作品データ
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Hulu : HD/SDR/2ch
AppleTV : 4K/Dolby Vison/5,1ch
Blu-ray : HD/SDR/5.1ch
あらすじ
友人たちは休暇中に古びた屋敷で不思議なタロットカードを見つける。
軽い気持ちで占いを始めた彼らだったが、その行為をきっかけに不可解な出来事が次々と発生する。
やがて占いで示された運命が現実となり、それぞれが自分に対応する恐ろしい存在に追われることになる。
逃げ場のない状況の中、若者たちは呪いの正体を探りながら生き残る方法を模索していく。
タロット占いを題材にした王道のティーンホラーであり、呪いと運命をテーマにしたサバイバル要素が特徴のホラー作品。
作品レビュー
軽い気持ちで行ったタロット占いが、逃れられない呪いへと変わっていく。
本作はそんなシンプルで分かりやすい設定を軸にした王道ホラー作品だ。
物語の発端となるタロット占いのシーンから不穏な空気は十分。
カードに描かれた禍々しい絵柄と不吉な運命が示され、その内容が現実となって登場人物たちへ襲い掛かる。
面白いのは、タロットの種類ごとに現れる脅威の見せ方が異なることだ。
それぞれのカードに対応した外見や能力、シチュエーションが用意されており、単調になりがちな呪い系ホラーの中では変化に富んでいる。
ストレートに恐怖を押し出すものから、一工夫加えた演出まで幅広く、次はどんな形で襲ってくるのかという楽しみもある。
どちらかと言えばストーリーそのものよりも、呪いの内容や演出を見せることに重点を置いた作品と言えるだろう。
その点では『ファイナル・デスティネーション』シリーズにも近い雰囲気がある。
逃れられない理不尽な力を持つ呪いに対して、登場人物たちがどう生き残ろうとするのかが見どころになっている。
一方で、主人公カップルのドラマや過去の生存者に関するエピソードは比較的シンプルで、物語としてはやや薄味に感じる部分もある。
しかし本作はそこを深掘りするタイプの作品ではない。呪いが次々と発動し、危機が途切れることなく押し寄せるテンポの良さがあり、最後まで飽きさせない作りになっている。
ジャンプスケアも適度に盛り込まれており、現代ホラーらしい分かりやすい恐怖を楽しめるのも魅力だ。
そして何より印象に残ったのが音響デザインである。
ホラー作品として非常に丁寧に作り込まれており、恐怖演出の多くを音が支えていると言っても過言ではない。
映像だけでなく音によって不安や緊張感を積み上げていく作りは見事だった。
数多くのホラー作品が存在する中で、突出して革新的な作品ではない。
しかし王道の呪いホラーとしての完成度は高く、特にホームシアター環境では記憶に残る一本だった。
メタデータ
映像レビュー
本作はホラー作品らしく暗いシーンが非常に多いが、その暗さを活かした映像作りが印象的だ。
Dolby Visionの使い方は派手ではないものの非常に効果的で、暗闇の中でも必要な情報はしっかり視認できる絶妙なバランスに調整されている。
見えなくなる一歩手前を狙ったような映像は、恐怖演出とも相性が良い。
序盤に登場する古びた屋敷では電気が使えず、蝋燭や暖炉の炎だけが周囲を照らしている。
揺らめく炎の暖色と深い闇のコントラストは美しく、ホラーらしい不気味な空気感をしっかり演出している。
暗い作品でありながら単調な黒潰れにはならず、陰影の表現も非常に丁寧だ。
また、呪いに関わるアイテムや過去の映像、特殊な演出では強い光を使った表現もあり、全体としてはメリハリの効いた仕上がりになっている。
解像感も十分高く、細部までシャープだ。
街並みや室内の小物類までしっかり描写されており、若干フィルムライクな質感を残しながらも現代的な4K映像としての完成度は高い。
ホラー作品としては、このレベルなら十分以上の画質と言えるだろう。
ジャンプスケアの多い作品だけに黒の沈み込みも重要だが、暗闇から何かが現れる場面でもノイズや破綻はほとんど見られない。
絶景や派手なVFXで魅せるタイプではないものの、ホラー作品として求められる映像表現を高いレベルで実現している。
暗室で視聴するほど魅力が増す、現代ホラーらしい優秀な映像だった。
音声レビュー
重すぎない、ちょうどいいバランス。
呪いは結構な迫力。
後ろもあるけど、上が凄い。
街の喧騒や郊外の森など、抑えた設計。
ほとんどの呪いで効果的に使われる。
Atmos環境の価値を存分に感じられる、極めて優秀なホラーサウンド。
それは単純に爆音だったり派手だったりするからではなく、映像と恐怖演出を支えるサウンドデザインが極めて優秀だからだ。
特に印象的なのはトップスピーカーの活用である。
本作では様々な種類の呪いが登場するが、その多くが上下方向の音場を積極的に利用している。
頭上を移動する気配、不自然に響く物音、迫り来る存在の位置関係などが非常に分かりやすく表現されており、Atmos環境の恩恵を強く感じられる。
単に上で音を鳴らしているだけではない。
何かが空間を動き回る音にも勢いがあり、恐怖と迫力を同時に演出している。
ホラー作品としてここまでトップチャンネルを活用している作品は意外と多くないため、その点だけでも価値がある。
低音の使い方も絶妙だ。
必要以上に重低音へ頼ることはせず、不穏な気配や緊張感を作り出すために効果的に使用されている。
空間全体を包み込むような厚みのある鳴り方はホラー作品との相性も抜群で、個人的にも非常に好みのサウンドだった。
サラウンドの実在感も見事で、後方から聞こえる物音や気配にはしっかりと位置情報があり、思わず振り返りたくなるようなリアリティがある。
ホラーにおいて重要な「何かがいるかもしれない」という感覚を音だけで成立させているのは見事だ。
中盤以降は会話シーンを挟みながらも次々と恐怖演出が押し寄せ、休まる暇がない。
クリーチャーデザインや仕掛け自体は比較的オーソドックスな部類だが、その分サウンド面で恐怖を増幅しようという意図が明確に伝わってくる。
正直なところ、本作はサラウンド環境で視聴してこそ真価を発揮する作品だと思う。
2ch環境では王道ホラーの一本という印象で終わるかもしれない。しかしAtmos環境では恐怖の質が大きく変わる。
Netflix版でしかAtmosを楽しめないのは少々惜しいが、環境が整っているならぜひ体験してほしい。
ホラー作品としても、Atmosデモ作品としても非常に優秀な一本だった。
聞きどころ
「聞きどころ」は見どころを含むシーンでもあります。
そのため「聞きどころ」には、シーン内容に関するネタバレが含まれます。
未視聴の方や事前情報を入れたくない方はご注意ください。
一方で、短時間で見どころを把握したい方、ネタバレを気にしない方には参考になる内容です。
寮にて
屋根裏の足音に声、軋みに後ろからはリアルに迫る。
駅にて
音の強弱と徐々に暗闇になる演出は中々の迫力。
橋にて
車の周りを何かが激しく動き回る。
エレベーターにて
駆け寄る音が非常にリアル。遊び心のあるジャンプスケア。
反撃の儀式
手の凝った演出で、上も後ろもたっぷり。
占い返し
ストレートな攻め方に、小さな竜巻のようにグルグルと。
総評
王道の呪い系ホラーながら、最後まで飽きさせない工夫が光る一本。
ストーリー自体は比較的シンプルで、ホラーファンからすると驚くような展開や強烈な独自性は少ないかもしれない。
しかし、タロットカードごとに異なる恐怖演出を用意し、次はどんな呪いが襲ってくるのかという楽しさがある。
その意味では、肩肘張らずに楽しめる現代ホラーとして十分な完成度を備えていた。
そして何より本作最大の魅力はAtmos音声が最高に楽しいことだ。
上下左右を使った立体的なサウンドデザインは非常に優秀で、呪いの気配やクリーチャーの移動音、突発的な恐怖演出まで、ホームシアター環境ならではの没入感を存分に味わえる。
UHD Blu-rayは販売なく、日本国内ではBlu-rayも未発売。
Apple TV版は4K Dolby Vision対応ながら音声は5.1ch止まりとなっているため、現状ではNetflix版が映像・音声ともに最良の視聴環境と言っていい。
こうした光る所のある作品こそ、本来のクオリティを損なうことなく楽しめる環境が広がってほしいと思わされる。
ホラー作品としては佳作。しかしAtmos作品として見れば、その評価は一段も二段も上がる。
ホームシアター環境を持っているなら、一度は体験しておきたい一本だった。
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