作品データ
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Hulu : HD/SDR/2ch
AppleTV : 4K/Dolby Vison/Dolby Atmos
あらすじ
母親を交通事故で亡くして以来、高校生のサディと幼い妹ソーヤーは、深い悲しみを抱えながら暮らしていた。
精神科医である父親のウィルもまた妻の死を受け止めきれず、家族は互いを思いながらも、うまく気持ちを伝えられずにいる。
そんなある日、ウィルのもとへ、子供たちを相次いで亡くしたという男が助けを求めて訪れる。
その不可解な出来事を境に、家の中では物音や声が聞こえ始め、ソーヤーは暗闇に潜む何者かの存在を訴えるようになる。
作品レビュー
クローゼットの中から何かが襲ってくる、いわゆる「お化け」タイプのホラー作品。
『ブギーマン』という題名の映画はいくつか作られているが、それらと直接つながるシリーズ作品ではなく、本作は単独の物語となっている。
原作は、スティーヴン・キングの初期短編集『深夜勤務(Night Shift)』に収録された短編小説『ブギーマン』。
原作は未読のため調べた情報を基にすると、子供を相次いで亡くした男が精神科医を訪れ、暗闇やクローゼットに潜む怪物について語る心理ホラーらしい。
映画版ではその短編を土台にしながら、母親を亡くした一家へ怪物が近づいてくる物語へと大きく発展させている。
主人公は高校生のサディ。
交通事故で母親を亡くしたトラウマを抱えており、周囲も事情を知っているものの、友人関係には恵まれていない。
母親を亡くした相手をからかったり、平然と傷つけたりする友人たちは非常に腹立たしいが、サディが誰にも助けを求められない孤立した環境を作るための設定でもあるのだろう。
一方、幼い妹のソーヤーは素直で姉との仲も良く、重苦しい物語の中では癒やしとなる存在だ。
父親は精神科医として働いているが、ある男が患者として自宅を訪れたことをきっかけに、一家へ不気味な存在が近づいてくる。
そもそもブギーマンとは、特定の怪物の名前というより、子供が暗闇に抱く恐怖を具現化したような存在なのだろう。
同じ題名を持つほかの映画も、クローゼットや暗闇に潜む怪物を扱っているものが多い。
『ハロウィン』のマイケル・マイヤーズもブギーマンになぞらえられることがあり、日本でいう「お化け」に近い、正体の分からない恐怖を表す言葉と考えると分かりやすい。
本作のブギーマンは、クリーチャーと悪霊を組み合わせたような存在だ。
暗闇から神出鬼没に現れ、人の声真似をしながら獲物を誘い出したり、人間をじわじわと弄びながらも、いざ襲い始めれば物理的な力で激しく暴れ回る。
動きにも重量感があり、単に暗がりへ潜むだけではないクリーチャー映画らしい迫力も備えている。
光と暗闇が重要な意味を持つため、全編を通して暗い場面はかなり多い。
適度なジャンプスケアと逃げ場の少ない閉鎖的なシチュエーションを組み合わせた、基本に忠実なホラーという印象だ。
怪物が恐怖を糧に近づいてくる設定なので、ストーリーそのものはそれほど複雑ではない。
喪失を抱えた家族のドラマを軸にしながら、ブギーマンとの攻防を楽しむための映画になっている。
怪物が完全な姿を現すまでには時間をかけており、それまでに繰り返されるさまざまな襲撃を、姉妹がどのように切り抜けていくのかも見どころ。
子供たちの演技も素晴らしく、恐怖に怯える姿だけでなく、姉妹で支え合う関係にも説得力がある。
終わってみれば、ホラーであると同時に、喪失を乗り越えようとする家族の物語でもあった。
国内ではパッケージメディアが販売されておらず、ほぼ配信専用作品という形になっているところには、映画を取り巻く時代の変化も感じさせられる。
目新しさで驚かせるタイプではないが、クリーチャーの見せ方、暗闇を生かした演出、家族ドラマのいずれも堅実で、ホラー好きなら悪くない選択肢だ。
メタデータ
映像レビュー
視聴環境の黒表現レベルを試すかのような暗さ
良質なBlu-rayをアップコンバートしたような画質だろうか。
遠景だけでなく近景でも、4Kらしい圧倒的なシャープさはあまり感じられない。
ホラー作品らしく暗い場面が多いこともあり、細部まで抜群の解像感を味わえるタイプの映像ではない。
暗闇の中で蝋燭や電灯が光る場面が多いが、全体的な明るさはかなり抑えられている。
ディスプレイの暗部表現や視聴環境によって印象が変わりやすく、場合によってはSDRの方が見やすく感じるかもしれない。
特にプロジェクターでは厳しい場面が多い。
暗闇そのものが作品の重要な要素なので仕方のない部分ではあるが、黒の中に沈んだ情報をどこまで描き分けられるか、機器側の性能が試されているかのようだ。
マイナス面が多いように聞こえるかもしれないが、決して画質が悪いわけではない。
目立ったノイズ感はなく、過度にソフトな映像でもない。激しい動きが少ないこともあり、映像は終始安定している。
4KかつDolby Vision対応作品として最低限の品質はしっかり確保されているので、暗い映像であることを理解した上で観るなら、大きな不満はないだろう。
音声レビュー
重さはそれほどだが、使い方が良い。
迫力は相当なもので、緩急が凄い。
方向感はかなりはっきり。
学校と住宅街くらいだが優秀。
広がりはあるが、効果は感じにくい。
非常にホラーらしい作りのサウンド。
不気味な何かが背後や周囲を動き回る気配が、リアチャンネルを使って丁寧に表現されている。
方向感はかなり明確で、音が横から後方へ移動する場面や、突然背後から鳴る音にも説得力がある。
ジャンプスケアも映像だけに頼らず、鋭い効果音によって強力に支えられている。
低音の使い方も素晴らしい。
必要以上に重く押し出すのではなく、場面の緊張感や不穏な空気を高める強さに調整されている。
派手に部屋を揺らすよりも、暗闇の奥に何かがいると思わせる、雰囲気作りに貢献する低音だ。
日常的な場面の環境音も細かく作り込まれており、家の中の静けさや物音にも立体感がある。何も起きていない場面でも空間が途切れず、没入感は非常に高い。
唯一気になるのは、Dolby Atmos対応でありながら、トップチャンネルをあまり活用しないこと。
リア方面の音作りがこれだけ充実しているにもかかわらず、高さ方向の表現はかなり控えめだ。
映像上では明らかに頭上に存在するものや、上方から音が聞こえてもよさそうな場面でも、トップスピーカーから明確な音が出ないことがある。
そうした場面が複数あるため、映像と音の一体感という点では一段評価を下げざるを得ない。ここがバッチリなら満点だったかもしれない。
それでも、サラウンド全体の完成度は高い。
背後の気配、音の移動、低音による緊張感、ジャンプスケアの勢いがうまく組み合わされており、ホラー作品として非常に優秀な音響になっている。
ホラーはホームシアターと最も相性の良いジャンルの一つだと思っているが、本作も間違いなくその中に入る。
こうした作品は、どのような環境で観るかによって恐怖の強さまで変わってくる。ホラーが苦手でなければ、ぜひサラウンド環境で体験してほしい作品だ。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
被害者宅にて
後ろも活用するが、ショットガンの威力が素晴らしい。
自宅でパーティ
マリファナでぐるぐる、クローゼットでドーン!
誘き出し作戦
ショットガンの迫力が素晴らしい。方向感もグッド。
地下室バトル
上は使わず、ひたすら後ろを活用。
総評
同名の映画がいくつも作られていることからも、ブギーマンという存在は非常に題材にしやすいのだろう。
特定の姿や能力を指す名前ではなく、タイトルを聞いただけでは何が現れるのか分からない。その曖昧さこそが、かえって不気味さを生み出している。
本作に登場する怪物の能力やデザインには、現代のホラーとして目新しい部分はそれほど多くない。
しかし、原作小説が発表されたのは今から50年以上も前。
現在では定番に見えるクローゼットの怪物や、人の声をまねて暗闇から獲物を誘う設定も、当時から描かれていたと考えれば、むしろ後のホラーへ影響を与えた先駆的な存在の一つなのかもしれない。
登場人物は少なく、物語も一つの家族を中心としたコンパクトな範囲で進んでいく。
大掛かりな世界観や複雑な設定を持つ作品ではなく、小粒なホラーではあるが、それこそが本作の良いところでもある。
続編やほかの作品とのつながりを気にする必要もなく、単独作品として気軽に観られる。
家族の喪失というドラマを軸にしながら、暗闇に潜む怪物との攻防を堅実にまとめており、ホラー映画として必要なものはしっかり揃っている。
そして、映像以上に印象へ残ったのが音響だ。
非常にしっかり作り込まれており、ホームシアター環境があるなら本作の魅力を更に強く味わえるだろう。
派手な新しさを狙った作品ではないが、暗闇と音を生かした堅実なクリーチャーホラー。
気軽に一本のホラーを楽しみたい時には、ちょうど良い作品だ。
公式予告編
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