ごとのミックスの違いがよく分かる。
Dolby Atmosによるトップスピーカーも、常時活発というほどではない。冒頭の新年パーティーで花火が打ち上がる場面や、飛行機での戦闘など、高さ方向を使う意味がある場面ではしっかり存在感を出す。
ただ、作品全体は銃撃や格闘を中心とした水平方向のアクションが多いため、Atmosそのものを主役にした音作りではない。必要なところだけ高さを追加する、比較的堅実な使い方だ。
低音も同じ傾向で、爆撃などではしっかり威力を出す一方、普段は空気感や場面の重さを補う程度。リアとLFEのどちらも過剰に強調せず、全体のバランスを優先している。
それでも音質そのものは非常に高く、アクションの鋭さやスケール感は十分。派手なところではしっかり広がり、静かなところでは必要以上に主張しない。
映像のダイナミックな見せ方を邪魔せず、大規模アクションをしっかり支える、質の高いサラウンドサウンドだった。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
新年パーティー
アクションよりも、花火が上と後ろで目立つ。
飛行機での戦闘
アクションの定番、飛行機の墜落で全スピーカーが活躍。
プラハで街中の戦闘
無茶苦茶なアクションで、街中でこの規模はすごい。音も派手。
仲間を奪還へ
爆撃に銃撃と撃ちまくり。そしてタイマンと、まさにアクション映画。
総評
ライアン・ゴズリング、クリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマスという豪華な3人を中心に、世界各地のロケーションを巡りながら、大規模なアクションを次々と見せていく。配信映画とは思えないほど、しっかりと大作らしい作りになっている。
ストーリーはかなり分かりやすく、CIA内部の陰謀を軸に、追う側と追われる側がぶつかっていく王道構成。そのぶんキャラクターの個性やアクションに集中しやすく、純粋な娯楽作としては十分すぎる出来だと思う。
原作小説はもっと複雑で現実寄りの要素が強いようだが、映画版では大きく整理し、分かりやすさとテンポを優先している。重厚な諜報劇を期待すると物足りないかもしれないが、大衆向けのスパイアクションとしては、このシンプルさがむしろ見やすさにつながっていた。
映像もダイナミックで、世界各地を飛び回るスピード感や大規模ロケーションの魅力をしっかり見せてくれる。音声も派手な場面では十分な迫力があり、作品全体のスケール感に見合ったものだった。
配信オリジナルでここまで大掛かりなアクション映画を作ってくれること自体が嬉しいし、難しく考えず豪華なキャストと派手な映像を楽しめる一本として満足度は高い。
観終わった後に、素直に「Netflix凄いな」と思える作品だった。
公式予告編
※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。
