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あらすじ
巨大彗星クラークが地球へ接近する中、建築技師ジョン・ギャリティのもとへ、政府から避難対象に選ばれたことを知らせる通知が届く。
当初は危険の少ない天体現象と思われていたが、彗星の破片が次々と地球へ落下し、世界各地で壊滅的な被害が発生。
ジョンは妻アリソン、息子ネイサンとともに指定された避難施設を目指すが、混乱する街や限られた避難枠によって家族は思わぬ危機に巻き込まれていく。
刻一刻と地球規模の衝突が迫る中、離ればなれになった家族は再び合流し、生き残るため最後の避難場所を目指す。
作品レビュー
巨大彗星の破片が地球へ落下し始め、世界規模の破滅が迫る。
政府から避難対象に選ばれたジョンは、妻アリソン、息子ネイサンとともに指定された避難施設を目指すが、最初から計画通りにはいかない。
本作はディザスター映画ではあるものの、派手な破壊描写だけを見せる映画ではない。
中心にあるのは、崩壊していく世界の中で家族がどう生き残るかという物語。
ジョンは家族を守ろうと必死になり、アリソンも母親として強く行動する。ネイサンには持病があり、それが避難の条件にも影響するため、単純に「選ばれたから助かる」という話では終わらない。
道中では家族が離ればなれになったり、混乱した人々に巻き込まれたり、避難先へ向かうだけでも次々と問題が起こる。こうしたトラブルの積み重ねが、単なる災害映画ではなく、生き残る場所を探して移動するアドベンチャーとしての面白さにつながっている。
個人的に良かったのは、主人公たちが世界を救おうとしないこと。
彗星を破壊するわけでも、地球規模の作戦を実行するわけでもない。ただ普通の家族が、生き延びるために必死で逃げる物語だ。
家族ドラマの比重もかなり大きく、夫婦の問題や親子の関係まで描かれる。
派手なディザスターだけを期待すると少し地味に感じてしまうが、国が崩壊しようとする危機の中でも家族としてどう行動するかという部分が、この作品らしさになっている。
終盤も完全に全てを解決して終わるわけではなく、破滅後の世界がどうなっていくのか、その先を想像できる余地を残した締め方となっていた。
公開時期はコロナ禍と重なり、劇場興行だけでは大ヒットとは言いにくかったものの、配信やVODでは強い人気を獲得。その成功で続編につながった一方で、2作目は予算を大きく増やしたにもかかわらず興行的にはかなり厳しい結果になった。
それでも、この手の隕石・彗星ディザスター映画自体が今ではかなり少ない。
『アルマゲドン』や『ディープ・インパクト』のような作品とは方向性が違い、より家族単位のサバイバルへ寄せたのも面白い。
大規模な終末災害と、家族ドラマ、避難ロードムービーを組み合わせた一本。
ディザスター系が好きということもあり、個人的にはかなり気に入っている作品だ。
メタデータ
※ビットレートはプレイヤー再生時の実測目安です。場面により変動します。
映像レビュー
破片衝突のスケール感は素晴らしい
2020年の作品として考えると、Blu-ray画質はそれほど優秀とは言いにくい。
薄暗いシーンが多い作品だが、ビットレートはおおむね10~15Mbps程度で推移し、特別高い解像感や豊かな階調表現を感じるわけではない。
現在の基準で見れば、平均的なHD画質といったところ。逆に言えば、この程度のビットレートでも大きな破綻はほとんどなく、映画を楽しむ分には十分安定している。
ただし、背景がほぼ黒一色になるような場面では、わずかにモヤついたような見え方をすることもあった。視聴環境による可能性もあるため断定はできないが、ここら辺は少し気になる部分だった。
一方、本作で重要な破壊表現のVFXはなかなかの出来。
遠方へ巨大な破片が落下した際に立ち上る煙は、その規模だけでも「世界の終わり」を想像させるほど巨大で、映像からしっかり破壊力が伝わってくる。
広範囲が焼けた土地や荒廃した都市の描写も見応えがあり、終末世界としてのスケール感は十分。場面によっては多少合成らしさを感じるVFXもあるが、全体としては高い水準にまとまっている。
色調は全編を通してオレンジや茶色を基調とした終末感の強いルック。
鮮やかな色彩を楽しむ作品ではないものの、荒廃していく世界の雰囲気にはよく合っており、映像トーンにも一貫性がある。
UHD版は一部海外で発売されているものの、日本では気軽に視聴できる4K環境がほとんどない。
配信を中心に人気を広げた作品だけに、せめて4K配信が用意されていれば、彗星や終末世界の映像をもう一段良い状態で楽しめただろうと思う。
音声レビュー
破片の衝撃はかなりヘビー。
彗星の破片、銃撃、爆発とどれも素晴らしい。
方向感はあるが、包囲感が強め。
場所ごとの雰囲気作りはきっちりしている。
アップミックスとの相性は良い。
日本版Blu-rayはDolby TrueHD 5.1chで収録。
海外盤ではDTS-HD Master Audio 7.1chが採用されるなど地域によって仕様が異なるが、日本版の5.1chでも音響面の完成度は非常に高い。
映像は比較的平凡だったものの、音声については文句なく本作の大きな魅力。
前半から何度か巨大な彗星の破片が落下するが、その一発一発が強烈。
遠くへ落ちた瞬間の低い響きから、遅れて到達する衝撃波まで重量感があり、映像以上にその破壊力を感じられる。
銃声や爆発なども数はそれほど多くないものの、鳴る時にはしっかり鋭さと重さがあり、ダイナミックレンジも大きい。
メインの見せ場以外でも破片が降り注ぐ場面が何度かあり、どれも作品のスケールに負けない迫力で、ディザスター作品として期待したい「世界を破壊する音」をしっかり味わえる。
環境音の作り込みも優秀。
軍の基地では大勢の人間や車両が動き回る喧騒、スーパーでは混乱する人々の声、農場では逆に静かな空気が広がるなど、場所によって音場の雰囲気がはっきり変わる。
激しい場面だけでなく、こうした環境音からもマルチチャンネルならではの包囲感を感じられる。
そして本作は、アップミックスとの相性が非常に良い。
ヘリコプターや航空機が登場する場面では、5.1ch音源でありながら高さ方向にも明確な定位を感じることがあり、頭上を通過する感覚も十分。
特に破片の落下シーンでは、トップスピーカー側から音が降ってくるような表現になり、場面によってはAtmos作品と錯覚するほど立体的になる。
元のサラウンド設計が優秀なら、5.1chでもアップミックスによって十分な高さ表現を作れることがよく分かる一本だ。
音質そのものも非常に良く、セリフ、効果音、低音のバランスにも大きな不満はない。
映像よりも明らかに音声の方が本作のホームシアター的な見どころ。
巨大彗星が迫る終末感にふさわしい、力強く包囲感にも優れたサウンドデザインだった。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
軍の基地に侵入する人たち
銃声に人混みの騒々しさ。爆発の威力は重い。
薬局で薬探し
銃声はちょうどいいパンチ。
彗星の破片から逃げる
ヘリと彗星の破片はアップミックス効果大。
グリーンランド着弾
衝撃波と、シェルターのガタ付きで威力を感じるクライマックス。
総評
隕石や彗星の衝突を真正面から扱ったディザスター映画は、意外と作品数が多くない。
大規模な破壊描写にお金が掛かることも理由のひとつなのかもしれないが、だからこそ本作のような作品は貴重に感じる。
物語自体は、家族ドラマを軸にしながら、生き残るための場所を求めて移動していくアドベンチャー要素を組み合わせた比較的オーソドックスなもの。
道中では家族が離ればなれになり、それぞれが別の災難へ巻き込まれるなど、単調にならないよう適度に起伏も付けられている。終わり方も完全に物語を閉じるのではなく、その後の世界を描ける余地を残したもの。
コロナ禍という特殊な時期に配信やVODを中心として人気を集め、評価も上々だったことから、まさかの続編まで制作された。
彗星の破片が降り注ぐ場面そのものは決して多くない。
それでも静かな家族ドラマと突然訪れる大規模災害の緩急が良く、終末が少しずつ迫ってくる緊張感はしっかり味わえる。
日本では気軽に楽しめる4K版がないのは残念だが、その分サウンドは非常に優秀。
破片の衝撃や低音、包囲感までホームシアターとの相性はかなり良く、観るならぜひサラウンド環境をおすすめしたい。
続編は興行的に厳しい結果となってしまったものの、こうした本格的な隕石や彗星ディザスター自体が今では珍しい。
今後も形を変えながら、このジャンルの作品が作られ続けてほしいと思える一本だった。
公式予告編
※予告編は本編とは画質・音質が異なる場合があります。
