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あらすじ
1979年、オハイオ州の小さな町。
母を亡くしたばかりの少年ジョーは、仲間たちと一緒に自主制作のゾンビ映画を撮ることを楽しみにしていた。
ある夜、撮影のため線路近くへ集まった彼らは、偶然にも貨物列車の大事故を目撃する。
事故現場には軍が現れ、町では犬や住民の失踪、不可解な停電など奇妙な出来事が相次ぐようになる。
子供たちは列車事故の裏に何かが隠されていると気づき、自分たちで撮影したフィルムを手掛かりに真相を追い始める。
やがて、軍が秘密裏に運んでいた存在と町で続く異変が結びつき、少年たちは想像もしなかった出来事へ巻き込まれていく。
作品レビュー
1979年の小さな町を舞台に、子供たちがSuper8カメラで自主制作のゾンビ映画を撮っているところから始まるSFもの。
タイトルの「SUPER 8」は最初は怪物や軍のコードネームなどかと思っていたが、そうではなく、当時家庭用として広く使われていた8mmフィルム規格のこと。
子供たちが映画を作る姿そのものが物語の重要な一部になっていて、単なるクリーチャー映画ではなく、映画作りに夢中になる少年たちの青春物語として楽しめる。
主人公ジョーは母親を亡くしたばかりで、その喪失を抱えたまま父親との距離にも悩んでいる。一方、アリスの父親はその事故に関係しており、大人同士には強い確執が残っている。
その重い背景がありながら、ジョーとアリスは少しずつ距離を縮めていく。
だから母親の死は単なる設定ではなく、父親同士の関係、ジョーとアリスの接点、そして主人公自身の成長まで一本につなぐ大事な要素になっている。
列車事故をきっかけに町では不可解な出来事が続き、軍まで動き出すが、クリーチャーの姿はなかなかはっきり見せない。その引っ張り方がうまく、SFでありながらミステリーやホラーのような不気味さもある。
最初は暴れ回る恐ろしい存在に見えるものの、物語が進むにつれて、単純な怪物ではないことが少しずつ分かってくる。
『E.T.』を思わせる部分もあるが、こちらはより荒々しく危険なクリーチャーとして描かれており、友好的な宇宙人との交流を描く作品とはかなり雰囲気が違う。
それでも、傷を抱えた存在と、母親を失った悲しみから前へ進めずにいるジョーをどこか重ねるような構成になっており、終盤ではジョー自身が母親の死とどう向き合うのかにもひとつの答えが示される。
悲しみを忘れるのではなく、それを抱えたまま前へ進んでいく。そんな成長が、クリーチャーをめぐる物語と自然に重なっていた。
映画全体は決して重苦しいだけではなく、仲間たちと映画を撮り、好きな女の子に緊張し、友達同士で騒ぎながら大事件へ首を突っ込んでいく。
そしてエンドロールには、ほのぼのするような子供たちの映画作りへの情熱がしっかり残されている。
SF、青春、喪失と成長をうまく混ぜながら、最後まで少年らしさが溢れた作品だった。
メタデータ
※ビットレートはプレイヤー再生時の実測目安です。場面により変動します。
映像レビュー
2011年作品とは思えない高い解像感と安定したBlu-ray映像
2011年の作品だが、意外なくらい綺麗。
Blu-rayとしてはかなり解像感が高く、明るいシーンなら遠景までそれほど甘くならない。終始安定しており、年代を考えても良い部類に入ると思う。
暗いシーンになると流石に少しぼんやりする部分は目につくものの、極端に悪いわけではない。
むしろ気になるのはSDRによる限界の方。
ライトや炎に強烈な明るさはなく、暗部もかなり潰れている場面がある。クリーチャーの姿も分かりにくいため、視聴環境によってはかなり見づらく感じるかもしれない。
色の鮮やかさや質感表現も現在のHDRに慣れた目には平凡に感じるが、それでも高い解像感があることで映像全体はしっかり締まっている。
UHDやAppleTVでは4K/Dolby Vision版もあるため、元の映像がこれだけ良いなら、そちらはかなり期待できそうだ。
今回はプロジェクター側のAIアップコンバートなども使用していないが、それでも画質に大きな不満を感じることはほとんどなかった。
2011年作品のBlu-rayとして考えれば、これで十分すぎると思えるほど完成度の高い映像だった。
音声レビュー
列車がヤバイ。それ以降は少し下がるが、それでも凄い。
これ以上の作品が存在するのか?
7.1chで真後ろが目立つ。
夜の虫の音や、軍隊など印象付けることのみ。
アップミックスの効果は薄い。
とにかく、ダイナミックレンジがあまりにも強烈。
近所迷惑注意というレベルではなく、これを本来のレンジのまままともに再生できる家庭環境がどれだけあるのだろうと思うほどだった。
普段のダイナミックレンジ測定では、一般的な会話シーンを基準値にして、主に中高音方向へどれだけ音量差があるかを簡易的に測っている。
低音までは測れず、100%正確な数値ではないと思うが、これまでの体感とはかなり近い結果になっている。
その基準で見ると、本作は明らかに特殊だった。
通常の会話シーンではセリフ音量が安定している一方、BGMや効果音が大きくなる場面では、周囲の音に合わせるようにセリフ自体の音量までかなり上がる。
多数の作品を観てきたが、いくらか変化するものはあっても、ここまで極端な調整はほとんど経験がない。
その結果なのか、セリフと同様に音が大きくなる場面では本当に無茶苦茶な音量になる。
特に序盤の列車クラッシュは凄まじく、基準にしている会話シーンからピークで約30dBもの差が出た。
これまで大きい作品でも+20〜23dB程度が最大値だったため、この数字にはかなり驚いた。
クリーチャーが絡む場面でも同様にレンジが広く、ジャンプスケアかと思うほど突然もの凄い迫力で鳴り始める。
逆にセリフの大きな場面へ音量を合わせると、普段の会話がかなり小さくなってしまう。
基準を揃えるため普段は必ずセリフ音量を合わせ、かつダイナミックレンジ設定を作品ごとに変更するなんてことはしないが、本作に関しては多くの家庭環境でダイナミックレンジ圧縮を使った方が現実的だと思う。
Blu-rayもUHDも7.1ch仕様で、後方をかなり明確に使うサラウンドも印象的。
派手に鳴る場面自体はそれほど多くないものの、一度動き始めればリアまでしっかり使い、クリーチャーや大規模な破壊シーンではかなり激しい音場になる。
低音もかなりゴツく、やはり列車クラッシュは巨大なレンジとの組み合わせで圧巻。
アップミックスで高さを楽しむようなデザインではないが、そんなことが些細に感じるほど、音そのものの勢いが強い。
とにかくダイナミックレンジが恐ろしく大きい。本作の音声は、結局そこに尽きる。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
列車クラッシュ
映画史上最高クラスのクラッシュシーン。周りの家が50m離れているなら音量全開でどうぞ。
コンビニを襲撃
短いがまるでジャンプスケアかのような迫力。
移送バスを襲撃
後ろはハッキリ。暴れっぷりが素晴らしい。
軍の兵器の暴走
サラウンドはかなり派手。低音も迫力も当然のように凄い。
アリス救出へ
最後が一番おとなしく、BGMの演出が目立つ。
総評
青春とクリーチャーものの組み合わせは、今なら『ストレンジャー・シングス』を思い浮かべる人も多いかもしれない。
本作はそこに、子供たちが映画作りへ夢中になる楽しさを重ねた作品だった。
自主制作のゾンビ映画に本気で取り組み、子供ながらに演出や撮影へこだわる姿には、映画好きだった監督自身の思い出が投影されているようで微笑ましい。
そこへ青春映画らしい友情や淡い恋、そして未知の存在に触れるSF的なワクワク感が加わり、重すぎず見やすいバランスに仕上がっている。
ただ、ホームシアターファンとしては、とにかく音声のインパクトが強烈すぎた。
これまで機材のアップデートや部屋の改装について色々考えてきたが、本作のダイナミックレンジを気兼ねなく鳴らせる環境こそ、一つの最終地点なのではと思ったほど。
公開から15年ほど経った作品だが、優れた映像や音響は時代に関係なく楽しめるのだと改めて感じさせられた。
物語自体は少年少女を中心にした分かりやすいSFスリラーで、難解な作品ではない。
青春映画やクリーチャーものが好きな人はもちろん、サラウンドサウンドの凄さを体感したい人にも強くおすすめしたい一本だ。
公式予告編(海外版)
※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。
